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コリログ

青コリが書く雑文。ブラゲからガジェットまで

明日いよいよ最終回!とと姉ちゃんあらすじ超まとめ!

ドラマ-とと姉ちゃん

第1週 第1話 「常子、父と約束する」

連続テレビ小説 とと姉ちゃん Part2 (NHKドラマ・ガイド)

この物語は戦後、日本中の多くの家庭で読まれた生活総合雑誌「あなたの暮らし」を創刊した、ある三姉妹の長女、小橋常子が父親代わりに妹達を育てながら昭和を逞しく、懸命に駆け抜けて行くお話です。

昭和5年(1930年)静岡、浜松で物語は始まります。明るく活発なヒロイン、小橋常子は綿織物を製造する遠州浜松染め物工に努める父、竹蔵と母、君子を両親に持つ三姉妹の長女です。ある日学校で「綺麗なものを書く」と言う宿題が出ました。常子は考えた末に町の景色を一望出来る物干し台に登ります。怖くて降りれなくなった常子の周りに人が集まり、騒ぎになってしまいました。父と母が駆けつけ、周りの大人達に迷惑を掛けたことを謝った後、竹蔵は常子に他人に迷惑を掛けた事と危ない行いをした事はいけないが、自分で考え、自分で行動したことを素晴らしいとほめます。当時、父親の存在は絶対という時代には珍しく、父を「とと」母を「かか」と呼ばせ、家族皆に人間として対等に接する、やさしい父親でした。小橋家には竹蔵が作った3つの家訓がありました。1,朝食は家族皆でとること。2,月に一度家族皆でお出掛けすること。3,自分の服は自分でたたむこと。これは今まで一度も破られてはいませんでした。しかし、明日みんなで紅葉狩りに行くという晩に竹蔵は帰って来て、玄関で迎える家族にこの約束を守れなくなったと告げるのでした。

 

第1週 第2話 「常子、父と約束する」

竹蔵は務める会社が契約を結ぼうと躍起になっている大手紡績会社(西洋紡)の専務・大迫の家の引っ越しの手伝いを頼まれます。竹蔵は社長の強い命令により断ることが出来ず、「月に一度家族皆でお出掛けすること」と言う小橋家の家訓を初めて破り、常子たちをががっかりさせてしまいました。数日後、大迫は竹蔵の家で酒に酔い上機嫌です。引っ越しの手伝いの礼に、有名画家の絵画を贈ると言い、強引に竹蔵の家の壁にかけます。酒によった大迫にペコペコする父を見て3姉妹は悲しい気持ちにな
ります。家族で出かけるのを楽しみにしていた幼い三女の美子には大人の事情が分かるはずもなく、ふてくされた勢いで、大迫が置いていった絵画に墨汁で落書きをしてしまいます。それを何とか元に戻そうと姉達が奮闘し、絵画は益々汚れてしまいます。
その頃、大迫が会社の竹蔵の元にあの絵画はたいそう値打ちのあるものなので返してもらえないかと電話で言ってきました。
竹蔵はすぐにお届けすると言い、絵を取りに戻ります。そんな折小橋家には、定職にもつかず怪しい儲け話を追いかける竹蔵の弟・鉄郎がふらっとやって来ます。帰ってきた竹蔵は、汚れた絵画を見てどうしたのかと尋ねます。三姉妹は其々自分の非を認め、竹蔵に謝ります。鉄郎は弁証するにも千円はする高価な物だと言い、狼狽える家族に向かって竹蔵は「安心てください、ととが責任をとりますから。」と言い放ちます。


第1週 第3話 「常子、父と約束する」

竹蔵は常子達を引き連れて大迫の家に絵画を汚してしまった事を詫びに行きます。土下座をして謝罪する竹蔵に、大迫は笑って絵画は安物の贋作で、それがバレると困るので返して欲しかったと告白します。詫びることも弁償する必要も無いと言う大迫から竹蔵は十円でその絵画を買い取ります。三人の娘の優しさが生み出した名画と思えたのです。帰り道、竹蔵は娘達に自分が皆との約束を破って悲しい想いをさせてしまったことを詫ます。そして、明日、紅葉狩りに行くことを提案します。翌日、念願のお出かけに三姉妹ははしゃぎ、楽しい時をごします。その夜、竹蔵は残務を片付ける為、仕事に向かおうとしていました。家族と過ごす事はいつでも出来ると竹蔵の身体を気遣う君子に、早くに両親を亡くした竹蔵にとって、当たり前にある日常は、いつ失うかも分からないかけがいの無いもの。無理をしてでも家族と一緒にいる時間を大事にしたい言います。常子は両親の話を偶然に聞き、幸せな気分で眠りにつきます。竹蔵は年の瀬が押し迫った頃、結核に倒れます。

 

第1週 第3話 「常子、父と約束する」

竹蔵は常子達を引き連れて大迫の家に絵画を汚してしまった事を詫びに行きます。土下座をして謝罪する竹蔵に、大迫は笑って絵画は安物の贋作で、それがバレると困るので返して欲しかったと告白します。詫びることも弁償する必要も無いと言う大迫から竹蔵は十円でその絵画を買い取ります。三人の娘の優しさが生み出した名画と思えたのです。帰り道、竹蔵は娘達に自分が皆との約束を破って悲しい想いをさせてしまったことを詫ます。そして、明日、紅葉狩りに行くことを提案します。翌日、念願のお出かけに三姉妹ははしゃぎ、楽しい時を過ごします。その夜、竹蔵は残務を片付ける為、仕事に向かおうとしていました。家族と過ごす事はいつでも出来ると竹蔵の身体を気遣う君子に、早くに両親を亡くした竹蔵にとって、当たり前にある日常は、いつ失うかも分からないかけがいの無いもの。無理をしてでも家族と一緒にいる時間を大事にしたい言います。常子は両親の話を偶然に聞き、幸せな気分で眠りにつきます。竹蔵は年の瀬が押し迫った頃、結核に倒れます。


第1週 第4話 「常子、父と約束する」

暮れに倒れた竹蔵は、正月も外に出ることも出来ず家で療養していました。三女の美子は竹蔵と外で遊べないことが不満です。それでは、と家族皆で百人一首を始めます。ここで母・君子が大活躍!強い!強い!どんどん札を取っていきます。常子も負けじと、やっと一枚の札を取ることが出来ました。その札を見た竹蔵と君子は顔を見合わせて笑い出し、その句は世の中の様子がこんな風にいつまでも変わらずあって欲しい。ごく普通の情景が切なく愛おしいと言う意味で、その句にちなんで常子の名前が付けられたと話します。竹蔵の想いが自分の名前に込められていることを初めて知った常子は感激します。春になりましたが竹蔵の病気は日に日に悪くなり、家の中でも完全に隔離された状態です。それでも竹蔵は家族に心配を掛けまいと明るく振舞い続けました。常子は弱って行く竹蔵が心配でなりません。竹蔵が毎年家族皆で花見をするのを楽しみにしていたと叔父の鉄郎から聞かされ、なんとかお花見に連れていけないかと想う常子でした。


第1週 第5話 「常子、父と約束する」

桜は散ってしまいましが、常子はどうにか竹蔵と花見が出来ないものかと考えます。常子達三姉妹は竹蔵が務めていた会社に協力を求め、桜色の布で桜の木に結びつける大量の花びらを作ります。叔父の鉄郎も手伝います。その頃、家では竹蔵が自分の命がもう長くないと君子に弱音を吐きます。君子は強い気持ちを持って欲しいと告げ、部屋を出て泣きます。そこに帰ってきた常子は君子にお願いして、竹蔵を一緒に桜の木のところまで連れて行きます。そこには三姉妹と鉄郎、会社の仲間達、皆で作った桜の木が満開に咲いていました。それを見た竹蔵は涙を浮かべて感激します。その夜、興奮して寝付けない常子の気配を感じ、竹蔵が襖越しに話しかけます。竹蔵は常子に2つの願いを託します。一つは常子の持つ発想力と集中力をこれからも大切にして欲しい。そしてもう一つは自分がいなくなった後、自分の代わりになって家族を守って欲しいと頼みます。「約束してくれないかい?ととの代わりを努めると」と言う竹蔵に常子は涙を拭き「はい、約束します」と答えます。 それから三日後、竹蔵は息を引き取ります。


第1週 第6話 「常子、父と約束する」

竹蔵は常子に家族を託し、この世を去っていきました。皆が悲しみにくれる中、父との約束を守ろうと常子だけ涙も見せず気丈に振る舞います。竹蔵の会社の社長がお参りに来た折に、竹蔵が会社に残した私物を整理しに来て欲しいと告げます。常子が君子の代わりにそれを引き受け、竹蔵の荷物を持ち帰ると、何も知らない鞠子から竹蔵が亡くなった後、常子は少しも悲しそうではなく、冷たいとなじられます。常子の胸も悲しみでいっぱいです。持ち帰った荷物を置こうと竹蔵の部屋に入ると思い出が溢れ、常子はこらえきれず家を飛び出します。常子は追いかけて来た君子に竹蔵との約束を話し、皆を守るには強くなって泣きたくなかったが、やはり悲しいと言います。君子は常子を優しく抱きしめます。それまでずっとこらえていた常子は君子の胸の中で思いっきり泣きます。翌日、常子は家族皆の前で竹蔵の代わりにととになると宣言します。すると美子がとと姉ちゃんだ!と言います。ととになるには何気ない暮らしを大事にするということではないかと君子に言われ、常子は「毎日を大事にやっていこう!」と妹達に言い、とと姉ちゃんが誕生します。それから4年後、小橋家は大きな転機を迎えることになります。


第2週 第7話 「常子、妹のために走る」

昭和10年(1935年)4月、父、竹蔵が亡くなってから4年が経ち、常子は高等女学校の4年制、鞠子は3年制、美子は尋常小学校の4年生になっていました。家の事は君子一人に負担をかけず、皆で協力をし竹蔵が大切にしていた家訓を守り、しっかりと暮らしていました。君子は竹蔵の会社から遺族援助を受けつつ、女工としても働き、何とか一家を支えていました。常子は「とと」になると誓ってから「家族を守る」 「鞠子、美子を嫁に出す」 「家を建てる」と3つの目標を作り奮闘し、学校でも明るく人気者です。鞠子は優等生で学内でも一目置かれる存在でした。美子は、、と言うと小橋家を訪ねて来た美子の担任から美子は学校では暗い顔をして誰とも話さず、いつも一人でいると聞かされます。美子に事情を尋ねると、友達との会話で父親の話が出ると、自分には父親がいないので、話せることがないから話さなくなり、一人になってしまったと父親のいる友達を羨みます。そんな美子を家族は励まします。次の日、美子は学校で笑顔になろうと務めていました。ちょうどその頃、常子は美子の弁当を間違えて持って来てしまった事に気づき、慌てて美子の学校に向かい、走ります。

 

第2週 第8話 「常子、妹のために走る」

美子はなんとか話をしようと頑張りますが、それを同級生にからかわれ、再び暗い顔になってしまいます。そこに常子が美子の弁当を届けに来て、友達と馴染むことが出来ず、ひとりでいる美子を見ます。常子は一肌脱ごうと教壇に立ち、美子が家では明るく楽しい子だと話します。しかし、調子に乗った常子の話は逆効果になり、皆が美子をからかいだします。美子は恥ずかしくなり、常子を無理やり教室から追い出します。家に帰った常子は美子に謝りますが、美子はもう、とと姉ちゃんなんて信じない!と泣き、怒りは鎮まりません。こんな時,
竹蔵ならどうするのだろうと常子は悩みます。次の日も美子は許してくれません。そして、何かにつけ三姉妹にちょっかいを出して来る玉置三兄弟に、仕事もせず、稼ぎも無いのに何が「とと」だとからかわれます。また、近所で火事が起こり、常子もバケツリレーに参加しようとしますが、男たちから邪魔にされ、はじき出されてしまいます。常子は自信をなくし、自分はどうしたら「とと」になれるのだろうと、ますます悩みます。


第2週 第9話 「常子、妹のために走る」

ある日、腹をすかした鉄郎が誰も居ない小橋家に忍び込み、わずかに残っていた米を食べあげてしまいます。小橋家の財政は一気に圧迫され、常子は学校をやめて働きたいと言い出します。そんな常子に君子は、今はちゃんと学校へ行き、色々身に着けて欲しい。それが竹蔵の望みでもあると言う。常子は鞠子に、お金も稼げない、美子の悩みも解決出来ない、「とと」をやっているとは言えないと悔しがります。差し当たって米問題を解決しようと鞠子が言います。常子はどうしたものかと、ふと目についた町内運動会のお知らせに二人三脚の一位の賞品は米1表と書かれているのを見つけます。この運動会に出て一位になれば小橋家の米問題は一挙に解決です。しかしながら男性とも同じに戦わなければならず、勝つのは至難の業です。鞠子が竹蔵が前に運動会で1位になり、美子が飛び跳ねて大喜びしていたことを懐かしみながら話します。常子は自分が一位なって美子を喜ばせようと、君子と二人三脚の練習をみっちり始めます。そんな中、君子は転んで手首を痛め、運動会に出場が出来なくなります。しかし。ここで諦めるわけにはいきません。そこで常子と君子は勉強は出来るが運動は苦手の鞠子を君子の代わりに出場するよう説得します。


第2週 第10話 「常子、妹のために走る」

運動会当日、常子と鞠子はお米獲得の為、二人三脚の練習に励みますが、中々息が合わず、うまくいきません。そこに又しても、同じ二人三脚に出場する玉置兄弟がからかいに来ます。常子たちは相変わらず彼らを無視します。無視された事に腹を立てた玉置兄弟はお前らの父ちゃんは躾も出来なかったと竹蔵を馬鹿にします。それまで半ば諦めていた鞠子は竹蔵を悪く言われた事に発奮し、何とか三兄弟に勝ちたいと真剣になります。常子は、早く走る秘策を考え出します。二人三脚のレースが始まり玉置兄弟がトップに躍り出ますが、秘策をあみ出した常子と鞠子も追い上げます。美子も竹蔵を応援した事を思い出しながら姉二人を大声で応援します。そして、常子と鞠子はとうとう、焦って転倒した玉置兄弟を抜き、3位でゴールインします。1位ではありませんでしたが、3位の賞品として5升のお米を貰うことが出来ました。姉たちの活躍のお陰で、美子は同級生とも話をすることが出来ました。その夜、美味しいご飯を食べながら、常子と美子は仲直りをします。久しぶりに小橋家に和やかな時間が訪れます。しかし、そこに竹蔵の務めていた会社の社長がやって来て、援助を打ち切らせて欲しいと告げます。


第2週 第11話 「常子、妹のために走る」

運動会の夜、竹蔵の務めていた会社の社長が小橋家にやって来て、援助の打ち切りを告げます。竹蔵以外にも結核で亡くなった社員が何人かおり、全ての遺族を援助することも出来ず、小橋家だけを特別扱いすることが出来なくなったのです。謝る社長に君子は今まで援助してもらった事の礼を言います。明るく振る舞ってはいましたが、このことは大きな不安となって皆の心にのしかかって来ました。幼い美子まで、医者に掛かるとお金がかかると遠慮して、具合の悪いことを言えずにいました。美子の病気がひどくなり、常子と鞠子は夜遅く医者を呼びに行き、その途中で鉄郎に会います。鉄郎は初めて小橋家の家計が苦しい事を知り、いつも厄介をかけている手前、一肌脱ごうとします。大家のところに行き、家賃を負けてくれるように頼みます。大家はその頼みは断ったが、いざとなったら妾の口を世話すると君子に言います。それを聞いていた美子が鉄郎に、妾ってなあに?と聞きます。鉄郎は常子と鞠子を家の外に呼び出し、その事を告げます。


第2週 第12話 「常子、妹のために走る」

常子と鞠子は叔父の鉄郎から、君子が妾になる話があると聞き、動揺します。鉄郎はそれを二人に告げるとさっさと旅に出て行ってしまいました。常子と鞠子は、君子を妾にさせない為に、自分達が働いてお金を稼ぐしかないと考えます。翌日から仕事を探して回りますが女には容易に仕事などありません。ある夜、鼻歌を歌う君子に逆に不安を感じ、何か悩んでる事があるのでは、、?と常子が聞くと、悩んではいたが、答えは出せたから心配しないでと吹っ切れた様に言います。二人は益々心配になります。以前、鉄郎が日本人も鳩を食べる様になり、鳩はお金になると話していたのを思い出し、三人は鳩を捕まえて売る事にしました。ある日、君子が仕事から帰ると手紙が来ており、先日、君子が何処かに援助を頼んだ手紙の返事の様です。その頃三人は、公園で奮闘して捕まえた鳩を焼き鳥屋に売りに行きます。しかし、種類が違うと言われ、これも徒労に終わります。がっかりして家に帰ると、君子は居らず、よそ行きの着物と髪飾りがありません。三人は君子が妾になるために出かけたのだと思い、慌てて君子を探します。君子を見つけると、常子達は妾になることを思い直してくれと必死に頼みます。心配する三姉妹に君子は、妾になんてならない、女学校に転校手続きの事を聴くために、行こうとしていたのだと言います。どうして?と聞く常子達に、君子は君子の母に世話になるかどうか悩んでいたと話し出します。常子達は祖父母は早くに亡くなったと聞かされていましたので驚きます。


第3週 第13話 「常子、はじめて祖母と対面す」

君子は娘達にすでに亡くなったと言っていた母・青柳滝子と18年前に起きた事を話し始めました。君子の実家は東京の深川に200年以上も続く材木問屋でした。父は君子が子供の頃に他界し、それからは滝子が女将としてその青柳商店を切り盛りをし、君子を育てました。滝子は君子を厳しく育て、結婚相手も滝子が強引に決めようとしたのです。その時すでに竹蔵を好きだった君子は滝子に反発し拒んだところ、出て行くように言われ、家を出ます。以後、滝子には二度と会わないと心に誓い、絶縁状態になってしまいました。そんな過去があったのですが、自分の稼ぎではこの先どうにもならず、迷いに迷って娘達の学費を援助して欲しいと滝子に手紙を出したのでした。返事が来ないのも覚悟していたのですが、意外にも荷物をまとめてこっちにおいでと電話をくれたと言います。その晩、三姉妹は寝床で話し合い、祖母と暮らすことや新しい生活に不安を感じながらも、東京に行く事に決めました。翌朝、その事を君子に告げます。そして引っ越しの日、皆で竹蔵と暮らした日々を懐かしみながら、浜松の日々に別れを告げます。


第3週 第14話 「常子、はじめて祖母と対面す」

小橋家の皆は竹蔵の会社の人達や玉置三兄弟をはじめ、其々の友達に別れの挨拶をし、常子は竹蔵との約束を胸に東京へと向かいました。途中、汽車の中で鉄郎がひょっこり現れます。小橋家を訪ねたのですが、もぬけの殻で、君子が大家さんに預けていた鉄郎宛の手紙を見て、慌てて後を追って来たというのです。一家が深川に着くと、そこには屈強な男達と大量の丸太が運河に浮かぶ、今まで見たことのない景色が広がっていました。そして、皆は君子の実家・青柳商店に到着します。その豪華な家に常子達は驚きます。それを見届けると鉄郎は、また来ると言って去って行きました。そこに青柳商店の番頭の隈井が何か用かと声を掛け、君子を見て再会を喜びます。隈井は君子たちが滝子のもとで世話になる事を知りませんでした、滝子にとって、君子達の事は摂るに足らない事なのだと君子は不安になります。隈井は君子と三姉妹を家の中へ案内します。部屋に祖母・滝子が入って来て、皆は緊張しながら挨拶をしますが、滝子は鋭い視線で皆を見ます。常子は初めて滝子と出会いました。


第3週 第15話 「常子、はじめて祖母と対面す」

鋭い視線で君子と三姉妹を見据えた滝子に皆は圧倒されますが、滝子はすぐに笑顔になり、「よく来たね」と一家を優しく迎えます。君子は、家を飛び出した自分が再びここに戻る事は出来ないはずと詫ますが、滝子は君子の言葉を遮り「おかえり、君子」と暖かく言います。その様子を見て、滝子に過去のわだかまりは無いと思えた常子達はホッとします。横にいた番頭の隈井も泣いています。君子達が帰って来ると聞けば、嬉しくて仕事も手につかなくなるから隈井には言わなかったと滝子が言います。その夜、君子は隈井に滝子に会うまでは不安だったと話すと、君子が出て行った後、滝子は人の意見にも耳を貸すようになったと隈井から聞かされます。君子の育ったこの家で君子の子供時代の話を聞き、母には母ののこれまでの人生があった事に気付き、常子は嬉しくなりました。翌朝、常子は窓から活気ある深川の様子を見て、新しい生活が始まると実感し、心踊る気分になります。そして、君子が実家を去った後に、青柳家の跡取りとして養子になった清に出会います。清は常子をじっと見つめ、思ったよりきれいだと言う。常子の胸は高鳴ります。


第3週 第16話 「常子、はじめて祖母と対面す」

東京に来て一週間が経ち、常子と鞠子は女学校の編入試験を受けるために勉強を始めていました。常子は清に思ったより綺麗だと言われた事が気になり、勉強に集中出来ずにいました。美子も清の事を同じ叔父の鉄郎とは違い、おしゃれで東京の人って感じ、、と好評価です。しかし、三姉妹は清と接する度に自慢話を聞かされ、嫌気が差します。清が常子の思うような人間ではなかった事に気付き、あっさり熱は冷めてしまいます。滝子と小橋家の皆がいるところに近所の森田屋のまつが声を掛けてきました。しかし、二人は嫌味の応酬で、常子達はびっくりします。隈井がそれを見ていて、あの二人は犬猿の仲だと言います。君子は働き口を探しますが、なかなか見つかりません。そんな中、娘達が滝子に懐き、青柳商店での新しい生活に馴染めている様子を見て救われた気分でした。常子は君子の為に何か手助けが出来ないかと思います。相変わらずの清の自慢話にヒントを得た常子は、君子の就職の手助けのために、仕事で外回りの機会があれば自分を連れて行って欲しいと滝子に頼みます。家族を助けるためだったらなんだってしたいと言う常子に、滝子は付いて来いと言います。


第3週 第17話 「常子、はじめて祖母と対面す」

滝子は仕事で外回りをする時には常子を連れて行きました。ある取引先に立ち寄った時、そこの大将が支払いを待ってくれるよう滝子に頼みます。滝子は邪魔したねと言って店を出ます。帰り道、滝子は常子にこの店はきちんと支払いが出来ると思うかい?と尋ねます。常子は大将の教育がしっかりしている良い店だから、口先だけでごまかすことは無いと思うと答えます。滝子は常子の人を見る力を感じます。そんな時、青柳商店に取引先の下川屋の二代目が来て、浅草で遊んだ話をしていきました。下川屋が帰ると滝子は隈井に下川屋との取引も潮時だと言います。常子はどう言う事かと滝子に聞くと、下川屋の二代目は道楽息子でそんな奴が跡を継ぐなら先は見えている。今のうちに手を引くのが一番だと言います。それを聞き常子は、滝子の仕事は世間話をしながら情報を集め、先行きを判断して行く事だったのですねと納得します。滝子はその通りだと言い、常子を益々気に入ります。滝子は町を歩きながら、長引く不況で路頭に迷い、普通の暮らしさえ出来ない人々を見ながら、普通の暮らしを守ることが自分の仕事だと常子に言います。常子は日常が何より大切で愛おしいと言っていた竹蔵の思いと通じると感じ、感動します。一方、君子は東京に来てから数多くの仕事先を回わりましたが、まだ職に就けずにいました。ある日、滝子は君子を部屋に呼び、常子を清の嫁にして、青柳商店を継がせたいと告げます。


第3週 第18話 「常子、はじめて祖母と対面す」

常子達が東京の滝子の元に身を寄せ、馴染んできた頃、滝子は君子を自室に呼び、常子を清の嫁にして青柳商店を二人に任せたいと言い出します。やはり自分たちを呼び寄せたのは娘達の誰かを清の嫁にしようと思っていたからの事だと言う君子に、滝子はこの何日か常子を見て決めたのであって、決してそんなことは無いと否定します。君子は竹蔵とも話し合っていたが、娘達の人生は娘達に選ばせると言います。滝子は甘いことを言うんじゃない!女はどこで働いてもろくに稼ぐことも出来ない、現に出て行ったお前が私のところに泣きつて帰って来たではないか!清に嫁げば食うに困らないと言います。しかし君子は自分が選んだ竹蔵との時間が間違ったものだとは思わない、だから常子に滝子が思い描くような人生を歩ませる訳にはいかないと言い切ります。滝子は激怒して、またもや「だったら出ていきな!」と言います。君子は娘達にここにはもういられないと告げます。常子達は青柳商店を出て、行く当てもなく歩き始めます。不意に君子が「住み込み女中求む」という張り紙を見て立ち止まります。それは滝子と犬猿の仲のまつの仕出し屋「森田屋」の張り紙でした。まつに頼み込み、常子達は森田屋に住み込むことになります。滝子は隈井にここで縁が切れたらもう二度と会えないかも知れない、せめて居所だけでもと諭され、探す様に命じたその時、裏の二階に君子を見つけます。常子達は荷物を解く暇も無く、まつから手伝うようにと台所に呼ばれます。そこには大将の森田宗吉、妻の照代、娘の富江、従業員の長谷川哲典が忙しく働いていました。


第4週 第19話 「常子、編入試験に挑む」

常子達は滝子が切り盛りする青柳商店と同じ深川にある弁当屋の森田屋に住み込む事になります。荷物を解く間もなく、森田屋の戦場のように忙しい仕事を手伝わされます。夕食になり、挨拶をしようとした君子に森田屋の大将は、青柳の人間だからと言って容赦はしない、泣き言をいったら放り出すと言います。嫁の照代は早く慣れろと笑顔で接してくれるのですが、その笑顔が怖いと感じる常子達でした。そしてなにより、森田家は賑やかで、口汚く喧嘩が始まるのに驚いてしまいます。その夜、青柳商店から常子達の荷物が届きます。常子は荷物を片付け、新たに気持ちを引き締めます。隈井が屋台で飲んでいると、君子を見かけます。君子は近くの神社にお参りに来て、滝子が言った言葉を思い浮かべ、ため息をつきます。ふと気が付くと常子が後ろに立っていました。君子が出て行くのを見て、後を追って来たのす。常子は君子が女学校の学費の事を悩んでお参りに来たのではないかと尋ねます。君子は学費は自分が夜も働いて何とかすると言います。常子は君子の身体が壊れてしまうと心配します。そんな二人の話に割って入った隈井は、学費を自分に出させてれと申し出ます。最初は断った君子でしたが、借りると言うことで、隈井の申し出を受けます。


第4週 第20話 「常子、編入試験に挑む」

森田屋の朝は4時から始まり、戦争のような忙しさに常子達は巻き込まれていきます。常子と鞠子は近所の寺へ弁当を配達した帰り、地面に這いつくばっている青年を見つけ、具合が悪いのかと声を掛けます。その青年は植物は過酷な環境下でもそれに順応して生き抜こうとする事が解ってきたので、日陰でも逞しく育つのではないかと観察するために植え替えをしていたと言います。常子は熱弁を振るう一風変わった青年に関わらないよう、鞠子の手を引き帰ります。まつに付いて配達に行った君子達と出会ったところに、前方から滝子と隈井がやって来ました。相変わらずの滝子とまつの嫌味の応酬の後、滝子は君子達を無視して行ってしまいました。常子達は暗い顔でうつむいてしまいます。君子は森田屋の仕事のスピードについて行けず、しょっちゅう大将に怒られ、居場所がありません。その都度滝子の言葉が君子の頭を過ぎり、落ち込みます。常子はそんな君子を案じます。厨房で役に立たずリヤカーの空気入れを命じられた君子に、常子は「日陰でも逞しく育ちますから」と青年の言った言葉を借り、君子を励まします。大将は常子達に弁当の配達に行かせます。配達から帰って来ると店に客が怒鳴りこんで来ていました。どうしたのかと尋ねると、【松】と【竹】の弁当を間違えて届けてしまったようだと聞かされます。


第4週 第21話 「常子、編入試験に挑む」

森田屋では高い弁当【松】と安い弁当【竹】を間違えて配達してしまい、怒った客が怒鳴りこみ、大将と照代は平謝りです。お金を返して帰ってもらいましたが、今度は大将が怒り狂います。慣れない常子達がしくじったのではないかと思われますが、実は従業員の長谷川のいい加減な仕事のせいでした。常子達は【松】を頼んだ客に詫びを言いに行く様に命じられます。しかし、怒った客の反応は厳しいものでした。やっと詫びが終わり、帰り道に、長谷川が常子達に自分のせいで悪かったとお菓子を買って来てくれます。それを食べながら、常子はやはり【竹】を注文した客にも謝りに行くと言い出し、皆で再び詫びに回ります。君子達の様子を伺いに来た隈井はまつに見つかり、成り行きで大将と将棋をさすことになります。そこに常子達が帰って来ると、【竹】の客にも詫びに行き、恥の上塗りをしたと大将から怒鳴られます。まつが割って入り、どうしてそうしたのかと尋ねます。常子は、たとえ損をしても間違った筋は通してはならず、長く店を続けていく為にはそうした心意気が大切だと思うと答えます。まつは常子の言葉に良い人に来てもらったと大いに喜びます。この事を隈井は感心して滝子に報告します。滝子はやはり常子は青柳商店に入るべき子だと改て思います。


第4週 第22話 「常子、編入試験に挑む」

常子達はようやく森田屋の人たちに認められ、新しい生活に少しづつ馴染んできました。そして、常子と鞠子は忙しい森田屋の仕事を手伝いながら、女学校の編入試験のため、夜遅くまで勉強に励んでいました。夏休みの終わりに常子と鞠子は編入試験に臨みます。満足に勉強が出来なかった二人でしたが、何とか無事に合格することが出来、大喜びです。夏休みが終わり、新学期が始まる朝、常子と鞠子、そして君子の三人は通りで滝子に出会います。気まずくすれ違うだけでしたが、滝子は隈井に常子の古い制服を見て、新しい制服も買えなくてみっともないと言います。常子は節約のため浜松の女学校の制服をそのまま着て行く事にしたのです。その制服が野暮ったいと陰口を言われ、新しいクラスメイトに全く歓迎されない事に、常子は戸惑います。そんな事もあり、常子は自分より友達を作るのが苦手な鞠子の事が気掛かりでした。しかし、鞠子はあっさり友達が出来たと言い楽しそうです。出前の帰りに友達が出来ない事を考えあぐね、ぼんやり歩いていると、先日出会った植物オタクの学生とぶつかってしまいます。そのオタク振りにそーっと逃げ出そうとする常子を学生は呼び止めます。


第4週 第23話 「常子、編入試験に挑む」

常子は以前お寺で見かけた植物オタクの学生にばったり出会います。関わらないように立ち去ろうとする常子を青年は呼び止めます。そして、またもや話は植物の事になり、ひまわりは花をつけると堂々と東を向いて動かなくなる。それは悪くないのに卑屈になる必要はないと言う事だと訳の分からない事を言います。常子は青年の話に少し気分が晴れます。次の日、常子は青年が言っていた様に学校で堂々としていようと笑顔をつくりますが、青年とのやりとりを目撃した生徒が男性と密会をしたと言いふらし、クラスメートからは汚らわしいと陰口を叩かれます。そして、試験中に常子がカンニングをしたかの様にいたづらをされ、先生にひどく叱られます。常子は必死に潔白を訴え、クラスが騒然とする中、いつも毅然としている中田綾が再試験を提案します。再試験で潔白を証明したい常子でしたが、中々捗りません。そんな時、ふらっとやって来た鉄郎に一番になるためには一番の人に教わるべしと的を射たヒントをもらい、常子は中田綾の家へ勉強を教えて欲しいと頼みに行きます。最初は断る綾でしたが、試験が終わったらもう話しかけないと言う約束で了解します。


第4週 第24話 「常子、編入試験に挑む」

常子は再試験の為、クラスの優等生・中田綾に勉強を教えてもらいながら、寝る間も惜しんでも猛勉強をしていました。ある日、勉強を教えに来た綾に君子がお茶を出した折、綾は君子に常子が学校で試験の時に不正をしたのではないかと疑いを掛けられている事、そして、潔白を証明する為にも次の試験には良い点を取らなければならない事を話します。それを立ち聞きしていた美子が大将の宗吉に耳打ちしたことにより、森田屋の皆は元より、隈井や滝子までがその事を知る事になります。森田屋の人達は手伝いはいいから勉強をしろと常子を応援します。そんな中、君子も努力の結果、森田屋の仕事に付いていけるようになりました。その様子を見た常子も一層頑張ります。試験が終わり、常子は綾に次いで2番の成績を収め、疑いは晴れます。綾と二人での帰り道、常子は試験が終わったら話しかけないと言う約束を破っても良いかと綾に尋ねます。綾は勝手になさいと笑顔で答えます。常子が洗濯物を取り込んでいる時、君子とそっくりな所作の滝子を見て、君子と滝子が解り合える日がきっと来ると思います。そこに鞠子が血相を変えてやって来ます。下に干していた鞠子の制服が無くなったと言うのです。


第5週 第25話 「常子、新種を発見する」

常子達は森田屋の仕事にも慣れ、女学校にも無事編入することが出来、新しい生活が始まりましたが、そんな時、物干しに干していた鞠子の制服が紛失します。森田屋の人々にも尋ねますが、制服は出て来ません。制服が見つからないまま夜になり、仕方なく次の日は常子と同じ浜松時代の制服を着て行くと鞠子は言います。すると、常子は学校で一人だけ違う制服を着ている事がどんなに勇気がいるか鞠子にアドバイスをするのですが、その事で常子が受けていた辛い仕打ちを家族に知られます。次の日の朝、常子は富江の部屋の前でボタンを拾います。常子は鞠子の事が心配になり、様子を見に行きますが、クラスメートに囲まれ仲良くやっている様子を見て安心します。綾と制服の話をしているうちに綾の制服のボタンが今朝拾ったボタンと同じ事に気が付きます。学校から帰り、富江に尋ねると、あっさりごめんなさい!と詫びます。事情を聞くと、制服が羨ましくてちょっとだけ着てみようと手を通したら破れてしまい、何とか直そうとしたが、上手く行かず、途方に暮れていたと話します。それを聞いた常子は協力させてくれと申し出、ミシンで直そうとしますが、ミシンが動きません。一瞬困った常子でしたが、何かを思いついた様子で制服を抱え、富江に行こう!と言って家を飛び出します。


第5週 第26話 「常子、新種を発見する」

富江が破ってしまった鞠子の制服を直そうとした常子でしたが、あいにく小橋家のミシンは壊れて動きません。そこで青柳商店のミシンを使わせてもらおうと、富江と二人で清にミシンを使わせて欲しいと頼み込みます。常子は君子に遠慮して滝子に頼むことが出来ませんでした。しかし、滝子に見つかってしまいます。事情を話すと滝子は気持ち良くミシンを使わせてくれました。その頃、森田屋の人々は富江がいないと心配し、皆で探していました。滝子は常子がミシンをかける様子を見て良い手つきだと感心します。常子が小さい頃から自分で出来るようにと君子に仕込まれたと言うと、「あの、君子が、、、」とまた感心するようにつぶやきます。制服も直り、常子は滝子に黙ってミシンを使おうとしたことを謝り礼を言うと、滝子は孫なのだから堂々と使えと言い、君子はどうしている?と尋ね、気に掛けている様子です。そして、常子にこれからどうなりたいのか、青柳商店を継ぎたくはないかと聞くと、常子は「とと姉」として、妹達を嫁に出し、家族を守る事しか考えた事がなかったと答えます。富江と二人で森田屋へ帰ると、清が制服を縫う為二人に気前よくミシンを貸したと自慢したせいで、富江が制服を持っていたことを皆が知っていました。宗吉は富江に「お前が盗んだのか!」と殴らんばかりの勢いで怒鳴ります。


第5週 第27話 「常子、新種を発見する」

富江が幼い頃から家業を手伝い、不平不満を一言も言わなかったのを良い事に、家族の者は富江に何一つ女の子らしい事をさせてこなかった事を反省します。可愛い制服を着てみたかったと言う富江に、常子は一日お休みをもらい制服を着て一緒に出かけようと提案します。富江に甘えきっていた家族は是非行って来いと許します。次の日曜日、常子は鞠子の制服を着た富江を浅草に連れて行きました。富江の抜けた後を鞠子が手伝いますが、皆は調子が狂い、へとへとになります。始めは楽しんでいた富江でしたが、段々家業の事が気になり始め、半日もせずに帰って来てしまいます。富江は幼い頃から任されているぬか床を混ぜながら、私は根っからの森田屋の娘みたいと言います。ずっと無理をさせていたのではないかと心配していた宗吉達は嬉しくてホッと胸を撫で下ろします。改めて自分の居場所を森田屋に見つけた富江を見て、常子は自分はどんな職業に就くのか将来を考え始めしました。その夜 君子は、ミシンを借りに行った常子に、滝子はどうしていたか尋ねます。滝子も君子の様子を気に掛けていましたと常子は答え、する事も癖も良く似ている親子だから、仲直りは出来ないかと尋ねます。君子は心配を掛けていることを詫びますが、似ているから上手く行かないこともあるのだと寂しそうに言います。


第5週 第28話 「常子、新種を発見する」

常子は君子と滝子がどうにか仲直りが出来ないか考えていた学校の帰り道、偶然、あの植物オタクの学生を見かけます。常子が駆け寄り声を掛けると、学生は常子に抱きつきます。学生は驚いた常子におそらく貧血だと言い、また倒れてしまいます。常子はそんな学生を見かねて森田屋へ連れて帰ります。すると、森田屋の人々はいつも大きな荷物を持ち他人の家の庭を覗いている学生を、押し売りか空き巣と勘違いして身構えます。学生は帝国大学の学生証を差し出し、自分は星野という者で帝国大学で植物の研究をしていると説明します。森田屋の人達はお詫びの印と言って星野にご飯をごちそうします。星野は研究に没頭するあまり、食事もろくに摂らなかったので、たいそう美味しそうに頬張ります。話をするうちに、いつか植物の新種を発見し、世話になった両親の名前を付け、恩返しがしたいと言う星野を森田屋の人達は気に入ります。新種発見は大変難しい事なので、取り敢えず今の目的は日本初の植物の発見だと星野が言うと、親孝行な星野にほだされ、皆は応援する事を約束します。星野が帰る際、忘れ物の手拭いを常子が追いかけ渡す様子を見て、鞠子は星野は常子が好きなのではないかと君子と美子に言いますが、それが聞こえた星野にあっさり否定されます。星野を見送る常子を見て、君子は常子の将来が幸せであって欲しいと願います。


第5週 第29話 「常子、新種を発見する」

星野が森田屋にごちそうになったお礼を言いにやって来ました。美子が星野のノートを見せてもらうと、星野が探している海外の植物の絵がたくさん描かれていました。皆がそのノートの周りに寄ってきて、その中の一つでも日本で見つければ新発見になると盛り上がります。常子がノートに描かれているキノコを見て、どこかで見たと言い出します。それは青柳商店で見たのでした。常子は星野を青柳商店へ案内します。滝子は商用で留守でしたが、隈井が出て来て星野を怒鳴ります。星野はここでもまた押し売りに勘違いされ、屈強な男達につまみ出されそうになります。常子が事情を話し、キノコのある中庭に行くと、そこはすでに清が掃除をして、キノコを取ってしまっていました。やっと清を探し、星野はキノコを手にするのですが、そのキノコはすでに発見されていた物でした。がっかりした常子達でしたが、星野が小さな花を見て奇声をあげ、この花こそ新発見だと言います。その花を森田屋に持ち帰ると宗吉を始め、皆は興奮し、ちょうど翌日は店が休みなのでお祝いをしようと喜びます。翌日、皆が総出でお祝いの準備をしていると、鞠子が新聞を持って駆け込んできます。そこには星野が新発見したはずの花が、すでに他の誰かに発見されたと言う記事が載っていたのでした。


第5週 第30話 「常子、新種を発見する」

星野が新発見をしたと信じている花がすでに他人により発見され、それが新聞で報じられていたのを皆は知ってしまいます。それを知らずに祝ってもらう為、星野は森田屋にやって来ました。厨房では誰が星野にその事を伝えるか散々揉めた挙句、常子がその役を引き受ける事になります。お茶を出す常子に星野は両親に新発見の報告の手紙を出したと言い、僅かながらでも恩返しが出来たと喜びます。そしてそれは常子のお陰だと礼を言います。常子は益々言い出せず皆の元へ帰ります。皆も可哀想でどうすれば良いか考えあぐねていた時、星野の奇声が聞こえます。驚いて皆が駆けつけると星野がが茶をこぼしていました。それを長谷川が持っていた新聞で拭いたのですが、その新聞の記事を見た星野は全てを知り、ショックで倒れてしまいます。常子はそんな星野を元気付ける為に星野が一番好きだと言っていた故郷の味噌汁を作ってみます。目が覚めた星野に味噌汁を出し、しっかりご飯を食べてご両親の為にも元気でいることが大事だと諭します。星野は常子の言葉にその通りだと納得し、新たに頑張ることを誓います。星野は森田屋の人々に送られ元気を取り戻して帰って行きました。そして、君子と滝子の関係は依然進歩は見られず、三姉妹は歯がゆい思いをしています。


第6週 第31話 「常子、竹蔵の思いを知る」

森田屋に住み込むようになって三ヶ月が経ち、新しい生活にもすっかり馴染んできた常子達でしたが、君子と滝子は相変わらず仲直りが出来ずにいました。君子が頑なに滝子を受け入れないのには理由が有りました。滝子の思い描く様に、常子を清と結婚させて青柳商店を継がせたいと言う話を常子が知れば、常子は家族の為に自分を犠牲にして滝子に従うだろうと君子は思っていました。一方、常子と鞠子は料理に興味をもち、長谷川に料理を教えてもらいその腕前は宗吉も褒める程、上達していました。君子も森田屋で自分らしさを発揮出来るようになり、生き生きと生活していました。。美子は美子で君子と滝子の関係をよそに滝子に甘え、まつにも調子よく甘えていました。すっかり常子達を受け入れた森田屋の皆が滝子と君子の仲を心配すると、君子は滝子に頼らす自分の力だけで生きている今のままで十分だと言います。ある日、常子は学校の帰りに星野を見かけ、二人でかがんで植物を見ていると、隈井と一緒にいる滝子にバッタリ出会したまつが、あんな良い孫達を追い出すなんてひどい人も居たもんだと嫌味を言うのを目撃します。まつが去った後、隈井は怒り、滝子が学費も出していて、常子達を想わない訳がないと悔しがります。それを聞いてしまった常子は帰って鞠子にこの事を君子に伝えたものかどうか相談します。


第6週 第32話 「常子、竹蔵の思いを知る」

隈井が好意で常子達の学費を貸してくれていると思っていた常子でしたが、実は隈井を通して滝子がお金を出していた事を耳にしてしまいます。鞠子と相談して、滝子の援助を受けずとも自分の力で暮らしていることを誇りに思っている君子には黙っておくことにします。君子は学費の援助は隈井からのものだと信じ、森田屋の仕事の他に内職をして、毎月少しづつ隈井に返済をしていました。学校で常子がどうしたものかと難しい顔をしていると、綾が常子の悩みの相談にのるから、自分の悩みも聞いて欲しいと言います。放課後、綾は常子の話を聞くと、学費の事が滝子と君子の仲直りのきっかけになるかも知れないと言います。常子が綾の悩みを聞くと、両親から結婚を勧められており、自分がどの様な男性が好みなのか解らないと言います。綾は常子の周りにはたくさん男性がいて羨ましく、勉強になったと帰って行きます。常子は隈井を見かけ、隈井に学費の事を確かめます。そして、学費の事はしばらく君子には黙っておいて欲しいと頼みます。君子がお金の返済をする時、酒に酔った隈井はこのお金はきちんと滝子に戻すと口を滑らせてしまい、常子も知っている様な事を言ってしまいます。君子は常子に学費の事を何か知っているのか尋ね、鞠子まで知っていた事を知ります。常子は君子に青柳の家を出た時に何があったのか尋ね、滝子は自分達を気遣ってくれていると言うと、君子は厳しい顔をし、その足で滝子を訪ねます。


第6週 第33話 「常子、竹蔵の思いを知る」

常子達の学費を隈井を通して滝子が出していた事実をを知った君子は、夜更けにも関わらず滝子を訪ねます。学費を出してもらっているのを滝子に確かめると、君子は学費を受け取ることは出来ないと滝子にきっぱり断ります。君子は自分の力で生きていけるところを滝子に見せるいい機会だと思っていたが、またしても滝子は最初から無理だと決めつけ、学費を出し、常子の青柳への嫁入りを断れないように仕向けたと滝子に言います。そして、 もう関わらないでくれ、自分の稼ぎだけで子供達と暮らしてみせますと言い、青柳を去ります。君子は迎えに出ていた常子と鞠子に学費の援助は断ってきたと告げます。君子は学費の支払いを送らせて貰うよう学校に頼み、朝早くから日が暮れるまで森田屋で働き、夜遅くまで内職をし、何とか自分の力で娘達を養おうとしていました。いつものように美子が滝子を尋ねると、もうここには来るなと言われます。美子はおやつが貰えず、友達も帰ってしまい、二人の姉は君子の手伝いで忙しく、寂しい思いをします。そんな折、常子と鞠子は竹蔵の務めていた会社の社長と青柳商店の前でばったり出会います。現状を社長に説明するのですが、常子は社長が滝子のことなどよく知っている様子を不思議に思い、問い正すと、実は竹蔵に口止めされていたが、もう時効だろうと話し始めます。


第6週 第34話 「常子、竹蔵の思いを知る」

上京した社長から竹蔵が生前、君子と滝子を仲直りさせようと働きかけ、亡くなるまで毎月滝子に小橋家の近況を手紙にして送っていたことを聞かされます。感激した常子は社長に礼を言い、滝子を説得するために青柳商店を訪ねます。滝子は常子を門前払いにしようとしますが、常子は話が出来るまで意地でも動かないと頑張ります。根負けした滝子は常子を部屋へ通します。常子は滝子が学費を出してくれていたのを知り、自分達を気遣ってくれたことを嬉しかったと告げ、もう一度君子と話し合って欲しいと頼みます。妹達を女学校に入れ嫁に出す目標を今の常子にはどうすることも出来ず、無理をする君子の身体も心配なので、話し合いが出来ないと言うのなら、自分は女学校をやめて働くので妹達の学費を援助して欲しいと頭を下げます。それを廊下で聞いていた隈井が入って来て、常子達が青柳を出て行く事になった事情を話し始めます。滝子が常子達の幸せを思って言った事が君子には受け入れ難く、常子に理由を明かさなかったのは常子を守るためだったと知ります。常子は二人の対立の原因が二人共が自分の幸せを思っての事と解り、嬉しさと悲しさが入り混じって大泣きをします。心を動かされた滝子は竹蔵からの手紙を常子に差し出し、君子に伝言と一緒に届けて欲しいと頼むのでした。


第6週 第35話 「常子、竹蔵の思いを知る」

竹蔵が滝子に宛てた手紙の束を抱え、常子は君子の元へ走って帰ります。森田屋の二階で鞠子と一緒にいる君子に竹蔵の手紙を届けます。三人は竹蔵の手紙を読みながら、竹蔵を懐かしみ、竹蔵の皆に対する思いを知り涙を流します。常子は竹蔵が15年前から亡くなるまで、滝子に日々起こる事を手紙に綴った小橋家通信なるものを送っていた事、そして、それを滝子は大事に保管していた事を伝えます。滝子は竹蔵の手紙を読み、小橋家の暮らしを認めるようになっていき、実際に常子の様な感心な娘を育てた竹蔵や君子が正しく、自分が間違っていたと非を認めたと言います。最後にもう一度話がしたいので今すぐお寺に来て欲しいと滝子の伝言を聞いた君子は常子、鞠子と共にお寺へ向かいます。一方、滝子も隈井を伴いお寺に向かうのですが、途中、川で一人遊びをしていた美子が誤って川に転落するところを目撃します。そこにちょうどやって来た常子達と木場の男たちで大騒ぎになる中、美子を助け出したのは常子でした。美子は友達や姉たちに遊んでもらえず、滝子の元へは来るなと言われ、居場所がなく、仕方なく川で一人遊びをしていたのでした。青柳商店に運ばれ気がついた美子に皆はひとりぼっちにしたことを詫ます。そして、君子は滝子に心配を掛けた事を詫び、滝子も暖かく皆を受け入れます。


第6週 第36話 「常子、竹蔵の思いを知る」

川に落ちた美子と助けた常子は青柳でお風呂をもらい、久しぶりに小橋家の皆は隈井と清と一緒に青柳で座卓を囲みます。滝子はやり残した仕事をしていて不在の中、美子が部屋にあった百人一首を見つけ、昔、竹蔵と一緒に遊んだ事を常子達は懐かしく話します。隈井が滝子の仕事が終わるまで、皆で百人一首で遊ぼうと提案します。常子は君子の札を見つけ、「かか」の札だと美子に見せますが、隈井が君子の札はその札ではないと言います。貴方のためなら捨てても惜しくはないと思った命だが、貴方とお会い出来た今、貴方と一緒に少しでも長く生きたいと思うようになったという意味の恋の詩が君子の札だと言います。滝子が君子を産むとき、子供を産めば母体が危険だと言われていたが、自分の命と引換えにしても産みたいと言って産んだのが君子でした。その時の滝子の気持ちがこの詩を選んだのでした。それを聞き、君子は滝子の有り難い思いに涙します。そして、ちょうど仕事を終えやって来た滝子に意地を張ってばかりで済まなかったと詫ます。滝子は意地っ張りはお互い様だと言い、200通もの手紙をくれた竹蔵に感謝するという意味も含めて、学費を援助させて欲しいと申し出ます。君子はありがたくその申し出を受けます。森田屋での仕事があるので、今の生活は変わりなく続けることになりました。その夜、君子は竹蔵に滝子との仲直りと娘達が立派に育っている事を報告します。


第7週 第37話 「常子、ビジネスに挑戦する」

昭和11年、常子の家族を思う強い気持ちに揺り動かされた滝子と君子の仲も修復され、常子は女学校の最終学年を迎えました。この時代女学校を卒業すると大多数の人が嫁に行くのですが、常子は家族を養う為、僅かにしかない職業婦人の求人情報を集めていました。女性の給金は男性の半分以下でしたが、仕方がないと思っていた常子でした。そこに新しい担任の先生・東堂チヨが教壇に立ち、クラスの皆にあぐらを掛けと言います。皆が出来ずにいると東堂は誰もができることを女性だから出来ない、してはいけないと決めつけてはいないかと問います。常子はまさに東堂が言うように女だからと自分で枠を決めて職業を探していたことに気付きます。授業が終わり、常子が東堂に感銘を受けたと伝えると東堂は常子に興味があればと雑誌を貸してくれます。それは平塚雷鳥の作った雑誌、青鞜でした。常子は夢中で読みふけります。読み終えた常子は周りの物全てがこれまでとは違って見えるほど感動し、太陽の陽を浴びたような清々しい気持ちになっていました。一方鞠子が何事か悩んでいる様子を君子は見逃しません。実は鞠子は進路の事で悩んでいる様子です。


第7週 第38話 「常子、ビジネスに挑戦する」

常子は新しく担任になった東堂チヨの力強い言葉とその女性像に感銘を受けていました。そして、東堂から借りた雑誌、平塚雷鳥の青鞜を読み、目の前が開けたような爽やかな気持ちになっていました。しかし、妹の鞠子は何か悩んでいる様子で元気がありません。常子が何を悩んでいるのか尋ねても鞠子は悩みなど無いと言います。常子は鞠子を元気つけようと東堂に借りた雑誌を気乗りしない様子の鞠子に押し付け、読ませます。最初はいやいやだった鞠子もそれを読み始めると常子と同じ様に夢中になり、一晩で読んでしまいます。次の朝、鞠子は常子に雑誌を返し、目の前の霧が晴れたと礼を言います。そして、二人で雑誌を東堂の元へ返しに行きます。東堂は、何事も女性だからと尻込みせず、挑戦することが大切だと解き、二人にこれから挑戦したい事はあるかと尋ねます。常子は父の代わりに家計を支えるため、男性と同じように高いお給料が貰える所に勤めたいと答えますが、鞠子は何か思いを押し殺した様に今はないと答えます。この年は2.26事件が起こり、世の中には不穏な空気が流れ、景気も悪くなっていました。そんな中、常子が学校から帰ると、森田屋では男たちが集まり、賑やかに宴会が行われていました。その中に鉄郎の姿がありました。


第7週 第39話 「常子、ビジネスに挑戦する」

ある日、常子が学校から帰ると森田屋には男たちが集まり酒盛りをしていました。その中に星野や鉄郎もいました。突然の鉄郎の訪問に常子達は不安になりますが、鉄郎は珍しく大金を見せ、事業が成功したと言います。大盛り上がりの最中にまつと照代が帰って来て戒厳令の敷かれた中、何をやっているのかと皆を追い出してしまいます。まつは歯槽膿漏が痛み、歯医者へ行っていたのです。常子は実業家は勤め人と違って当たれば大きいと言う鉄郎から商売の成功するこつを聞きます。需要と供給が大事だと言い、需要の多い物を売るのが成功に繋がると、鉄郎にしてはまともな事を言います。それから常子は商売のヒントになるような物を探し、なりふり構わず調べていました。猪突猛進な常子の行いに触発された鞠子は、東堂に自分の進路の相談をしようとしましたが、言い出せずに帰って来てしまいます。常子が学校から帰ると星野がまつに呼ばれて来ていました。常子は星野に商売を始めるにあたり需要のある商品がないかと聞き、色々調べては見たが、誰の役にも立たずすぐ忘れられるような物は売りたくないと言います。星野はいつも人の為ばかり考えている常子に自分の欲しい物、必要だと思う物を考えれば人の役に立つものが見えるのではないかと助言します。常子はなるほど、と何かを思い付いた様子です。


第7週 第40話 「常子、ビジネスに挑戦する」

常子は叔父の鉄郎の成功に触発され、自ら収入を得る事業に挑戦することに決めました。常子は商品のヒントを探す為に訪れた綾の家で
綾の母親が歯槽膿漏で苦しんでいるのを見て、まつも同じ歯槽膿漏で苦しんでいたことを思い出します。常子は歯医者の前で出てくる患者一人ひとりに質問をしてその殆どが歯槽膿漏に苦しんでいる事を知ります。ちょうど通りかかった星野に歯槽膿漏は女性に多い病気だと教わります。実は星野の母親が依然歯槽膿漏にかかり、医者から教えられた練り歯磨きで治ったと言うのです。常子はその練り歯磨きを作って売る事を思い付きます。常子は星野から教わった通り、練り歯磨きを作りますが、森田屋の人々には油っぽくて後味が悪いと酷評で、無駄な努力は辞めた方が良いと言われる始末でした。鞠子はそれでもやめない常子に新しい事に挑戦する事は怖くないのかと尋ねます。それに対して常子は、東堂の言うように出来ないと決めつけるよりやってみたほうが楽だと答えます。不器用な常子を助けようと鞠子が星野のメモを見ると、消してあるような部分に薄く薄荷と書いてあるのを見つけ、これが足りなかったことに気付きます。


第7週 第41話 「常子、ビジネスに挑戦する」

常子の事業を始めると言う想いに鞠子や美子も手伝い、改良版の練り歯磨きが完成しました。ハッカ油を入れていなかったのが以前の酷評を招いた原因でした。改良版を森田屋の人々に試してもらうと、皆の評判も上々で、これは売れるかも知れないとまつが言います。常子達は色んな人に試してもらおうと、それぞれの学校の友達や青柳商店の人達に練り歯磨きを配ります。鞠子が東堂に練り歯磨きを届けに行くと、すでに常子が届けていました。鞠子が去ろうとすると、東堂は鞠子の胸に秘めている想いを察して声を掛けます。鞠子は常子には言わないでくれと念を押して東堂に想いを語ります。配った練り歯磨きは好評で三姉妹は気を良くして祝杯を上げていました。そこへ不景気な顔をした鉄郎がやって来て、仲間にお金を持ち逃げされ、知らないうちに借金まで背負わされたと言います。常子は練り歯磨きを売って鉄郎の借金返済のため力になろうとします。鉄郎も常子達に協力して、森田屋の弁当に練り歯磨きの試作品を付けて配れば宣伝になるとアイディアを出します。そして反対する宗吉を鉄郎が言い含め、試作品を弁当に添えて配り始めました。鉄郎の目論みどおり練り歯磨きの評判は森田屋の客を中心に瞬く間に広がっていったのです。


第7週 第42話 「常子、ビジネスに挑戦する」

妹達と協力して作った練り歯磨きは森田屋の弁当に付ける事により、瞬く間に評判になりました。常子が学校で足取りも軽く歩いていると、東堂から呼び止められます。常子は商売が上手く行きそうな事に気を良くしていましたが、東堂は鞠子の悩みも解決出来たのだと思い込み、鞠子が進学を希望している事を常子に話してしまいます。鞠子は文学を学ぶために大学に進学し、将来は作家として生きて行きたいと思っていましたが、経済的なことを考え、言い出せずにいたのです。常子は鞠子の想いを知り、自分がこの歯磨の事業を成功させて鞠子を大学へ進学させ、鉄郎の借金も肩代わりをしようと以前にも増して決意を固めます。歯磨きの名前を常子の名前からKT歯磨きと鞠子が命名します。鉄郎が全面的に協力し、大量生産をするための資金も用意して小橋家全員で商売を軌道に乗せようと頑張ります。ある日、常子は鉄郎と共に立派に出来上がった商品を路上で販売します。鉄郎の見事な口上であっと言う間に歯磨きは売り切れ、常子は初めて叔父を尊敬します。それもつかの間、ヤクザ風の男達が来て売上を全部取り上げ、まだ足りないと言います。男たちは鉄郎の借金の取り立て屋でした。鉄郎が歯磨きを売ってお金を返すと言うと、あろうことか、常子達の歯磨きを安く買い叩いて男たちが儲けると言うのです。小橋家の皆は一気に窮地に立たされてしまいます。そして鉄郎は姿を消します。


第8週 第43話 「常子、職業婦人になる」

常子が始めた歯磨きビジネスは順調に行きそうでしたが、鉄郎の借金を返すため、借金取りの怖い男達に只同然で歯磨きを作り、渡さなくてはならなくなりました。このままでは歯磨きで儲けるどころか、作れば作る程赤字になってしまいます。あろうことか、鉄郎は次の朝、置き手紙を残して姿を消します。朝早く、鉄郎が逃げた事を知った常子達は途方に暮れます。そこに星野がやって来て、歯磨きが紙で包んであると必要以上に付け過ぎてしまうので、容器を工夫すればより良くなるのではないかと助言をしに来たのでした。星野の助言から常子は歯磨きを絵の具のようにチューブに入れることを思い付きます。そして、借金取りには今までどおりの紙に包んだ歯磨きを渡し、自分達は必要な分だけ取り出せるチューブに入れた歯磨きを作り、売る事にします。宗吉に作業をする場所を貸して欲しいと頼みますが、森田屋の全員が協力してくれると言います。一週間後、借金取りがやって来て、彼らを出し抜こうと常子が隠していたチューブ入りの歯磨きを見つけてしまいます。皆が脅されて心底おびえているところへ滝子と青柳商店の面々がやって来ます。借金取りは屈強な若い衆達と凄みのある滝子の啖呵にしっぽを巻いて逃げて行きました。何故言わなかったとなじる滝子に心配を掛けたくなかったと詫びる常子、そこにチューブの歯磨きが次々破裂して、皆、歯磨きだらけになってしまいます。


第8週 第44話 「常子、職業婦人になる」

滝子のお陰で借金取りも追い払らわれ、ひと安心したのもつかの間、森田屋の人達の手も借りて皆で作ったチューブ歯磨きが破裂し始めます。アルミのチューブが歯磨きの成分と化学反応を起こして全てが破裂してしまい、そこに居合わせた全員が歯磨きまみれになってしまいます。歯磨き事業は失敗に終わりましたが、常子はこの一ヶ月、事業に夢中になった日々が刺激的で、後悔はしていませんでした。森田屋で皆がくつろいでいると、そこに鉄郎がひょっこり顔を出します。皆が一斉に鉄郎を非難しますが、鉄郎は常子に封筒を渡し、開けてみろと言います。常子が中を見ると大金が入っていました。鉄郎は書き置きに書いてあった様にお金をかき集めて戻って来たのでした。しかし、借金の問題が滝子のお陰で解決したことを知るとまた出ていきます。その夜、常子は歯磨き事業を成功させ大学進学の費用に当てようとしていたが叶わず、ごめんと鞠子に謝ります。進学の事を君子が知ることになり、難色を示しますが、君子は文学の勉強をするため大学に進学したいと熱く語る鞠子の初めての我儘を聞き、常子が就職することを条件に受け入れます。翌日、常子は東堂に就職先を紹介してもらいに行くと、ちょうどタイピストの推薦枠が空いたところでした。常子は是非にと頼むのですが、タイピストとしての技術が無ければ無理だと言い、習得する覚悟は有るかと尋ねます。常子は勿論あると答えますが、この先、経験のない常子には大変な猛特訓が待ち構えていました。


第8週 第45話 「常子、職業婦人になる」

常子は女学校卒業後に当時、女性の職業としては高給取りのタイピストの職に就く事を目指します。しかし、経験のない常子は短期間でタイピストに必要な技術を習得しなければならないのです。担任の東堂から毎日厳しい特訓を受け、半年後の試験に向け必死で練習をする日々が続きます。鞠子も大学入試の為に勉強を初め、忙しい二人の姉に遊んでもらえない美子は滝子に甘えます。学校では寝ずにタイプライターの練習をしてあくびばかりしている常子を綾が気遣い励まします。そんな綾も結婚が決まったが、不安な気持ちでいると言います。ある日、常子が学校から帰ると、まつが待ち構えたように余ったお弁当を星野に届けてくれとお使いを頼みます。常子は星野の下宿を探し、弁当を届けます。星野に練習は順調かと聞かれ、常子は一生懸命練習はしているものの、試験に受かる自信はなく、不採用になれば他の職に就けるのか、また、職に就けなければ妹を進学させる事も出来ない、、と不安でいっぱいの胸の内を星野にぶつけます。一方、星野も卒業後の身の振り方をを悩んでいましたが、植物を例に出して常子を励まします。十二月、就職試験の日の朝、常子は君子、鞠子そして美子に見送られ、試験場に向かいます。


第8週 第46話 「常子、職業婦人になる」

常子はこの半年、タイピストの職に就こうと、必要な技術を習得するために猛特訓を積んできました。そしていよいよ当日、常子は皆の応援を受け、就職試験に挑みます。緊張する常子でしたが、星野の言葉を思い出し、自分らしさを取り戻します。面接試験が始まり、常子は素直に答えるあまり余計なことまで言ってしまい、面接官の失笑をかってしまいます。面接官のそっけない態度に失敗したと思った常子は実技試験で挽回しようと思うのですが、どうしたことか、この年から実技試験は廃止され、無くなったのでした。常子の就職試験は良いところを出せずじまいで終わってしまいました。完全に不採用を自覚した常子は、今まで応援してくれた皆に駄目だった事を報告します。二週間が経ち、妹達が元気付けようと励ますのですが依然、常子は落ち込んだままです。そこに君子が慌ただしくやって来て、おめでとうと言い、採用通知のはがきを渡します。昭和十二年、三月、常子が女学校を卒業する日がやって来ました。綾は未来に向って歩き出すおめでたい日だから笑顔で別れようと言います。東堂に挨拶に行くと包装紙で綺麗に飾られた本のカバーが目につきます。それは東堂の細やかな心がけで、そこから小さな幸せが生まれると言います。常子は滝子が美子の筆入れを端布で飾ったのを思い出し、東堂の言葉に感銘を受けます。 森田屋では常子の卒業と就職、そして三姉妹の誕生日を滝子や星野を招いて盛大に祝おうと準備がなされていました。


第8週 第47話  「常子、職業婦人になる」

昭和十二年、三月、常子は女学校を卒業しました。卒業式を終えたその日の夕方、常子の卒業と就職、そして三姉妹の誕生日を祝う会が
森田屋で催されようとしています。滝子や清、隈井に星野そして親友の綾も招かれ、暗い時勢の中、森田屋では盛大に飲んで食べて皆それぞれが芸を披露するなど、久しぶりに楽しい時を過ごします。会も終わろうとしていた時、常子は君子をはじめ、妹達、青柳商店の人達、森田屋の人達そして綾と星野、そこに居合わせた人達の全員がこれまでの自分を支えてくれた事に感謝し、礼を言います。そして、小橋家の家長として家族を守っていく事を皆の前で改て誓います。会も終わり、常子は親友の綾を「またね!」と言って見送ります。4月になり、常子は職業婦人として初めての日を迎えます。初めて出社した常子を就職試験の時、常子の面接官だった男性社員がタイプ室へ案内してくれます。常子が採用してくれた事の礼を言うと、常子が採用されたのは応募者の中では容姿が一番良かったと採用理由を明かします。あっけにとられている常子を男性社員はタイプ室に通し、紹介をします。常子はタイピストの先輩達に頭を下げ、挨拶しますが、どうも歓迎されている雰囲気ではなさそうです。


第8週 第48話  「常子、職業婦人になる」

常子は念願のタイピストとして初出勤の日を迎えます。課長に案内されタイプ室に入ると女性達が忙しくタイプを打っていました。紹介されたタイプ室のリーダー・早乙女朱美が常子にタイムカードの取り扱いを教えただけで、後は待機していろと言います。常子は職業婦人がが忙しそうに働いているのを目の当たりにして感激し、自分も頑張らねばと奮い立ちました。しかし、夕方になっても常子に仕事が回って来ることはありませんでした。しびれを切らした常子は早乙女に自分にも仕事を回して欲しいと申し出ますが、そのうち回すので待機していろと言われます。結局、一日何もさせてもらえませずに初出勤の日は終わりました。翌日も、その翌日も同じ状況が続きます。職場からの帰り、常子は星野を甘味屋へ誘い悩みを打ち明けます。星野は今までの常子は思い悩むより、まず動いていたと助言します。翌日、常子は気を取り直し、再び早乙女に仕事の請求をしますが、自分のやり方に不満が有るのかと言われてしまいます。仕方なく課長に相談しますが、取り合ってくれません。そこで常子は他の部署の男性社員達に何か手伝える仕事はないか聞いて回りますが、邪魔にされるだけでした。そんな常子に早乙女が原稿を渡し、四時までに仕上げろと言います。常子は初めて仕事をもらい、喜々として引き受けます。


第9週 第49話  「常子、初任給をもらう」

職場に出社しても待機させられる日々が続いた中で、他の部署まで出張って仕事を探す常子にようやく早乙女がタイプの仕事を回してくれました。常子は意気揚々とその仕事を受け、締め切り十分前に仕上げて早乙女に持って行きますが、それはもう必要がないと言われます。早乙女は同じ原稿を一時間前に仕上げており、時間と正確さに劣る常子の技術水準では任せられる仕事は無いと書類を突き返します。早乙女は常子に先輩達の手伝いをしながら勉強をするように申し付けます。家に帰っても仕事のことが頭から離れず、ため息ばかり付いている常子でした。そんな時、星野がハンカチを返すために訪ねて来ます。いつもと違う様子の星野の態度に常子がどうしたのか尋ねると、会うのが急に照れくさくなったと言います。研究も手につかないと言う星野に熱でもあるのかとおでこに手をやると、緊張した星野はお茶をこぼしてしまいます。常子はそんな星野に癒やされます。翌日、気を取り直して早乙女の指示に従い雑用をこなす常子でしたが、空回りしてしまい、先輩からは仕事が出来ないのだからせめて邪魔はしないでくれと言われる始末です。そこに男性社員が手伝いを求めに来ますが、先輩達は誰一人応じず、常子が引き受けます。それは膨大な生類の整理と清書、そして机の整頓でした。退社時間を過ぎても書類整理を続けていると、給仕の坂田がキャラメル一粒を頑張る人にご褒美と言ってくれます。常子はそのキャマメル口に入れます。


第9週 第50話  「常子、初任給をもらう」

タイピストの仕事をやらせてもらえない常子は男性社員の求めに応じ、膨大な数の書類整理をする事になりました。慣れない仕事に常子は苦戦し、残業しても終えることが出来ません。森田屋では皆が食事もせずに常子の帰りを待ちわびます。そこへやっと帰って来た常子でしたが、まだまだ終わらない仕事を持ち帰って来ました。結局、皆と一緒に食事をする暇もなく、君子が作ったおにぎりを食べながら一人仕事に向かいます。常子はその夜一睡もせず、後はタイプライターで清書するだけとなった書類を持って、翌朝早く出社します。常子がタイプライターを使おうとしていると、早乙女がタイプライターの使用を許可出来ないと言います。常子が個人的に依頼されたものは仕事とは言えず、常子が手伝った事は本来、男性社員のやるべき仕事で、常子を信頼しているから依頼したのではなく、雑用係だと思っているからだと言います。そんな書類は突き返せば良いと言う同僚に対し、一旦引き受けた仕事を途中で投げ出すのは良くないので、常子の責任で何とかしろと早乙女は言います。常子は途方にくれますが、タイプライターを使わず手書きで清書を始めます。期限の四時が近づこうとした時、早乙女は常子の様子を気に掛けますが、常子はちょうど出来上がった書類を持って部屋を出て行きました。常子が男性社員のもとへ書類を届けると、頼んだ時とは違い、そっけない対応で邪魔にします。常子は早乙女の言葉が頭に浮かび、自分がこれからどうすれば良いのか解らなくなりました。


第9週 第51話  「常子、初任給をもらう」

男性社員の求めに応じて徹夜で書類整理を終えた常子でしたが、評価されるどころか仕事が終われば邪魔者扱いをされます。常子は早乙女の言った事が正しかったのだろうかとスッキリしない気分でしたが、心配する家族には仕事を褒められたと嘘をつきます。常子は相変わらずタイピストの仕事はさせてもらえず先輩たちの雑用を嫌味を言われながらこなしていました。そこに別の男性社員が入って来て、資料をまとめるのを手伝って欲しいと言います。常子は先輩達の手前、断ろうとしますが、時間がないと懇願され、引き受けてしまいます。早乙女は課長に常子が部署の秩序を乱し、自分達が今まで守ってきた誇りも失くしてしまうので常子の行動をやめさせてくれと訴えます。課長は早乙女に一任すると言い、その場を逃げます。常子はまたもや、仕事を持ち帰り、夜遅くまでかかり仕上げます。翌日、頼まれた書類を男性社員のもとへ届けると、男性社員は、前回の男性社員と同じく、労うこともなくそっけない態度です。常子はやりきれない思いでタイプ室に戻ると、早乙女から新しい規律なので見ておいてくれと課長の印が入った紙を渡されます。それは常子がした事を禁止するものでした。タイプ室に怒った男性社員が入って来て、早乙女の仕事に対する文句を言いますが、早乙女も負けずに言い返します。常子は早乙女の仕事に対する強い誇りを感じるのですが、もう少し何とかならないものかと、女だてらに大の男を使い回している滝子に相談に行くのでした。


第9週 第52話  「常子、初任給をもらう」

男性から見下されない様、誇りを強く持った早乙女に共感しながらも納得出来ないでいる常子は、会社の帰りに滝子を訪ねます。滝子は常子の話を聞き、男と女が啀み合っても何の解決にもならないのだから、上手くやるしか無いと助言します。常子は滝子の言葉に胸のつかえが取れたと言い、元気を取り戻します。翌日、常子は課長にタイプ室の新しい禁止令を取り消して欲しいと直訴すると、課長はその場しのぎで禁止令を取り消すと言います。常子がタイプ室に戻ると、資料をまとめて欲しいと男性社員が二人が常子を待っていました。先輩達の見守る中、常子はその仕事を引き受けます。早乙女達が詰め寄ると、常子は雑用でも必要とされるなら受けるべきだと言います。禁止令も課長に撤回してもらったと言う常子に早乙女は、これまで自分達がどれほど理不尽な想いをして来たか新参者の常子には解らないと力説します。それに対して常子は新参者だから出来ることかも知れないと言い返します。揉めるタイプ室に課長がやって来て、あっさり早乙女側につきますが、そこに常子を訪ねて部長がやって来て、手書きの書類はタイプライターと遜色無く、素晴らしいと褒め、これからも頼むと言い、出て行きます。早乙女は自分の考えとは違うが、上の決定なので雑用を受ける事もタイプライターの使用も認めると言い、常子に仕事を回します。この出来事をきっかけに常子は早乙女達に認められる様になり、待ち望んだ給料日を迎えます。常子は滝子のもとへ借りた学費の一部を返しに行くと、滝子はこれで名実ともに常子はとと姉ちゃんになったと言います。


第9週 第53話  「常子、初任給をもらう」

色々なごたごたを乗り越え、常子は初めての給料日を迎えます。常子は帰りに滝子のもとへ学費の一部を返済するために訪れます。滝子は目を細めて、常子は自分で稼いで家族を養う小橋家の大黒柱だと褒めます。常子は給料の残りを全て生活費にしてくれと君子に渡し、今まで余裕がなく取りやめていた家訓の一つ、「月に一度、皆でお出かけする」を復活させようと提案します。君子は仏壇に給料袋を供え、常
子の初めてのお給料だと竹蔵に報告をします。そして、その晩小橋家は家族ですき焼きを食べ、大いに満足するのでした。ある日、常子は就職先を世話してもらったお礼に東堂を家に招きます。森田屋の皆がインテリの先生を前に緊張しながら色んな質問をします。東堂はお招きのお礼と言ってハムレットの一人芝居を演じます。一年後、美子は女学校に、鞠子は女子大学に無事に進学しました。月に一度のお出かけの日、皆はデパートの食堂で楽しく食事をし、語らってていました。女学校に上がったというのにまだまだ幼い美子を常子は心配しますが、きみこは美子は鉄郎と同じ臭がして、逞しく要領がいいから大丈夫と言います。そこに席を外していた美子が戻り、君子の食事に付いていた」二つの苺の内一つをもらい、口に入れます。もう一つを常子と鞠子が譲り合っていると、そんなに揉めるのだったらと鉄郎さながらの理屈で残った苺を食べてしまいます。常子達は君子の言った通りだと思うのでした。


第9週 第54話  「常子、初任給をもらう」

常子がタイピストに なって二年半が経ち、今では同僚からも頼られ、大きな戦力として働いていました。帝都女子大学に進学した鞠子も文学に親しみ、満たされた時間を過ごしていました。一方、末っ子の美子は姉二人と比べると勉強は少々苦手な様ですが、滝子の所へ行っては縫い物の手伝いをして充実した時間を過ごせる場所を見つけていました。この年ヨーロッパで第二次世界大戦が勃発し、日本では戦時に際し、人と物の国家統制が進んでいました。暗い時代の足音は常子達の暮らしに迫って来ていました。青柳商店や森田屋の商売も深刻な状況向っています。 星野は帝国大学の大学院に進み、植物の研究を続けていました。常子が働き始めた頃から星野とは週に一度、おしるこを食べながら其々の一週間の出来事を報告し合う様になっていました。この日もお互い話すことをメモしたノートを持って楽しく話しますが、星野は常子に伝えなければならない事を言い出せずにいました。二人が甘味屋を出て歩いていると、知らない男がこの時局に男女が一緒に歩くなど不謹慎だと叱責します。星野は常子を守るべく、必死に講義すると男は去って行きました。自分を守ろうとする星野の頼もしい様子を見て、常子は星野に対する恋心を自覚します。一方、下宿に帰った星野に何処からか電話が掛かり、星野はその相手に決心がつかないのでもう少し時間をくれと返事をします。


第10週 第55話  「常子、プロポーズされる」

タイピストとして収入を得るようになって二年が経ち、名実ともに常子は小橋家の大黒柱となっていました。常子は父、竹蔵の意志を継ぎ、とと姉ちゃんとして家族を守る事に一生懸命でした。男性社員が徴兵されて減ってしまい、その分忙しくなった常子は夜遅くまで仕事をするのですが、「朝食は家族皆でとること」と言う家訓を守る為、眠気を我慢して早起きをしています。しかし、あれこれと口うるさい常子に妹の美子は少しうんざりしています。この頃、日本では国による統制が始まり、国民は質素な生活を求められていました。タイプ室の皆で日の丸弁当を食べている時、同僚の何の為に働いているのかと言う質問に常子は迷い無く、家族を支える為で、それが自分の役目だと答えます。家族で服を畳みながら、今月のお出かけ場所を相談しますが、美子は乗り気ではなく、常子との間を取り持つ鞠子にも用事があり、やっと日時が決まる次第です。いつもの甘味屋で星野がおしるこを食べながら、何故そんなに家訓を大事にしているのかと常子に尋ねます。常子は父が大事にしていた事で、妹達を父に代わり守ると約束したので、父がしてくれたのと同じ様にしていると答えます。すると星野は、常子にとって父親の存在は大きく、素敵な方だったのだろうと言います。常子は星野のやさしい口調が父に似ていて、、だから星野を身近に感じると言い、二人でお互いを意識します。ある晩、美子は常子に急に勉強会をすることになったのでお出かけの日は少し遅れると言い、鞠子も同好会の集まりがあるので遅れると言います。お出かけ当日、小雨まじりの冷たい風の吹く中、常子と君子は待ち合わせ場所のお寺で鞠子と美子を待っていました。


第10週 第56話  「常子、プロポーズされる」

月に一度のお出掛けの日、約束の時間になっても鞠子と美子は姿を見せませんでした。しばらくして鞠子がやって来ましたが、美子はいつまで経ってもあらわれません。心配になった常子達は美子を探しに勉強会をしているはずの友達の家に行って見ますが、勉強会など開かれてはおらず、美子が嘘をついていた事が分かります。常子達が森田屋に帰り、 まだ帰っていない美子を再び探しに行こうとしたその時、美子が帰って来ます。美子は滝子を手伝い、縫い物をしていたと言います。嘘をつかれた事に激怒した’常子に美子も普段からの鬱憤を爆発させ二人は激しく言い合いをします。家訓なんかやめればいいと言う美子に常子は「とと」を否定された様で悲しく許せない想いになります。年が開けても常子と美子の関係は改善されずにいました。常子はそんな愚痴を星野にこぼすと、いつもの様に星野は暖かくそれを受け止め、そして、常子も癒やされるのです。ある日、タイプ室に一人の女性が乗り込んで来ました。諸橋道子は誰かと尋ねるといきなり彼女に「この泥棒猫!」と掴みかかり暴れます。この女性は営業部の男性社員の妻で、夫と諸橋が不倫をしていると怒鳴りこんで来たのでした。この大騒ぎに課長が部屋に入って来て事を収めます。皆がばら撒かれた書類を片付けていると諸橋が課長のもとから戻って来ます。そして、今日付けで退社する事になったと皆に伝えます。


第10週 第57話  「常子、プロポーズされる」

常子の同僚の道子を訪ね、不倫相手の妻が乗り込んで来て大暴れした結果、道子の不倫は会社の知るところとなり、相手の男性社員はお咎め無しでしたが、道子は即刻退社させられました。早乙女は責任は双方にあるのだから道子だけが辞表を書かされるのはおかしいと抗議しますが、課長は横暴な態度で一喝します。その頃、美子は滝子に連れられて洋裁店を訪れ、仕事場を見せてもらっていました。そして、簡単な手伝いをしてお駄賃をもらう事になったのですが、その事を常子に報告する様に鞠子に諭されます。口を利きたくない美子でしたが、帰って来た常子に話をしようとします。ところが常子は道子が辞めた後仕事が増え、後にしてくれと言います。夜遅くまで仕事をしていた常子は朝起きられず、皆と一緒に朝ごはんを食べることが出来ませんでした。美子は常子も家訓を守っていなと責め、二人が激しい言い合いになると、君子が思わず美子の頬を叩き強く叱責します。鞠子と美子は常子がいつも家族の為にお金も時間も使うのが重荷に感じ、心配していると言います。常子はその日一日中家族の幸せとは何かを考え、どうすれば良いのか解らなくなっていました。帰りに星野の下宿を訪ねると、星野は今まで何度も言いそびれていた大阪行きの話を切り出します。星野の研究が認められ大阪の研究所に勤めることになったのです。涙を浮かべながら気丈に振る舞う常子に星野は「常子さん、、、僕と結婚してくださいませんか?」とプロポーズします。


第10週 第58話  「常子、プロポーズされる」

常子は美子との言い合いで自分が家族の為と思いしてきた事が美子や鞠子には負担になっていたと知り、家族の幸せが何なのか解らなくなります。思い悩んで星野の下宿へ行くと、星野は今まで言い出せなかった大阪へ引っ越しすることを常子に告げます。驚く常子に星野は研究者の道は自分の夢であり、両親の願いでもあるので、大阪に開かれたこの機会を逃したくないと言います。そして、常子に一緒に大阪へ来て欲しいとプロポーズします。常子は涙を流し、とても嬉しいが、しばらく時間が欲しいと答えます。その頃、君子は美子に頬を叩いた事を詫び、美子も心配を掛けたと謝りました。常子が帰って来て鞠子には万年筆、美子には櫛をプレセントします。それは常子が自分の冬服を買うために貯めたお金で買った物でした。プロポーズの事を誰にも相談出来ず、思い悩む常子は高熱を出し倒れてしまいます。元気の塊の様な常子が会社を休んだことで同僚も驚き、心配します。常子は熱にうなされ、星野との結婚生活で妹達の学費のせいで借金取りに迫られる悪夢を見ます。翌朝、常子は皆と一緒に朝ごはんを食べられるまでに回復しましたが、会社はもう一日休むことにしました。早乙女が常子の見舞いにやって来て、常子が人生の目標として自分より妹達の事を優先している事を知り、感心するのでした。


第10週 第59話  「常子、プロポーズされる」

常子は「とと」との約束通り小橋家の家長として家族を守って来ましたが、大好きな星野からプロポーズされて迷い抜き、熱を出し倒れてしまいます。会社を2日休んでいる間に鞠子や美子が常子の知らないうちに随分大人になり、しっかりやっているのを知ります。そして、君子からもう少し自分の事を優先しても良い時期だと言われます。職場でも思い悩み、ボーッとしている常子は早乙女に注意される始末です。常子は滝子の所へ寄り、妹達の近況を知らせると、滝子は美子がお駄賃を貰って洋装店や滝子の手伝いをする理由を話します。美子は常子の負担を少しでも軽くする為に、貰ったお駄賃を一銭も使わず滝子のもとへ学費の返済分として持って来るのだと言います。鞠子や美子が一人前の様な顔をして好きなことが出来るのも常子がいるからで、二人はまだまだ子供だと滝子は言います。帰宅した常子は美子に何も知らず酷いことを言ったと謝ります。美子も色々ごめんなさいと詫び、常子に手編みのマフラーをプレゼントします。常子と美子がようやく仲直りが出来た晩、妹達の寝顔を見ながら常子は決心します。常子が星野の下宿を訪ねると星野は引っ越しの荷物を整理していました。常子は意を決して星野に家族を支える為家族と離れるわけには行かず、今はまだ結婚出来ないと伝えます。星野は心の何処かでそう言われることが解っていた。真剣に考えてくれて有り難うと礼を言います。そして、森田屋まで送らせて欲しいと言うのです。


第10週 第60話  「常子、プロポーズされる」

今はまだ家族と離れたくないと、常子は星野からのプロポーズを断りました。星野も心の何処かでそんな気がしていたと穏やかに受け止めます。常子を送る道すがら、常子の何故断られると思ったのかと言う問に、星野は自分が好きな常子ならは結婚より家族を選ぶだろうと、矛盾しているがそんな決断をする常子に恋に落ちたと答えます。そして「遠く離れても常子さんと皆さんの幸せをお祈りしています。さようなら、お元気で」と言い、送って来た道を引き返します。常子も「有難うございます。さようなら」と言い、歩き始めます。常子が少し歩いて振り帰るとそこには星野の姿はもうありません。君子と鞠子、そして美子が台所で料理をしながら帰宅した常子を迎えます。常子は普段通りを装います。星野は大阪に旅立つ日、学友に送られながら常子を探しますが、そこに常子の姿はありませんでした。星野は汽車に乗り込み常子との思い出に浸っていると、窓の外に小さく常子の姿を見つけます。星野は「常子さ~ん!」と何度も叫び、大きく手を振ります。それに答え、常子は深々とお辞儀をします。帰宅した常子はまっすぐ部屋に入り、仏壇の前に座ります。常子の様子を気にかけていた君子が追いかけて来て、星野と何があったのかと尋ねます。常子はプロポーズされ、それを断わった事を君子に話します。心配する君子に常子は「とと」との約束は関係なく、まだ家族と一緒に居たい。そして、それが自分の幸せだと言います。でも星野との別れは辛いと言って君子の胸で泣きます。


第11週 第61話  「常子、失業する」

常子は星野からのプロポーズを断り、とと姉ちゃんとして生きていくことに決めました。昭和15年10月、日本からアメリカへの輸出が禁止になり、そのあおりを受けて常子の勤める商社は苦しい状況となります。タイピストの仕事も少なくなり、人員削減をするなら女性社員から と言う噂も流れて来ていました。常子の会社だけでなく、長期化する日中戦争の影響は森田屋や青柳商店を苦しい状況に追い込んで行きます。ある日常子が帰宅すると、宗吉とまつが待ち構えていて話があると言います。宗吉とまつは小橋家の皆に頭を下げ、今月分の給金をしばらく待って欲しいと言います。君子はクビになってもおかしくない時勢に、おいて貰えるだけでも有り難い事だと了承します。心配する妹達を安心させようと常子は私がちゃんと稼ぐから心配はいらないと言います。そしてこれまで以上に仕事に励みます。そんなある日、同僚の多田に相談があるとビアホールに誘われます。そこで酔った男性客に絡まれ、美子が編んでくれたマフラーを踏みつけられ、取り上げられます。常子は勢いで男性客の頬を叩いてしまいます。怒った男性客に羽交い締めされている常子を見捨てて多田はその場から逃げてしまったのです。


第11週 第62話  「常子、失業する」

常子は同僚の多田から相談に乗って欲しいとビアホールに誘われます。そこで酔った男性客に絡まれ、その騒動は店中に広がり、大乱闘になっていきました。常子は居合わせたお竜という少女に助けられましたが、マフラーを取りに戻ると警官に捕まってしまいます。警察から出て来る常子をお竜が待っていました。お竜はマフラーを常子に渡し、仲間と去って行きますが、常子は誰かに後を付けられているのを感じ、「何か?」と付けて来た男に尋ねます。男はお竜の指示で暗い夜道を大通りまで送って行くと言います。常子は何故離れて歩くのかと尋ねると、常子の様な恵まれた別世界の人は羨ましいと言います。常子が帰宅すると思う様に仕事が出来なくなってヤケになった宗吉とそれを責めるまつが荒れていました。翌朝、常子が出社するとただならぬ雰囲気の中、課長に呼ばれます。そして、警察沙汰を起こすような恥さらしな社員は不必要だといきなりクビを言い渡されます。多田は昨晩の乱闘は常子が起こした事件だと課長に報告していました。常子は社に残れるよう必死に懇願しますが、クビは決定したことで諦めろと言われます。常子が落胆して居るところに多田がやって来て常子に詫ます。多田は和文タイプの二人の内どちらかがクビになることを聞いたので、仕方なかったと言います。常子は失業と裏切りに涙します。


第11週 第63話  「常子、失業する」

常子はビアホールの乱闘騒ぎが原因で会社をクビになります。早乙女が真っ直ぐに生きていても報われない事ばかりだが決して負けないでと常子に最後の言葉を掛けますが、常子はその言葉を今は受け止める事は出来ないと言います。会社を去り、お寺で気持ちを切り替えた常子が帰宅すると、深刻そうに話し合っていた宗吉と照代に「今日は早いのね」と言われます。それに対し、常子は明るく会社をクビになったと言います。心配する鞠子と美子は学校をやめて働くと言いますが、常子は必ず次の働き口を見つけるから、それだけはやめてくれと二人をなだめます。十日が経ち、常子が滝子の元を訪ねると陸軍に呼び出されていた滝子がちょうど帰って来て、常子の顔を見るなり倒れてしまいます。長引く戦争のせいで軍用資材が不足した軍に、統制価格の半額で木材の供出を強制されたというのです。その日は深川の商店会の寄り合いが有り、滝子を心配した常子は付き添います。寄り合いにはまつや宗吉、照代も出席していました。会が始まると、国の通達により立ち行かなくなった店主達が商売替えや閉店を口にする中、言い出せずにいる宗吉を見かねた照代が森田屋も店を畳み、軍需産業で景気の良い高崎に移転すると発言します。猛反対するまつに照代は富江が身ごもっていると告げます。まつと宗吉が驚くと、長谷川が土下座をして富江との結婚の許しを請うのでした。


第11週 第64話  「常子、失業する」

まつは相談もなく店をたたみ高崎に移転すると言う宗吉と照代に激怒し、猛反対します。おまけに富江の妊娠が発覚、今度は宗吉が激怒しお腹の子の父親・長谷川を追い回します。付き合い始めて一年近くなる富江と長谷川は宗吉に結婚の許しを請います。翌朝、一晩考えたまつは生まれて来るひ孫の為、高崎へ移転することを了承し、宗吉に二人の結婚を認めてやれと言います。宗吉に認められた二人の祝言を挙げようと鞠子が言い出します。大した物も手に入らない時勢に無理だと言う宗吉に森田屋の門出を祝う為にも手伝わせて欲しいと君子達が申し出ます。祝言当日、皆が準備に追われている頃、常子は自分の掲げた目標を眺めながら再び就職出来るのかどうか不安になっていると君子が仕事の事は焦らず、今日はしっかりお祝いしてあげましょうと声を掛けます。厳しい食料事情の中、少ない材料でまつは工夫をし、華やかな膳を作ります。美子が富江のサイズに直した借り物の花嫁衣装で富江の可愛らしい花嫁支度が出来ます。富江は長谷川と結婚出来る様に助けてくれた照代に改て礼を言い、照代は母親が子供のために何かするのは当たり前の事、富江も子供が生まれたら、その子に同じことをするようになると言います。常子は二人の様子を見て、心温まり、幸せな気持ちになります。


第11週 第65話  「常子、失業する」

深川を去ることになった森田屋の最後の大仕事、富江と長谷川の祝言が始まります。物資の乏しい中、色々な工夫で祝いの膳が用意され、賑やかに執り行われます。祝いに集まった客から囃し立てられて、長谷川が挨拶をします。長谷川は祝ってくれたお礼として、長い人生には嵐が起こり強い風が吹く様な状況が来ても柳の様にしなやかに耐えればやがて青空が戻って来ると言う意味で「人生は柳の様に在れ」という言葉を皆に贈ります。常子は今の自分の状況と重なり、その言葉が心に染み入ります。宴もたけなわ、富江と小橋家の三姉妹が話をしている時に美子が何故、長谷川を好きになったのかと尋ねます。きっかけは、以前、鞠子の制服を富江が借りて着た時、富江の制服姿を見た長谷川が、鞠子より似合っていたと言ったというのです。富江はそれが嬉しくて、以来、長谷川を意識するようになったと言います。そして、長谷川と生まれてくる子供のために母・照代の様に頑張りたいと幸せそうに話すのでした。そんな和やかで幸せな雰囲気に包まれ、常子は職を失った悲しみと不安から立ち直りを見せ始めます。森田屋が引っ越しを迎えたその日、滝子が駆けつけて来て、最後の嫌味の応酬をやり、笑い合います。家族の様に暮らしてきた森田屋の人達と別れ、常子は再出発の時を迎えます。


第11週 第66話  「常子、失業する」

家族の様に過ごしてきた森田屋の皆と別れを告げ、小橋家は再び青柳商店に住むことになりました。常子は会社をクビになった事でひどく落ち込み、家族を心配させていましたが、富江と長谷川の祝言や森田屋の皆との別れの中で人の暖かさに触れ、元気を取り戻して行きました。元気になった常子の為に鞠子と美子はそれぞれ再就職先の求人を調べて書き留めたノートと、新聞の求人広告の切り抜きを渡します。翌日から常子の職探しが始まり、鞠子と美子のくれた求人情報を基に片っ端からあたっていきますが、不景気な時勢に常子を雇う会社は中々見つかりません。タイピスト以外の職も探しますが長引く戦争の為、以前より女性の就職状況は厳しく、妹達が集めてくれた求人先を全て回りましたが思ったようにはいきません。どうしたものかと常子は鳥栖商事の給仕・坂田からもらったキャラメルを頬張ると、キャラメルを包んであった新聞に求人広告を見つけます。常子は早速その会社・甲東出版を訪ねますが、常子の後から飛び込んで来た五反田一郎に別の場所に連れて行かれ、急ぎの仕事を手伝わされます。締め切りまでに仕事がようやく間に合いそうになった頃、社長の谷がやって来ます。常子は雇ってもらえるよう頼むと谷は今まで何人も来てくれたがすぐやめてしまい困っていたと言い、常子の採用を快く了解するのでした。


第12週 第67話  「常子、花山伊佐治と出会う」

森田屋を出て青柳に戻った常子は新たな気持で仕事を探します。妹達が調べてくれた求人広告をを基に就活をするのですが思うように行きません。そんな中、ひょんな事から甲東出版と言う出版社に雇ってもらえる事になり、皆を一安心させます。その頃滝子は再生不良性貧血と言う病をを患い、寝て過ごす事が多くなっていました。常子は新しい会社で出版の仕事の内容を教わり、定期購読社に向けて雑誌の発送業務なども皆と一緒にこなします。そして次の号の内容を決める編集会議が開かれ、常子が皆にお茶を入れようとすると社長の谷は常子に意見を求めます。驚いた常子は女がしゃしゃり出て意見を出して良いのかと尋ねると、五反田がここでは女も男も無く、素直に意見を言って良いのだと言います。作りたいと思う企画が浮かんだら是非聞かせてくれと谷に言われ、常子は感激して家族に報告します。とは言え、常子にはまだ何も企画と言える案は浮かんで来てはいませんでした。そこに滝子が人の役に立つ雑誌を考えてはどうかと助言します。その頃、青柳商店は経営の悩みを抱え、そして鞠子も進路を悩み、大学を卒業したら工場に勤めるつもりだと同好会の仲間・木戸稔に告げます。その言葉に木戸は残念だと言い、去って行きます。常子は空き家となった森田屋の前で綾からの郵便を受取ります。手紙には綾の夫が軍医として満州へ向かう事になったと記されていました。


第12週 第68話  「常子、花山伊佐治と出会う」

長引く戦争のせいで深川全体が重苦しい雰囲気に包まれていました。滝子は食が細り、病状はよくありませんでした。皆が先の解らない暗い気持ちで塞いでいる中、隈井が青柳商店の庭に近所の子供達を呼び集め、切れっ端で作り貯めたおもちゃを配ります。子供達の喜ぶ姿に誰もが明るい気持ちになりました。常子が隈井に久しぶりに明るい気持ちになれたと礼を言うと、隈井は自分は泣き虫だが、人を笑わせるのが好きなのだと言います。常子は閃きます。翌日、会社で常子は読者を笑わせる雑誌を作ると企画を出します。偶然にも、社長の谷が同じ企画を提案して皆から反対されたところでしたが、再度、常子の企画として採決を取ると最終的には万場一致で採用となります。鞠子は大学を卒業して工場の事務員として働き、清も青柳商店は隈井に任せて、国が木材を管理する為に作った日本木材統制株式会社に就職し、生活を支えていました。そんな中、滝子の身体を心配する君子が寝ているはずの滝子に声を掛けますが、返事がありません。君子が探すと滝子は庭で材木を前にして客の相手をしています。昔ながらの客から仕事が入り、滝子ははりきっていました。その様子に皆は張り合いになればと喜びます。ある日、常子は五反田に花山という男から挿絵を貰って来るように命じられます。常子が花山を訪ねると、そこには一風変わった酷く気難しそうな男がいました。


第12週 第69話  「常子、花山伊佐治と出会う」

常子は五反田に命じられ、頼んである挿絵を貰いに内務省の花山という男を訪ねます。そして、これが後に常子の人生の最大のパートナーとして一緒に雑誌を作り、戦後の復興に挑んで行く事になる花山伊佐治との初めての出会いでした。五反田から聞いてはいましたが、花山は聞きしに勝る変人で偏屈者でした。挿絵は出来ておらず、帰れ!と言われて常子が帰ろうとすると、それを叱り、いかなる手を使っても原稿や挿絵を書いてもらえるように仕向けるのが編集者の役目だと説教したかと思うと、結局、帰れ!と言います。常子は花山に振り回されただけでは終われないと、知恵を絞り、常子が勝ったら挿絵を書くという約束で賭けをしようと花山に持ちかけます。花山はそれに同意し、何を賭ける?と尋ねます。常子は1時間以内に花山が挿絵を描くか描かないかを賭けようと言い、自分は描かない方に賭けると言います。花山がどちらに賭けても挿絵を描く事になる頓知の効いた申し出に花山は観念し、挿絵を描き始めるのです。一方、滝子は仕事をすることにより、元気が出たように見えます。喜んだ美子は来年は滝子の浴衣を自分が仕立てるので夏のお祭りに一緒に行こうとせがみます。そして、滝子が皆で行こうと言った所に清が飛び込んで来て、清の勤める統制会社の伝手で大きな仕事を貰えそうだと景気の良い話をし、皆を喜ばせます。しばらくして、常子の企画が掲載された雑誌が出来上がり、販売を待つばかりとなったその日、社長の谷が警察に捕まったと言う知らせが入ります。


第12週 第70話  「常子、花山伊佐治と出会う」

常子が企画を出したユーモア特集が検閲に引っかかり、社長の谷が警察に捕まってしまいます。この時勢に笑える読み物を掲載するのは不謹慎だと言うのです。社長が留守の間、五反田の指示の下に検閲官のどんな要求にも対応すべく、全員で雑誌の回収作業に走ります。一方青柳商店では清が久しぶりに大きな仕事を取ってきて滝子を明るい気分にさせます。しかし、しばらくして滝子はその仕事の内容を知ると、この話は無かったことにすると言い出します。住む人の事を考え、誇りを持って青柳商店の看板を守ってきた滝子には耐え難い内容だったのです。清は今までとは違い、昔のやり方では食べていけないと初めて滝子に強く反発します。そして隈井もこのご時勢どんな仕事も引き受けて店を潰さないようにするのが賢明だと清に賛成します。それでも認めないと言う滝子の言葉に清は部屋を飛び出し、自分を跡取りとして認めてくれる事は一生無いのかナ、、と寂しくつぶやきます。滝子はその晩、青柳商店の仕事場で昔を愛おしむ様に佇みます。翌朝、滝子は清に工場宿舎の件は任せると告げます。書店から雑誌の回収が全て終わった所に社長の谷が顔を腫らせて姿を見せます。ユーモア企画を全て削除する事を条件に発売許可が降り、その作業に皆が無言で取り掛かります。


第12週 第71話  「常子、花山伊佐治と出会う」

昭和16年(1941年)12月8日、日本の真珠湾攻撃により太平洋戦争が始まりました。昭和17年4月、東京、川崎、名古屋など日本本土に初の空襲があり、戦争は激化の一途を辿って行きました。政府からの締め付けや検閲はより厳しくなり、甲東出版では国の顔色を伺って出版せざるを得ない状況に追い込まれていました。長引く戦争が終わるどころか大きくなって、どの業界も物資不足が深刻でした。一方青柳では、清が組合から発表があったと、病に伏している滝子に知らせます。二ヶ月後には深川の木材商は個人営業を禁じられ、陸軍の下請けで国の為の営業だけが続けられるかも知れないと言うのです。200年続く青柳商店の今後を決めあぐねた清は滝子にどうするかを決めて欲しいと言うのです。滝子は青柳商店を存続させる為に不本意ながら軍の統制下に入る事を決断します。そんな胸を塞ぐような日々の中、滝子の容態は悪化して行き、死を意識した滝子は昔を懐かしむようになっていました。ある日、組合を通じて陸軍から青柳に通達があり、広さも立地も好条件の青柳を軍の事務所として借り入れたいと言うのです。軍の下請けになって続けていく事も正式に決まった話ではなく、噂では深川の木材商の全てを国が廃業にすると言うのです。それを聞いた滝子は激怒します。


第12週 第72話  「常子、花山伊佐治と出会う」

滝子は軍の下請けになってでも青柳商店の存続を願い、営業を続けて行くつもりでしたが、新たに軍からの通達があり、青柳商店の建物を軍の事務所として借り上げたいと言うのです。滝子は青柳商店を閉める事を決意し、自分は木曽の療養地に引っ込むと隈井と清に告げます。そして清に、これからは店や自分に気兼ねせず好きにして良いと言いますが、清は木曽で仕事を見つけ、ずっと滝子のそばに居ると言います。翌日、滝子は君子達に青柳を閉める事を告げ、隈井が君子達の為に常子や鞠子の職場に近い目黒に借家を手配したと言います。君子が滝子達はどうするのかと尋ねると、清と一緒に木曽でのんびりすると答えます。すると美子は離れ離れは嫌だと言い、皆で一緒に木曽へ行けば良いと駄々をこねます。滝子は美子にほんの一時軍に貸すだけで、戦争が終わったらまた元のように皆で暮らせると宥めます。ひと月後、青柳商店は最後を迎え、滝子が木曽へ旅立つ日がやって来ました。滝子と君子は母娘の最後の別れをします。滝子は木材は何十年も前に植えたものが育ち今商品となると言い、今自分の利益にならなくとも次に生きる人の事を考えて暮らして欲しいと常子に言葉を残します。三ヶ月後、深川の木材問屋は全て廃業しました。小橋家が目黒の借家に4度目の引っ越しをした頃、海軍はミッドウェイ海戦で負け、日本は苦戦を強いられ始め、更なる苦難の時代へ突入して行くのです。


第13週 第73話  「常子、防空演習にいそしむ」

昭和19年 (1944年) 常子達が深川を離れ、二年あまりの歳月が流れていました。開戦から三年ほどとなった太平洋戦線は米軍がすでにフィリピンまで迫り、日本は窮地に立たされていました。国内の物資不足も深刻化し常子達は物々交換で食べ物を貰おうと千葉へ出掛けて行きました。その頃、皆が食べ物に替えて貰おうと農家に色々なものを持って行くので着物や小物などはいらないと断られ、どの農家へ行っても食べ物と交換してくれるところはありませんでした。そんな中、孫が喜びそうなおもちゃがあれば農作物と交換しても良いと言う農家がありました。常子と鞠子は美子が滝子に買ってもらい大事にしていたままごと道具が頭に浮かびます。常子達は何も食べ物に交換できずに帰宅し、美子にままごと道具を食べ物に替えさせて欲しいと頼みますが、美子は滝子の思い出がいっぱい詰まったままごと道具を手放したくないと拒否します。小橋家も移り住んだ目黒の家の庭で野菜を作りますがそれだけでは到底足りるものではありませんでした。戦況が悪化する中、常子の勤める甲東出版は国の意向に沿ったものを出版して細々と営業を続けて居ましたが、社長を始め、五反田以外の社員は皆召集されてしまいました。鞠子は工場の事務員として働き、美子は女学校を卒業し、縫製工場で働いていました。ある日、普段から口うるさい隣組組長の三宅や縫製工場の友達の家族が召集され、辛い想いをしていることを知った美子はままごと道具を食べ物に変えてくれと言い出します。家族4人が元気で居るだけで十分だと言うのです。


2016/06/28
第13週 第74話  「常子、防空演習にいそしむ」

常子達は再び千葉の農家を訪ねました。今回は滝子の思い出がいっぱい詰まったままごと道具を持って美子も一緒です。農家の子供は目を丸くして大喜び、思った以上の食べ物と交換することが出来ました。気丈に振る舞う美子でしたが、その帰り道、戦争のせいで皆が思うように生きられないだけではなく思い出まで奪って行くと、こらえ切れずに泣き出します。鞠子は健気な美子の振る舞いをみて、家族に無理をさせてまで大学に行かせて貰ったにもかかわらず、作家になる夢を諦め、工場で細やかな給金を貰う今の自分を情けないと悩みます。そして、常子にこれからはせめて次女として家族を支えられる様になると誓います。ある日、常子は五反田と遅くまで甲東出版で仕事をしていました。五反田が常子に大事な話をしようとした時、空襲が始まります。常子は家族の安否を気にしながらも近くの防空壕へ五反田と共に非難します。一方、家では鞠子が美子と君子を守り非難させようとしますが、足をくじいてしまいます。空襲は長く続き、朝方、常子は一刻も早く家族の無事を知ろうと家まで走って帰ります。皆が無事なのを確認し、ほっとするのですが、鞠子は常子の代りに家族を守りきれず、かえって迷惑を賭けたと落ち込んでいます。常子は翌日、意を決して戦争を称えるような雑誌は作りたくないと五反田に言います。五反田はもう、雑誌は作らなくて良い。僕に赤紙が来たと告げます。


第13週 第75話  「常子、防空演習にいそしむ」

五反田に召集令状が届きました。五反田は甲東出版の社判を常子に託し、甲東出版にある蔵書で貸本屋として営業を続けられる様にして置いたと告げます。そうすれば常子が勤労動員として遠くに借り出される事も無く、家族を支えられるだろうと五反田が考えてくれたのです。常子は感激し、心から礼を言います。五反田は甲東出版は終わりではなく、休刊だ。自分も社長も必ず生きて戻って来る。その時は心から作りたい雑誌を作ろうと言い残し、数日後、出征して行きました。昭和二十年、一月、常子は甲東出版を貸本屋として営業し、何とか生活していました。手に入る食料は僅かで燃料もなく、4人が寄り添い寒さを凌いでいたのですが、それにもまして連日の空襲警報に怯え、疲れ果てる毎日が続いていました。それでも小橋家の皆はせめて家の中だけでも穏やかな心持ちで暮らせる様に心掛けようとしていました。防空演習は全員参加を義務付けられており、老若男女を問わず集められ、訓練が行われていました。訓練の最中に具合が悪くなり座り込む老婆に隣組組長の三宅は厳しく責めます。常子が黙っていられず抗議をすると、三宅は美子が自分で作ったもんぺの飾りや君子が部屋に花を飾っている事を不謹慎だと責めます。家に帰っても常子は納得出来ず、三宅の家に一言言いに行こうとします。それを止めようとする鞠子と言い争いになり、君子が止めます。そこへ隣人が卵を持って来てくれるのですが、監視されているのかも知れないと親切も素直に受け取る事が出来なくなった時代を恐ろしく思う小橋家でした。

 

第13週 第76話  「常子、防空演習にいそしむ」

常子は五反田が出征した後、甲東出版の蔵書で貸本屋を営んでいました。昭和二十年三月九日、この日小橋家では三姉妹の合同誕生日会が開かれる予定でした。常子が貸本屋を早めに閉めて帰宅すると、美子が大変なの!と言って常子を外で迎えます。隣組組長の三宅が軍からの命令で金属供出を求めに小橋家に乗り込んで来たのです。常子は三宅の横暴なやり方に反発しますが、反論の言葉を飲み込みます。すると鞠子が口を開き、自分達も戦いを忘れているわけではなく、自分達なりに一緒に戦っているつもりだと理路整然と話します。鞠子の言葉に三宅は何も言えず出て行きました。誕生日会は翌日に延期され、君子は娘達の為に方々を回って手に入れた小豆でおはぎを作ろうと夜遅くまで煮込んでいました。火の始末をして寝ようとした時米軍による焼夷弾攻撃が始まりました。東京にはB-29爆撃機およそ300機が飛来し、爆撃は下町あたりを中心に2時間余りも続きました。朝になり防空壕から出ると家は無事でしたが、楽しみにしていた小豆が七輪の残り火ですっかり焦げてしまい美子が泣き出します。君子は三姉妹に嬉しくて泣ける時まで涙は禁止すると言い、娘達はそれにうなずきます。常子達が配給の列に並ぼうとやって来ましたが、夜中の空襲のせいで配給が途切れるかもしれないと言われます。そして、下町は焼け野原で特に深川は酷い状態だと聞かされ、常子は僅かな差で自分達は生きているが、命はあっけないと感じます。常子は目の前を行く焼け出された人達の列の中にお竜を見つけます。


第13週 第77話  「常子、防空演習にいそしむ」

今までにない大規模な空襲がにより、家を焼け出された大勢の人々が、避難する場所を求め、行列をなして移動していました。常子は目の前を通る人達の中に以前、ビアホールで酔った男に絡まれた時に助けてくれたお竜を見つけます。お竜達を家に上げ、常子がお竜の傷の手当をし、君子が粗末ながらも食事を振る舞います。お竜は住んでいた家に焼夷弾が落ち、火と煙と死体と悲鳴の中を幼い妹と弟を連れて逃げ出し、川崎の親戚の所へ行く途中だと言います。お竜は父親を前年の空襲で亡くし、自分の命もどうなるか解らない今、幼い妹達を守る事が出来るのか不安だと常子に言います。常子もこの空襲で同じように感じたと言います。一晩泊まる事になったお竜達と戦争が終わったら何をしたいかと言う話になります。お竜の妹と弟は動物園に行きたい、鞠子は小説を書きたい、美子は可愛い洋服を作って着たい、お竜は特には無いが、戦争が終われば十分、そして常子は自分のやりたい事が出来る雑誌を作りたいと言います。その夜常子は、もし自分が生きて戦争の終わる日を迎えることが出来たなら皆に言った様な雑誌を作りたいと本気で思い始めます。翌日、お竜は常子の雑誌を手にして、家の事や妹達の世話で学校にも行けず漢字が読めないと常子に打ち明けます。そして戦争が終わったら普通の人が当たり前に知っている事を学びたいと言い残し去って行きました。


第13週 第78話  「常子、防空演習にいそしむ」

激しい空襲が続き、全国民の衣食住その全てが戦争の犠牲になった毎日、沖縄の戦いでも多数の死者を出し、日本の敗色がもはや決定的になる中、隣組組長の三宅の元に息子の戦死を伝える知らせが届きます。鞠子は栄養失調で体調を悪くしていました。常子達は鞠子に栄養のある物を食べさせたいのですが食糧事情は益々悪くなり、それどころか、食べ物を狙った空き巣が横行していました。皆が空襲警報で防空壕へ非難している間に食べ物を盗むと言うのです。小橋家は女所帯、泥棒に入る様な人に出くわしたら、、、と不安になります。再び市街地にB 29による爆撃が始まり、常子達は防空壕に非難します。そろそろ警報が解除されると言う頃、庭に足音が聞こえます。皆は泥棒ではないかと恐怖を募らせます。しかし、防空壕の扉を開けたのは鉄郎でした。鉄郎は知り合いの農家で手伝いをしていたと言い、沢山の食料を持って来てくれました。そして、男手があったほうが良いだろうとしばらく小橋家に居ることになりました。常子達は家に男性が居る事で、日々の不安から少し開放された様に感じていました。昭和二十年8月十五日、常子達は玉音放送で戦争が終わった事を知ります。常子は戦争に負けた悲しみと戦争が終わった喜びが心の中で鬩ぎ合いますが、これからは好きな雑誌を作ることが出来るかも知れないと戦争の終わりを喜びます。


第14週 第79話  「常子、出版社を起こす」

戦争が終わり、常子はやりたい雑誌をようやく作ることが出来ると希望に心躍らせます。半年後、常子達は一家総出で闇市に表れ、食料を手に入れようと奔走します。その頃国民は新たな戦いを強いられていました。食料を始め、あらゆるものが不足していた為、闇市に人が群がり必死に生きていました。国の言うとおり、配給だけを待っていた人達の中には餓死する人もいました。常子達も日々の食べ物に事欠く状況でした。
また、戦争で職を失った人や外地からの引揚者、そして復員兵など日本各地で職を求める男達が大勢いました。この影響で女性が職を追われ、鞠子も職がありません。君子と美子は着物の仕立直しや縫製の仕事を請け負っていましたが、稼ぎは少なく、一家を支えていたのは常子が営む貸本屋の僅かな収入でした。ある日、鉄郎と常子達は闇市で雑誌が飛ぶように売れていくのを見ます。しばらくして出征していた五反田や社長の谷達が無事に戻って来ます。小説家志望だった五反田の書き溜めてあった作品を軸に7月発刊を目指し、すぐさま始動します。新しい企画では無い事に違和感を感じる常子ですが、やはり甲東出版の再開が嬉しく、浮かれています。鉄郎は常子にこのご時勢、少々の給料では一家を養えない。もっと金を稼ぐ事を考えろと忠告します。鉄郎の言葉が常子の胸に刺さります。玄関で声がし、常子が出てみると、そこには子供の手を引いた綾が立っていたのです。


第14週 第80話  「常子、出版社を起こす」

女学校の時の親友、綾が幼い息子の手を引いて常子を訪ねて来ました。卒業式以来9年ぶりの再開でした。軍医だった綾の夫は戦争中に病で亡くなり、息子を連れて実家に帰ったのですが、家は空襲で焼け、その時父親も亡くなったと言います。今は無事だった母親と三人で蒲田近くに間借りをして暮していると言います。夕食を一緒に食べ、常子が綾を送る道すがら綾は、訪ねて良かった、久しぶりに笑ったと言い、あの頃にはこんな風になるなんて想像も出来なかったと顔を曇らせます。常子が綾の母親に挨拶に伺いたいと言うと困った様にお互い忙しいから結構だと言います。常子が帰ると鞠子は戦争の犠牲になった綾のような女性ばかりで、やはり女は損だと嘆きます。君子はこんな時代になるなんて誰も思わなかったのよ、と鞠子を諌めますが老眼で針に糸を通すのに苦労しています。そんな母を見て常子は本当はもう楽をさせなければいけないのに、幾つになっても苦労を掛けてごめんなさいと詫ます。苦労だなんて思っていないと言う母に三姉妹はやるせない思いをします。翌日鉄郎は常子を闇市へ連れて行きます。そして、男がいない戦争中に強く逞しくなった女性達が思い思いに商売をしている姿を見せます。鉄郎は女性の常子にも大金を稼いで家族を養えるチャンスが回って来たと言います。常子は迷い、悩みます。ある日、仕事帰りに再び闇市を訪れ、そこで出会った鉄郎から木綿を分けてもらい、綾の所へ届けに行きます。そこで常子は家主から酷い仕打ちを受けている綾達を見ます。


第14週 第81話  「常子、出版社を起こす」

ある日、常子は鉄郎から分けてもらった木綿を届けようと綾を訪ねます。綾一家は大家から酷い扱いをされていました。綾は常子に家に来て欲しくなかったと言います。いつも暗い顔をした母親と口論が絶えない惨めな暮らしを常子には見せたくなかったと感情を高ぶらせます。気を取り直した綾は行李から一冊の本を取り出します。それは女学校の恩師、東堂から教えられた平塚らいてふの「青鞜」でした。ここに書かれている様に、今はまだ月のままの自分だがいつか太陽に、と思うと元気が出て来ると言います。そして、「青鞜」は自分にとって唯一の心の拠り所だったと言います。その日常子は決心して退職願を書きます。翌日、常子は甲東出版で退職を申し出ます。谷に理由を聞かれ、一つ目の理由は現在家族に職は無く、現状の自分の稼ぎでは家族を守る事が出来ないと説明し、二つ目は本を作りたいと言います。谷がそれなら甲東出版で本を作れば良いというのですが、常子は自分で会社を作って出版すると言い放ちます。驚く男達を前に常子は、戦争に翻弄されて苦しんでいる女性の手助けに成る様な女の人の役に立つ雑誌を作りたいと言います。このご時勢、すでに失敗したようなもので、黙って配給を待って餓死してしまうより失敗を恐れず何かを始める方が良いと常子は言い、そして、もしこの賭けに勝てば大金持ちになり、苦労を掛けた家族を喜ばせる事が出来るかもしれないと希望に目を輝かせて話します。谷は常子の退職を快諾し、失敗したら戻ってくれば良いとまで言ってくれました。


第14週 第82話  「常子、出版社を起こす」

帰宅した常子は家族に甲東出版を辞めた事を報告します。常子は女の人の役に立つ雑誌を出版しようと思うと言い、鞠子と美子に一緒にやろうと誘います。尻込みする妹達をよそに、君子は戦争中の辛さを思えば、どんなに失敗しても大丈夫、応援すると言い、鉄郎は資金の調達をしてくれると言います。常子は戦時中おしゃれをする事が出来なかった女性の為に最新の洋服やその作り方を載せた雑誌を作ることに決めました。美子が考えた洋服の絵と作り方を担当し、小説家志望だった鞠子がそれを文章に起こす。と常子が具体的な作業と役割を決めると、妹達もやりがいを感じ始めます。鉄郎は露天商組合の経理担当の水田に会い、店を出すのにいくら掛かるのかなどの情報を集め、三姉妹と共にある露天商の元へ行き、雑誌を作るのに必要な紙800枚の調達を頼みます。雑誌の名前は「スターの装ひ」に決まりました。美子は街なかで見かける米軍将校や外交官の家族のファッションを参考にしようとスケッチをし、鞠子は今まで学んで来た全てを出すつもりだと張り切ります。君子は娘達が生き生きと力を合わせて取り組む姿を嬉しく思います。鉄郎と三姉妹が再び紙を頼んだ露天商を訪ねると露天商の男は800枚の紙を見せ、500円だと高額な値段を言います。皆があまりの高さに迷っていると、水田がやって来て、その紙は10分の1以下の値段で買えるはずだと言います。慌てた露天商の男から常子達は800枚の紙をたったの40円で買うことが出来ました。


第14週 第83話  「常子、出版社を起こす」

常子達三姉妹は着々と雑誌「スターの装ひ」の完成に向け、作業を熟していきます。鞠子と美子は自分の好きな分野が仕事になる事に喜びを感じ、大いに張り切ります。特に鞠子は周りが驚くほど水を得た魚の様に喜々として仕事に打ち込んでいます。一方、甲東出版の雑誌「新世界」の再刊に向けて奔走する五反田は、花山を呼び出し自分の小説の挿絵を描いて欲しいと頼みます。花山は厳しい表情で、今後出版に関わる仕事は一切しないと五反田の申し出を断ります。女性の役に立つ雑誌を作ると決めた日から数ヶ月が経ち、ついに常子達の雑誌「スターの装ひ」は完成しました。常子は雑誌の完成がゴールでは無く、これを売って次に繋げる事が大事だと言い、雑誌を置いてもらう為、書店回りをします。しかし、書店では実績重視で、売れる確証がないものは取り扱わないと断られてしまいます。そこで常子達は鉄郎が探して来た露店で売らせてもらう事にします。君子も加わり、一家総出で雑誌を売り始めると、「スターの装ひ」は飛ぶように売れ、その日の夕方には300冊全てが売り切れました。気を良くした常子達はもう1000部を増刷する事にし、出来上った雑誌を用意された露店の台に並べ始めます。その時、美子は何かを見つけ常子達を呼びます。常子達が目にしたのは驚くべき光景でした。


第14週 第84話  「常子、出版社を起こす」

常子達が作った雑誌「スタアの装ひ」は一日で300冊全てを売り尽くし、気を良くした常子達は1000冊を増刷して再び露店の店先に並べます。しかし、増刷している間に「スタアの装ひ」を真似たような雑誌が何種類も売られており、値段が安い他の雑誌にお客は流れ、「スタアの装ひ」の増刷分のほとんどが売れ残ってしまいます。おまけに、安い紙を使った事で雑誌はすぐぼろぼろになり、悪評が立ってしまいます。売れ残った雑誌を前に今がやめ時かも知れないと皆が意気消沈していると鉄郎が帰って来て、すぐまた旅支度をして出て行こうとします。実は鉄郎のジーンズ・ビジネスも失敗に終わり、新たなチャンスを求めて舞鶴に行くと言うのです。鉄郎は諦めずにもう一度やってみろと言い残し、旅立ちます。鉄郎を見送った常子達はもう一冊作ってみようと決断します。五反田から常子の雑誌の事を聞いていた花山伊佐治は「スタアの装ひ」を買い求めていました。後がない常子は、助言を貰おうと甲東出版に出向きますが、女性目線の雑誌には皆疎く、助言は得られませんでした。帰える常子を五反田が追いかけて来て花山伊佐治に相談すればきっと常子が作りたがっている雑誌をより良くしてくれるはずだと言い、花山が苦手で渋る常子に住所を渡します。花山は以前、新聞社の編集長として絵も文章も編集の力量も業界では有名な人だったと言います。その頃花山は「スタアの装ひ」を入念にチェックしていました。


第15週 第85話  「常子、花山の過去を知る」

常子達の雑誌「スタアの装ひ」が売れなくなり、大量の在庫を抱えてしまいます。次の雑誌作りを決意しますが、もう失敗は許されません。常子は五反田の勧めで苦手な花山に助言をもらう為に花山の自宅を訪ねます。常子は花山に家族で作った雑誌が行き詰まってしまい、力を貸して欲しいと頼みますが、にべもなく断わられます。せめて「スタアの装ひ」を見て悪い所を教えて欲しいと言う常子に花山はすでに闇市で買って読んだと言います。皆が食べる物も着る物も無い中で生きている今、外国人や一握りの令嬢が着る浮世離れした服を載せて何になる!洋服の作り方を載せてもその材料を手に入れる事も出来ず、型紙も載せないで読者がその服を作れる訳がない!読者を全く想像出来ていないと酷評します。常子は花山の的確な批評に深く納得し、言葉が出ませんでした。そして、常子は花山を自分達の雑誌の編集長になって欲しいと強く願います。常子は五反田から聞いた花山が営む品川のコーヒー店を訪ねます。邪険にする花山に常子は編集長になってくれる様頼みます。無駄だ、帰れ!と言う花山に常子は花山ほど才能のある人が二度とペンを握らないのは何故かと尋ねます。花山は何も話す気は無い、出て行け!と言い、腰を据えた常子を見ると、手伝いの老人に後を頼み、出て行ってしまいます。

 

第15週 第86話  「常子、花山の過去を知る」

常子は花山が営むコーヒー店を尋ね、花山に自分達が作る雑誌の編集長になって欲しいと頼みます。花山は常子を相手にせず、目障りだ、帰れ!と言い、常子が帰らないのを見ると自分が出て行ってしまいます。常子は何故花山が二度とペンを握らないのか、その理由をどうしても知りたくなっていました。花山が出て行った後、老人がコーヒーを出してくれます。その老人は関本と言い、花山の戦友の父だと言います。関本の話によると、花山は満州で結核にかかり、病気除隊になってしまいました。戦友達を残し一人帰国する事に後ろめたさを感じていた花山は、帰国後は少しでも国の為に役立とうと内務省の宣伝の仕事を引き受けたのでした。関本の息子も一度は日本に帰って来ましたが、再度、召集され南方で戦死したと言います。終戦後、花山は関本家へ弔問に訪れ、戦友の遺影の前でずっと泣いていたと言います。そして、8月15日、すべてに気付いたと謎の言葉を残します。一方鞠子と美子は闇市の一角に場所を見つけ、売れ残った雑誌を売りさばこうとしますが、強面の二人の男がショバ代を払えと言って来ました。鞠子達がうろたえている所を管理組合の水田に助けられます。常子は五反田に会い、状況を報告し、諦めたくないと言います。実は五反田は花山に出版業界に残って欲しいと思っており、花山の心を変えるきっかけになればと常子を彼の元へ行
かせたのでした。翌日、常子は再び花山を訪ね、8月15日に何に気づいたのか、何故ペンを握らないのか教えてほしいと頼みます。話を聞いたら帰えると約束するなら教えてやると言う花山に、常子は聞いたら帰えると約束します。


第15週 第87話  「常子、花山の過去を知る」

常子の8月15日に花山は何に気付いたのか、そして何故二度とペンを握らないのかと言うしつこい問いに、それを話せば帰ると言う約束で花山が話し始めます。花山の実家は貧しく、母親が女手一つで自分達を育ててくれていたが、生きていくのがやっとの生活で母親は毎日苦しそうな顔をしていたと言います。ある日、平塚らいてうの「青鞜」を読んだ日から母親は明るく変わったと言います。花山は言葉には人を救う力があると子供心に感じ、自分も言葉や絵で人の役に立つ仕事がしたいと思い、その仕事に就いたのです。戦争になり、戦う事が国の為になると思っていましたが、結核に倒れ、それが果たせなかった花山は戦争に勝つ事だけを考え、言葉で戦意高揚を煽り、国に役立っていると思っていました。8月15日、それまで言葉は人を救う力があるとばかり思ってきましたが、同時に言葉の持つ怖さを初めて自覚したと花山は言います。戦時中その様な事も気付かず言葉に関わってきて、終戦になり、信じてきた事が全て間違いだったと気付かされた時、花山はもうペンは握らないと決めたと言います。話が終わり、二度と来るなと花山に言われますが、常子は物もお金も仕事も無く先行きの見えない状況で必死に生きている女性の役に立つ雑誌をどうしても作りたい!だから諦められないと言い、帰って行きます。花山は常子が落として行ったがま口を届ける為、小橋家を訪ねますが、常子は帰って居らず、君子は雨漏りを直す大工と勘違いします。花山は途中で間違われている事に気が付きますが。傷んだ天井に我慢が出来ず、直す事なってしまいます。


第15週 第88話  「常子、花山の過去を知る」

常子が落として行った小銭入れを届けようと小橋家を訪れた花山は、君子の勘違いで雨漏りする屋根や傾きが気になったちゃぶ台をを修理するはめになります。花山が帰るのと入れ替わりに小銭入れを探しに出ていた常子が帰って来て、そこにあるはずのない小銭入れを見つけます。頼んでいた大工もやって来て、屋根の修理をして行ったのは花山だったことが解ります。一方、花山の家では花山に事業を手伝って欲しいと言う友人が花山の帰りを待っていました。帰宅した花山はその誘いを快諾しますが、小橋家で見た常子がとと姉ちゃんとして掲げた人生の目標や、君子と美子の話す僅かでも雑誌の売上が小橋家の収入源という事、次に作る雑誌に花山の助けを諦めていない事、それにも増してどうしても女の人の役に立つ雑誌を創りたいと言う常子の熱い想いが花山の脳裏に浮かびます。水田の世話で売れ残った「スタアの装ひ」を置かせてもらえる店が見つかります。常子は花山に大工仕事をさせてしまった事に酷く落ち込み、恐る恐る花山の珈琲店を訪ねます。腰が痛いと休んでいた花山に詫びと礼を言い、今日はその為にだけ来たので帰るという常子を花山は、手伝う事にした!と呼び止めます。自分が手伝わなければ一冊目と同じ様に売れるはずのない雑誌を創ってしまい、それでは一家が食べていけなくなる。花山は必ず売れる雑誌を創り、報酬も貰う、但し、次の号だけだ!君の親孝行を少しだけ手伝ってやると常子に告げます。

 

第15週 第89話  「常子、花山の過去を知る」

常子達の雑誌「スタアの装ひ」2号の編集長として花山が加わり、小橋家で作業が始まります。まず花山は常子達が作った「スタアの装ひ」の初刊のほとんどに駄目出しをします。鞠子の文章は小説の様で解りにくく、美子の挿絵は正面からの物だけで服の良さを伝えていないと、花山はそれぞれに見本を示し皆を納得させます。常子達が次号に向けての作業を開始しようとすると、花山が待ったを掛け、まだ一番の問題点が解決していないと言います。どの様な服を雑誌に載せるかばかりを考えているが、それよりも大事な大きな事を見落としていると言い、それが何かは言わずに帰ってしまいます。常子は花山の言う、服よりも大事な物を考え続け、闇市で会った水田との会話から答えを見つけます。後日、常子は洋服を着る為には洋服用の下着が必要であり、まず、下着の作り方を載せるべきだったと花山に答えます。当時着物を着ている人が大半を占めていたので洋服様の下着を持っていない人達が多かったのです。花山は常子の答えにご名答と言い、下着を研究して記事にまとめる様、指示を出します。花山は闇市で五反田と酒を酌み交わし、常子がとと姉ちゃんとして子供の頃から父親代わりをしている事を聞きます。花山は君子をはじめ、小橋家の女達を知らず知らずに褒めるのでした。常子達は出来上がった下着の記事を花山に見せ、合格点を貰います。こうして常子達が花山と苦心の末に創り出した「スタアの装ひ」第2号は想像以上の反響で売れて行きました。


第15週 第90話  「常子、花山の過去を知る」

花山が編集長となり、常子達三姉妹が取り組んだ「スタアの装ひ」2号が完成し、その雑誌は大好評で初版の1000部は飛ぶように売れて行きました。常子は花山に編集長として残り、自分達に雑誌の作り方を一から教えて欲しいと懇願しますが、断られます。花山は常子に一朝一夕には真似の出来ない雑誌を作れ、こんな時代だから伝えなければいけない事があるはずだと忠告します。常子は花山の言った事を考え抜き、花山には創りたい雑誌がある事に気が付きます。その頃、花山は新しい仕事仲間と焼け出された人達が住むバラックの立ち並ぶ場所に来ていました。ここに新しくビルが建ち、今住んでいる人達は立ち退かされると言うのです。花山はこれから携わろうとする仕事に違和感を感じ佇んでいと、花山の妻から居場所を聞いた常子がやって来ます。常子は花山が言っていた誰にも真似されない雑誌が解ったと言い、衣食住の大切だと思う事を調べ、実際に生活の知恵を試した結果を読者に伝え、皆の生活が少しずつ豊かになるような雑誌を創りたいと言います。花山もそんな雑誌が出来ればと考えていたが、それは夢で出来るはずが無いと諦めていました。花山は戦争中、毎日の暮らしなどよりもっと大事なものがあると思い込んでいたが、そんなものは無く、毎日の暮らしこそ守るべき物だったと言います。もし、豊かな暮らしを取り戻せるきっかけとなる雑誌が出来るなら、と言いかける花山に常子は自分となら必ず出来ると言い切ります。花山は常子の言葉を信じてみたくなったと編集長に留まる事を承知します。そして、常子は人生の全てを掛けて新しい雑誌を創りますと花山に応えます。


第16週 第91話  「常子、花山の過去を知る」

もし、豊かな暮らしを取り戻せるきっかけとなる雜誌が作れるのなら、と言う花山に、常子は私となら必ず出来ますと言い、二人は戦後、庶民の暮らしに寄り添った雜誌を創る事を決意します。終戦から一年以上経っても復興は進まず、食べるものも着るもの手に入らない状況が続き、国民の生活は困窮を来していました。闇市では女達が身なりの気遣いも忘れ、荒んだ様子で物を奪い合う姿がありました。それを見た常子と花山は綺麗な身なりは気持ちを豊かにすると、まずは雜誌のテーマを衣服に絞ります。常子は甲東出版を訪ね、社長業のアドバイスや資金の振り分けなどを教えてもらったり、安くて腕の良い印刷屋を探したりと、いつでも雜誌を出版出来るように奔走します。一方鞠子と美子は花山の指示で銀座に事務所を探します。花山は無名の出版社が信用される為には事務所が銀座になければならないと言うのです。花山に真髄した美子が鞠子を励まし、やっとの思いで銀座に事務所を見つけます。資金の事を考えればすぐにでも雜誌を出したいのですが、花山が一人で新しい雜誌の目玉を考えると言うので、常子達はその時を待ち、準備に励みます。銀座の事務所に入居しますが、花山はここ何日もただ遊んでいる様にしか見えず、鞠子と美子は常子の前で不安を口にします。そこにやつれきった綾が訪ねて来て、お金を貸して欲しいと頭を下げます。

 

第16週 第92話  「「あなたの暮し」誕生す」

憔悴しきった綾が常子を訪ね、値上げされた家賃が払えず、お金を貸して欲しいと頭を下げます。常子も会社を立ち上げたばかりで資金繰りの苦しい中、少しでも綾を助けようと後日、お金を持って綾を訪ねます。家の外で孫の太一を遊ばせながら洗濯をしていた綾の母から綾は新橋の食堂「浪漫」で配膳係として働いていると聞きます。常子が綾にお金を届けようと「浪漫」を探しますが、そこは食堂ではなく、カフェーでした。ちょうど客を送って出て来た綾を見て常子はびっくりします。厚化粧に派手な身なりをし、店では雅と名のり女給をしていたのでした。その頃花山は女性の身なりについて考えながら闇市を歩き、洋裁学校の生徒募集のポスターに目が止まり、何か閃いたようです。一方鞠子が事務所で独り、留守番をしている所に水田がやって来ます。水田は常子達の出版社で雇って欲しいと熱心に頼みます。ある日、事務所で常子が友達の綾がカフェ~で女給をしていて心配だと話すと、花山がその話に興味を持ち、常子に質問を浴びせ掛けます。綾の姿にショックを受け、それどころではなかった常子が何も覚えていないと言うと花山は編集者として常に取材をしようという気持ちを持てと常子を叱責し、改てカフェーに行って女給達がどんな服を着ているのかを中心に取材して来いと指示を出します。常子が花山に付いて来て欲しいと言うと洋裁学校の取材に行くことになっているので妹達と行けと言われます。翌日、三姉妹はカフェーを訪れ、綾の手引で女給達に会うのでした。


第16週 第93話  「「あなたの暮し」誕生す」

常子達三姉妹は綾の働くカフェーの女給達に取材をさせてもらいます。そこには戦争未亡人や花嫁修業ばかりして手に職もなく、戦争に男を取られ、結婚出来なかった女達がいました。常子達は女性の役に立つ雜誌を作ろうとしていると言い、花山と一緒に作った「スタアの装ひ」を見せます。洋服の作り方が載っている記事を見て、洋服を着ておしゃれがしてみたいと誰もが言いますが、洋服を作る布も技術も無い自分達には全く役には立たない雜誌だと言われてしまいます。一方、花山は洋裁学校に取材に行き、授業を見学するうちに洋服を作るためには沢山の生地が必要な事に驚きます。皆が取材の結果を持ち帰り話し合うとカフェーの女給達が挙げる問題点と、花山が洋裁学校で感じた問題点が一致します。解決すべきは、少しの布地で難しい技術が要らずに洋服が作れる方法を探し出すと言う事になりました。美子は花山と「とと」をダブらせ、褒められたい一心で無駄なく布地を裁断出来る方法を探します。鞠子は水田を経理として雇う事が出来ないかと常子に聞きますが、今は無理だと言われます。鞠子は、自分達が作ろうとしている雜誌を今の世の中に必要だと言ってくれた事が嬉しかったのです。花山は妻が娘に頭を出す為の穴を開けた新聞紙をかぶらせて髪を切っている姿を見て閃きます。直ちに机に向かい何かを調べた後、デザイン画を書き始めます。翌朝早く、花山は小橋家を訪れ、簡単に作れる洋服の作り方が解ったと言います。しかも、着物を仕立てる時に必要な生地の半分以下で作ると言うのです。

 

第16週 第94話  「「あなたの暮し」誕生す」

花山が朝早く小橋家にやって来ました。簡単に洋服が作れる方法が解ったと言うのです。花山はその場で持って来た布地を裁断し始めます。型紙も使わず直線に布地を裁ち、それを君子がミシンで直線に縫い、アッという間にワンピースが完成しました。簡単で無駄のない直線裁ちは創刊号の目玉企画にぴったりだと常子達は喜びました。花山と常子達はカフェー「浪漫」の女給達の元を訪ねます。常子達は予め持ってくるように言っておいた反物から直線裁ちワンピースを作って見せ、一反の布地からワンピースが一着、ブラウスが四着出来ると言い、皆を驚かせます。しかし、余分な反物すら無いと嘆く女給にこの直線裁ちは着物からも三着の洋服が出来ると言い、喜んだ女給達の着物をワンピースに縫い直します。全員のワンピースが完成して女給達は便利な事を教えて貰ったと常子達に感謝し、綾もこんなに晴れやかな気持ちになったのは久しぶりだと礼を言います。花山はこの目玉企画を絵ではなく写真を載せて紹介すると言い、常子達に綾が加わりモデルを努めます。緊張して上手に笑顔を作れない常子達は悪戦苦闘します。そこに水田がやって来て、初めて鞠子の母である君子から挨拶をされて緊張の余り持っていたりんごをばらまいてしまいます 。その様子がおかしくて皆の緊張もほぐれ、自然な写真が撮れました。創刊号の目玉企画の記事が完成し、花山が表紙になる絵を描き、常子と花山が目指した庶民の暮らしを少しでも良くする雜誌が完成を迎えます。


第16週 第95話  「「あなたの暮し」誕生す」

花山の描いたイラストが創刊号の表紙に決まり、前書きも花山が書きました。その文章に常子は感動し、その中にあった「あなたの暮し」を新しい雜誌のタイトルにし、社名も「あなたの暮し出版」にしようと提案します。そして、花山が事務所を銀座に置くことを拘ったように、常子も知名度のない雑誌だからこそお金を賭けてでも雜誌の広告を新聞に載せるつもりだと言います。4ヶ月後、広告が新聞に掲載され、「あなたの暮し」は遂に発売されました。新聞の広告代が2400円掛かったと聞いた鞠子はこれと言って変化が無い事に落ち着きません。そこに全国の読者から「あなたの暮し」の購入を依頼する手紙が束になって配達され常子達はほっとします。企業からの広告を載せず花山の美意識で全ての紙面を創り上げた「あなたの暮し」が売れるにつけ、直線裁ちの服がブームになり、街中に直線裁ちの服を来た女性が増えていきました。ある日、雜誌の発送作業をしながら、君子が花山にどうしてそんなに女性らしい視点を持っているのか尋ねると、花山の母親が亡くなった後、長兄として母親代わりをして来たと言います。美子が「かか兄ちゃん」だと言い、皆が常子と良い組み合わせだと言います。そんな和やかな雰囲気をかき消すように、先日花山が取材した洋裁学校の校長が洋裁技術を否定するような直線裁ちは許せないと怒鳴りこんで来ました。常子は毅然として、洋裁学校の営業を妨害する気持ちは無いが、これからも余裕のない人達に洋服の作り方を届け続けると言います。校長は意味ありげに又お会いしましょうと言って去って行きます。


第16週 第96話  「「あなたの暮し」誕生す」

和服で洋服を作る直線裁ちは戦後の物資不足に悩む女性たちのブームとなりました。常子は「あなたの暮し」の増刷と発送に追われながら、もっと売れる雜誌にする方法で頭をいっぱいにしていました。そして、新聞社と共同開催で直線裁ちの講座を開き、それを新聞に乗せてもらう事を思い付きます。新聞に受講者を募集する広告が載るとその反響はすぐに表れ、受講希望のはがきが定員を大きく上回って届きました。皆それぞれに仕事を抱え、手が放せないので、常子は水田に臨時の手伝いを頼みます。水田の仕事ぶりを心配そうに見守る鞠子でしたが、夜、自宅で君子に「とと」に苛々したことは無かったかと尋ねます。鞠子は水田の事を心配でハラハラして目が離せず苛々する自分の気持ちに戸惑ってい
ると打ち明けます。それは水田に恋をしている事ではないかと言う君子に鞠子はそんなことはないと必死で弁解します。直線裁ち講座が開かれる当日、皆総出で会場の準備をし、新聞社から取材をする為に記者とカメラマンがやって来ました。こうして午前の部の講座が始まる時間になりましたが、時間を過ぎても受講生は誰一人として表れませんでした。それは午後の部も同じでした。どういう事かと皆が不審に思っている所へやって来たのはあの洋裁学校の校長でした。校長は授業の参考にしようとやって来たと言い、受講生が来ていないことを確認するとさっさと引き上げて行きました。花山は校長が講座を妨害するために大量のはがきを出し、席を押えたのだろうと言います。そして、常子に欲をかいては足元を掬われる、社長として今回の事を今後のを糧にしろと叱責します。常子達は商売の厳しさを思い知らされたのでした。


第17週 第97話  「常子、花山と断絶する 」

昭和22年(1947年)初夏、「あなたの暮し」の創刊号は直線裁ちのヒットで3万部を超える売上を達成し、経理の経験を買われた水田と庶務の岡緑が入社しました。終戦直後、国内の住宅事情は逼迫していました。空襲によって多くの家屋が消失し資材不足から12坪以上の住宅の新築や増築が禁止され、人々は狭い空間での生活を余儀なくされていました。花山は次号の目玉企画を人々が住まいに対する不満を少しでも解決出来る記事にしようと考えます。そんな時、三姉妹の女学校の恩師、東堂チヨから手紙が届きます。数日後、常子は仕事のついでに東堂を訪ねます。東堂は親戚の家の片隅にある小さな物置に夫婦二人で暮していました。常子は粗末で狭く使い勝手の悪そうな住まいに驚きます。今も教師をしていると言う東堂は「あなたの暮し」を女性の友であり同士だと言い、暮しの役に立つ素晴らしい雜誌だと褒めます。常子は東堂に教わった挑戦することの大切さを胸に奮闘し、今あるのは東堂のお陰だと感謝を述べます。東堂は常子との再開を喜び、明るく振る舞いますが、空襲で焼けてしまった居心地の良かった駒込の家を懐かしみ、今の暮しを嘆いている様です。事務所に帰り東堂の暮し振りを花山に話すと、次号も日々の生活に追われている人々の役に立つ雜誌にしたいと花山が言い、常子も強く同意します。帰宅し、次の日曜日に東堂から招待された事を報告すると妹達は大喜びします。


第17週 第98話  「常子、花山と断絶する 」

常子達三姉妹は女学校の恩師・東堂チヨに招かれ、東堂夫婦の住む物置を訪れます。チヨは留守だと聞き、出直そうとした常子達をチヨの夫が中で待つ様に部屋に入れてくれます。しばらくしてチヨが帰宅し、鞠子や美子と再開を喜びます。そんなチヨを夫が外に呼び、何故、このような寝床と居間が一緒になった狭くて恥ずかしい家に人を呼ぶのかと言い、散歩に出てしまいます。書道家だったチヨの夫は社交的で仲間も多く明るい人でしたが、戦地で利き腕を負傷し、書道を続けられなくなりました。そして、家が焼けてしまい、この物置に住むようになってからは誰も呼ぶ事もなくなり、塞ぎこむ日々が続いていたのです。チヨはそんな夫を以前のように明るく変えたいと言います。事務所で皆が揃って昼食を摂る時も常子達は東堂夫婦に恩返しとして何か出来ないかと考えていました。その時、花山が閃きます。後日、花山や水田も伴い常子達は改て東堂夫妻の元を訪ねます。そして、東堂夫妻の住む6帖の物置を快適な空間に模様替えをして、変化前と変化後を雜誌に掲載させて欲しいと頼みます。東堂が快く承諾し、常子がチヨに希望を聞くと、夫の為に椅子と机、そして本棚が欲しいと言います。事務所に帰り、皆で検討しますがチヨの希望の家具を入れるにはあまりにも狭すぎて、難しい事が解ります。何も良い案が浮かばないまま3日が経ち、常子と花山は闇市でりんご箱を見つけます。花山は何か閃いた様子で、そのりんご箱を30個も買うのでした。


第17週 第99話  「常子、花山と断絶する 」

「あなたの暮し」の次号の目玉企画として常子達三姉妹の恩師・東堂チヨ夫妻の住まいの模様替えを取り上げる事になりました。しかし、その住まいは6帖と狭く、チヨの希望の家具を入れる事は難題でした。花山は考えあぐねた挙句、闇市で見つけたりんご箱30個をただ同然の値段で買って来ます。事務所で箱を並べて机やソファーをつくるという花山のアイデアに対し、常子もより快適にするアイデアが浮かんだと言います。模様替え当日、まず花山が大工を連れて部屋に入り、りんご箱を取り付けて家具にします。その後常子達が用意していた綺麗な紙をりんご箱に貼っていきます。それは常子が女学生だった頃、チヨが綺麗な紙を工夫してブックカバーを作り、小さな心がけで幸せを感じられると教えた事がヒントになったのでした。花山が箱の組み合わせでソファーにもベッドにもなる変化出来る家具だと説明すると、予想以上の出来上がりに東堂夫妻は喜び、チヨの夫に笑顔が戻りました。花山が写真を撮り、狭くても快適な空間を読者の誰もが簡単に作れる方法を紹介する次号の目玉企画が完成しました。皆が事務所に戻り、常子が皆の労をねぎらい、明日からは執筆作業に入ってくれと檄を飛ばしている所にスカートを履いた花山が入ってきます。飾り紙を貼ってりんご箱を華やかに見せた常子の女性らしい視点に触発され、女性向けの雜誌を作る編集長として女性の感覚を理解する為に今日はこの姿で過ごすのだと言います。常子達は花山をとても頼りになる反面、やはり変な人だと思うのでした。


第17週 第100話  「常子、花山と断絶する 」

昭和23年(1948年) 秋、「あなたの暮し」が創刊から1年半が経ち、創刊号、第2号は順調に売上を伸ばしたものの、その後、販路を思う様に拡大出来ずにいました。戦後の混乱期の中、出版業界もライバルが増え、経営基盤の小さい出版社は次々と潰れていきました。そんな中、常子が以前勤めていた甲東出版が大手出版社に吸収合併される事になりました。あなたの暮し出版も資金繰りに苦労しており、常子は広告を載せる事を提案しますが、花山は広告を載せると言う事は雜誌の一部を売り渡す事だと、聞く耳を持ちません。それ以来、何の解決策も無いまま話は立ち消えになっていました。常子達が揃って帰宅すると、そこには森田屋の宗吉と照代が小橋家を訪ねて来ており、久しぶりの再開を果たします。宗吉は富江も長谷川も元気で孫も7才になったと目尻を下げますが、戦後すぐに母親の松を亡くしていました。そして、空襲で焼け出された生活を立て直すのに時間がかかったが、生まれ育った東京に戻って洋食屋をやる事に決めたを言います。宗吉と照代は「あなたの暮し」を毎号楽しみに読んでおり、自分の事のように誇らしいと三姉妹を褒めます。今のとと姉ちゃんは社員も含め、守るものが大きくなったと言う宗吉の言葉に常子は改て責任を感じます。給料日、水田は自分が辞職すれば手っ取り早くお金を作れると言い、それを常子が拒否すると、自分が辞める以外には広告収入を得るしか無い、このままでは倒産すると強く訴えます。


第17週 第101話  「常子、花山と断絶する 」

あなたの暮し出版は雜誌「あなたの暮し」3号、4号の売上を伸ばす事が出来ず、経理の水田からこのままでは倒産すると言われます。常子は意を決して花山に広告掲載に同意してもらえないかと再び願い出ます。花山はその話はもう終わったはずだと激怒し持論を曲げません。常子は「あなたの暮し」を続けていくには広告を載せるしか無いと、花山に内緒で広告掲載を決意します。花山に心酔している美子は広告を載せる事より、それを花山に伝えない事が花山を欺く事になると反対し、常子と対立します。広告主は景気の良さそうなお料理学校が常子の出した雜誌の内容にはいっさい口出しをしないと言う条件で決まりました。常子は印刷所へ行った帰りに甲東出版により、谷や五反田の意見を聞きます。谷は経営者としての常子の決断は正しいと言いながらも、編集長の花山が理想の雜誌作りを追求する気持ちも解ると言います。そして、そんな花山にはもう一度直線裁ちの様な発明を世に出したいという焦りがあるはずだと言います。その頃、花山と美子は闇市に居り、小麦粉を持って行くとパンを焼いてくれる店に人が群がるのを見ます。当時、アメリカから大量の小麦粉が入って来て、配給も米ではなく小麦粉が主流でした。ところが当時の日本人は馴染みのない小麦粉はうどんかすいとんにする以外に調理法を知りませんでした。花山は美子に説明しながら小麦粉を使った新しい料理を次号の特集で紹介する事を思い付きます。


第17週 第102話  「常子、花山と断絶する 」

常子は資金繰りに苦しみ、花山に内緒で広告掲載に踏み切ります。そして迎えた第5号の発売日、次号の目玉企画が頭に浮かんだ花山は、徹夜で調べ物をしていました。これから花山に広告掲載の事を報告しなくてはならず、常子達は足取りも重く、裏表紙に広告が印刷された「あなたの暮し」第5号を事務所に運び入れます。夢中で調べ物をする花山に常子は第5号を差し出し、どうしても資金が足りなかったので広告を載せたと報告します。花山は案の定、激怒して今まで隠していたのは汚いやり口だと非難します。広告主と雜誌の内容には口を出さないと約束を取り付けたと言う常子に花山はもう一緒に雜誌は作れない、編集長を辞めると言います。追いかけて止めようとする常子に広告は進退を掛けるほど大切な事だったがそれが伝わっていなかった事が残念だと言い、出て行ってしまいます。花山が去った後、自分達だけで何とかするしか無いと、皆で次号の企画を考えますが、美子は花山抜きでは無理だと言い、家に帰ってしまいます。美子が君子に花山が辞めた事を報告すると、君子は花山と常子がもう一度話し合うきっかけがあると良いのだが、、と言います。美子はそのきっかけを作ろうと机に向かいます。翌日、花山の思い付いた企画を自分が考えたと言って次号の企画に提案します。常子を始め皆はその提案に感心し、次号の目玉企画は小麦粉料理に決定します。


第18週 第103話  「常子、ホットケーキをつくる 」

広告をめぐる対立で花山はあなたの暮し出版を辞めてしまい、常子達は自分達だけで次号の企画を考える事になりました。そして、美子が皆が驚くほど素晴らしい企画を提案をし、採用されます。それは美子だけが知っている花山が次号にと準備を始めていた新しい小麦粉料理を紹介する企画でした。常子達は早速、洋食店を開こうと準備をしている宗吉のもとを訪ね、協力を頼みます。宗吉は常子達の申し出を快諾しますが、長年続いて来た仕出し屋「森田屋」の看板を潰したまま、儲けにつられて洋食屋をやっても良いのか、今更ながらに悩んでいました。鞠子は信頼していた花山のいなくなった後、辛さをこらえ皆に気遣う常子を心配し、水田に相談します。水田は自分が精一杯支えると言い、勢いが余って鞠子に交際を申し込みます。驚いた鞠子は会社がこんな時だからと逃げ帰ってしまいます。そんな時、広告主から反響が良かったので次号には2倍の予算で広告を掲載して欲しいと要望がありました。常子達は綾を始め、カフェー「浪漫」の女給仲間を読者代表として宗吉の新しい店に集め、宗吉の考えた料理の試食会を催します。その頃花山は新しい仕事を探し出版社を回っていましたが、中々納得出来る様な就職先は見つからず、あなたの暮し出版を辞めてしまっても、新しい小麦粉料理を考えてしまう日々を送っていたのです。


第18週 第104話  「常子、ホットケーキをつくる 」

常子達に頼まれ、宗吉は小麦粉を使った料理を作り、読者代表として集められた綾達、カフェー「浪漫」で働く女性達に振る舞います。皆はその美味しさに大満足しますが、これは雜誌に紹介しても喜ばれないだろうと言います。宗吉の作った料理は一般の家庭では手に入れる事の難しい食材を使い、素人には作れそうもない手の込んだ物でした。もっと簡単に混ぜて焼くだけで出来る料理は無いのかと言う問に、常子はホットケーキを思い付きます。そして、次号の目玉企画はホットケーキの作り方に決定します。ある日、広告主の袴田が事務所を訪ねて来ます。袴田の学校が多大な融資を受けている会社の社長夫人考案の創作料理を次号に載せて欲しいと頼まれ、承諾したと言うのです。常子は花山の言った事が頭に浮かびます。後日、袴田が置いていった社長夫人のレシピ通りに宗吉が作って見せますが、その料理はあまりにも贅沢な材料を使い、完成までに半日を要するとても家庭で作れる様な物ではありませんでした。美子は広告主の申し出は断わるべきだと言い、水田と鞠子は広告料で会社の存続を得るべきだと言います。鞠子と美子が帰宅し、いつまでも常子を非難する美子に君子は社員として社長と力を合わせる事が大事では無いのかと諭します。常子は花山が辞めた後、自分達だけでやると決めたはずでしたが、頭から花山の言葉を消す事が出来ずにいました。


第18週 第105話  「常子、ホットケーキをつくる 」

広告主から掲載を依頼された料理は「あなたの暮し」の読者からかけ離れた贅沢ものでした。常子はどうしたものかと考えるうちに事務所で一夜を明かします。常子が目覚めると心配した鞠子と美子が出社しており、美子は自分達は社員として常子の判断に従うと伝えます。常子の気持ちは固まりました。早速、広告主を訪ね、記事にして欲しいと依頼された料理は、庶民の暮しに役に立つ事を目標に創刊された「あなたの暮し」には相応しくないと、掲載を断ります。その結果、広告も無くなり、あなたの暮し出版の経営は窮地に追い込まれ、次号が最後になるかも知れないという状態になってしまいます。常子は水田と緑にこうなってしまった事を詫び、最初に花山と「あなたの暮し」を作った時の想いを踏みにじりたくなかったと言います。そして、谷に頼んで探してもらった二人の再就職先が書かれたメモを渡します。水田を始め、皆は常子と一緒に最後まで投げ出す事無くやり遂げると言います。そんな中、美子は広告を載せなくなった今、花山に帰って来てもらおうと提案しまが、常子は潰れかけの会社に戻って来てもらうのは申し訳ないと取り合いません。どうしても諦める事の出来ない美子は谷を訪ねて相談し、花山の元へ連れて行ってもらいます。玄関先で聞く耳を持たない花山に谷は「あなたの暮し」が終わるかも知れないと告げるのです。


第18週 第106話  「常子、ホットケーキをつくる 」

美子は谷と共に花山の自宅を訪ね、花山があなたの暮し出版に戻って来てくれる様、説得します。広告主が降りてしまい、いよいよあなたの暮し出版は無くなってしまうかも知れないと言う谷に花山はもう自分には関係無いと言います。美子は自分の出した企画は最後まで責任を持ってくれと花山に言い、次号の企画が小麦粉料理だと明かします。驚く花山に美子は花山の企画が次号に掲載されれば常子と花山がもう一度話し合うきっかけになると思ったが、持ちこたえる事が出来ず、次号が最後になりそうなのだと告白します。常子には花山が必要で、あなたの暮しには花山が不可欠な存在だから戻って来て欲しいと言う美子に花山は勝手な言い草だとこれを断ります。美子は闇市で花山の為に買い求めていた鉛筆を座卓の上に置き、諦めると言って帰って行きます。谷は美子の帰った後も花山を説得し続けます。翌日、常子達は次号の発刊の準備をするのですが暗く沈んだ雰囲気を払拭出来ずにいました。そこへ谷が花山を連れてやって来ます。素直になれない常子と花山は意地を張り、言い争いになりますがその途中で小麦粉の企画は花山の発案だと言う事が分かります。そして、常子が小麦粉料理にホットケーキを思い付いた事に花山は感心します。この様にあなたの暮しには二人が不可欠だと皆が納得します。常子は花山に頭を下げ、戻ってくれる様、懇願し、花山はこれを承諾します。早速仕事が再開され、花山の容赦無い駄目出しが始まります。そしてその場に居合わせた宗吉の店に今から行くと言い出すのでした。


第18週 第107話  「常子、ホットケーキをつくる 」

美子と谷の尽力により、花山があなたの暮し出版に戻って来ました。花山は早速、宗吉の店で鞠子の書いた原稿を読み聞かせ、料理の得意でない水田に原稿の通りにホットケーキを作らせます。出来上がったホットケーキは味も見た目も散々な出来上がりでした。花山は水田の失敗を例に挙げ、文章だけでは読者の受け取り方もそれぞれ違うが、料理記事としては皆が同じものを作れなくてはいけないはずだと言います。そこで花山は全ての工程を写真で表す料理の分解写真なるものを提案します。数日後、写真を使った記事が出来上がり、早速、集められた綾達が記事だけを頼りにホットケーキを作る試作会が行われました。写真のお陰で綾達は皆、上手にホットケーキを焼く事が出来、大満足です。常子はその様子を喜びながらこれが最後の「あなたの暮し」になるかも知れないと不安を口走ります。一方常子達の仕事をそばで見ていた宗吉は、美味しい物は洋食も和食も区別無く、両方出して店の名を「キッチン森田屋」にすると照代に告げます。照代もそれに賛同します。そしていよいよ「あなたの暮し」の最新号が発売され、常子の不安をよそに分解写真による調理解説は大きな話題となり、売上を大きく伸ばします。この大ヒットのお陰で会社は倒産の危機を逃れます。会社が危機を脱し、鞠子は水田をおでん屋に呼び出し、鞠子と交際したいと言う水田の申し出を受けたいと言います。完全に鞠子から振られたと思っていた水田は驚き、喜びます。大きな苦難を乗り越えた「あなたの暮し」は新たな読者層を獲得し、主婦の見方として受け入れられて行きました。


第18週 第108話  「常子、ホットケーキをつくる 」

昭和25年(1950年)、「あなたの暮し」の出版部数は順調に推移して社員も増やし、経営も確固たるものになってきていました。常子は益々雜誌作りに夢中になり、新聞を隈なく読み、流行を知り、読者の気になる事を探すのが日課となっていました。鞠子と水田の交際も順調でしたが、いっこうに結婚へと進む気配が無い事に周りは気を揉んでいました。そんなある日、花山が次号で新婚女性に役立つ家事のやり方を企画するので、水田に鞠子といつ結婚するのかと尋ねます。それをきっかけに常子達も鞠子にプロポーズする様に水田をけしかけます。自信が無くプロポーズ出来ずにいた水田は皆から背中を押され、早速今晩鞠子にプロポーズすると言います。そして、会社の帰り、水田は鞠子に夫婦になってくれとプロポーズします。こんな私で良いのかと尋ねる鞠子に鞠子の全てを愛していると水田は答えますが、鞠子の返事は少し考えさせて欲しいと言う事でした。一方、家では君子がごちそうを作り、常子も美子も浮かれて鞠子の結婚報告を待つのですが、帰って来た鞠子にその気配はありませんでした。翌日、酷く落ち込んだ水田から常子と美子は水田が鞠子にプロポーズして、鞠子から少し待って欲しいと言われた事を聞きます。何故、鞠子がすぐに承諾する返事をしなかったのか不思議に思う常子達でしたが、その頃、鞠子の気持ちは大きく揺れていたのでした。


第19週 第109話  「鞠子、平塚らいてうに会う 」

鞠子と水田の交際が始まり、二年が経とうとしていましたが、水田からプロポーズをされてから二週間が経っても鞠子は答えを出せずにいました。完全にふられたと思っている水田は酷く落ち込み、沈んだ状態が続いていました。美子は悲観的な水田が鞠子の事を諦めてしまわないかと気を揉み、常子に鞠子の気持ちを聞いて欲しいと頼みます。夜、常子が鞠子に気持ちを尋ねると、作家になりたくて大学にまで行かせてもらったが、それを何一つ活かせないまま何の役にも立てていない自分に自信が持てず、このままでは結婚は出来ないと打ち明けます。思い余った鞠子は仕事を続けるべきか、結婚かで迷っていると、東堂のもとへ相談に行きます。東堂は仕事で何か一つでもやり遂げたと思えたならその時答えがでるのではないかと助言します。その言葉で鞠子は仕事に一層励みますが、自分の才能の無さを見せつけられ、落ち込みます。作家も駄目、編集者も駄目、それならば結婚!なんて、何一つやり遂げる事無く、その度に目標を変えて生きていくのは情けないと嘆く鞠子に水田は鞠子の準備が出来るまで結婚はいつまでも待つと言います。そんな折、あなたの暮し出版にトラブルが発生します。原稿を依頼していた作家が急に執筆を断わって来たのでした。緊急に今まで執筆依頼をしていない話題になる作家を探せと花山の怒鳴り声が社内に響きます。皆が考えあぐねる中、鞠子は平塚らいてうは誰もが知っていて彼女の言葉を待っている女性は大勢いるはずだと提案します。


第19週 第110話  「鞠子、平塚らいてうに会う 」

執筆依頼の断りが急に入り、他の作家を探さなくてはならなくなった中、鞠子が平塚らいてうに依頼しようと提案します。花山は平塚らいてうなら申し分無いと常子に担当を命じますが、常子はそれを断り、らいてうを一番良く知る鞠子に任せたいと言います。花山は了承しますが、らいてうは信頼した編集者としか仕事はせず、急な申し出を受けて貰うのは相当難しい事だと言います。鞠子は早速平塚らいてうの編集者・若松のもとへ足を運び、「あなたの暮し」に執筆してもらう様頼みますが、平塚先生は新規の依頼は受けていないとにべもなく断られます。鞠子は諦める事無く、断られても断られても連日若松の元へ足を運びます。そんな雨の夜、ずぶ濡れになり若松を待っている鞠子にとうとう若松は根負けして、らいてうに話を通しておくと約束し、鞠子から「あなたの暮し」と手紙を受け取ります。後日、らいてうが会ってくれると言う電話が入り、鞠子は住所を頼りにらいてうの自宅を訪ねます。鞠子は崇拝するらいてうを前に想いの丈を述べ、執筆を依頼します。らいてうはあっさり快諾し、以前から「あなたの暮し」へ寄稿したかたのだと言います。題材について尋ねられた鞠子は「青鞜」の様な若い女性を奮い立たせる物が良いと言うのですが、それに対してらいてうは「あなたの暮し」の読者には以前から書きたかったおしるこの作り方とそれに纏わる随筆が良いと思うと言うのです。戦争を経験し、平和があってこそ女性も権利を主張出来ると感じ、自分の考えは変わったのだと言います。そして、考えは変わるものでそれは良い事だと言うのです。らいてうの言葉は鞠子の心に大きく響きました。


第19週 第111話  「鞠子、平塚らいてうに会う 」

鞠子は平塚らいてうを訪ね、女性に勇気を与える様なしなやかで力強い文章の執筆を依頼しましたが、「あなたの暮し」の読者には相応しく無いと鞠子の提案は断られます。その代わりにらいてうは明日の暮しが良くなる知恵を書きたいと言います。らいてうは子供を育てた事や戦争を通じて考えが変わったと言い、考えは変わるもので、それはとても良い事だと言います。鞠子は自分の流されているような生き方を情けないと思っていましたが、その言葉に感銘を受け、救われます。数日後、鞠子は平塚らいてうの原稿を胸に抱え社に戻って来ます。らいてうの原稿を花山に渡すと花山はその内容の素晴らしさと、それを書かせた鞠子を大いに褒め称えます。社内が平塚らいてうの原稿に湧く中、水田は寂しそうな表情を浮かべます。久し振りに会社からの帰り道を鞠子と水田は二人で歩きます。そして、鞠子が水田さんのお嫁さんにして欲しいとプロポーズの返事をします。仕事を成し遂げた鞠子のキラキラした様子を見た水田は鞠子が仕事を望んでいるのではないかと思っていました。しかし、これでやっと水田との結婚に踏み切れると言う喜びでいっぱいだったと鞠子に言われ、改て鞠子にプロポーズするのでした。二人はその足で小橋家へ挨拶に訪れ、結婚の許しを請います。常子達は心から二人を祝福します。翌日、二人は媒酌人を花山に頼みますが、花山は柄じゃないと言って断ります。他に心当たりが無い二人は宗吉と照代に媒酌人を頼み、宗吉夫婦は承諾します。


第19週 第112話  「鞠子、平塚らいてうに会う 」

鞠子の努力の甲斐もあって、「あなたの暮し」に平塚らいてうの随筆が掲載される事になり、達成感を味わった鞠子はようやく水田との結婚に踏み切ります。鞠子は水田の両親に結婚の許しを得る為に水田と共に水田の実家のある甲府へ出掛けます。小橋家では水田の両親に鞠子が嫁として認められるのかどうか気を揉んで、皆が落ち着かずに過ごしていました。そこへ水田の両親を伴い鞠子達が帰って来ました。水田の両親は息子から鞠子を紹介され、嬉しさのあまり、居ても立ってもいられずやって来たのです。底抜けに明るい水田の両親は畑で穫れた大量の作物や酒の土産を広げ、いい歳をしてフラフラしていた息子が結婚をする事になりホッとしたと言い、子供が結婚するまでは親は死んでも死に切れないと続けます。息子の結婚を心から喜ぶ父親の言葉でしたが、常子の心を揺らします。その夜、君子は竹蔵に鞠子の結婚を報告します。常子は君子に水田の父が言っていた様に、私にも結婚して欲しいですかと尋ねます。君子は常子を見ていると幸せの形は一つではない様に思え、結婚しなくてもあなたは十分一人前だと答えます。夏に出版された「あなたの暮し」12号は平塚らいてうの記事が評判となり売れ続け、秋には10万部を記録する大ヒットとなりました。そして、鞠子が独身最後の日、花山が三人が揃ってここで働くのは最後だと記念に三姉妹を写真に納めます。


第19週 第113話  「鞠子、平塚らいてうに会う 」

鞠子と水田の結婚式を明日に控えた夕方、小橋家では家族4人が揃う最後の夕食を迎えていました。君子は鞠子の好きな物を思い付くままに作り、食卓いっぱいに並べます。鞠子はかかの料理が何よりのごちそうだと言い、美味しそうに頬張ります。夕食も終わり、鞠子は小橋家で過ごした年月を振り返る様に白無垢を見つめます。そして、鞠子は昨日までの4人が一緒に笑ったりご飯を食べたりした当たり前の暮しを懐かしみながら、家族一人一人に感謝の気持ちを伝えます。そして、仏壇の竹蔵に向かい、優しくて誠実な水田と明日結婚をし、とととかかのような暖かい家庭を作ってみせるから心配はいらないと報告します。最後に、水田と結婚したら水田鞠子になり、”みずたまり”になってしまうとおどけて見せます。結婚式当日、美しく支度の出来た花嫁姿の鞠子は近所の人々に見送られ、実家を後にします。金屏風の前に水田と鞠子が座り、両家の親族が並ぶ中、、宗吉が挨拶をしますが、だらだらと取り留めのない話に皆がうんざりしてしまいます。照代の注意でやっと乾杯の音頭が取られ、鞠子と水田の披露宴が始まったのでした。


第19週 第114話  「鞠子、平塚らいてうに会う 」

長かった道のりを経て、ようやく鞠子と水田は結婚式を迎えます。媒酌人である宗吉の乾杯の合図で披露宴が始まります。常子が鞠子の父親代わりとして挨拶をすることになり、宗吉は常子にしっかりやる様に念を押します。常子は前の晩から鞠子と水田の新しい生活を味噌汁に例えたスピーチを考え、しっかり暗記して来たので大丈夫と胸を張ります。明るく人柄の良さそうな水田家の人々に鞠子を嫁がせる事を君子達は心から喜び、安心するのでした。宴も闌な中、鞠子と水田の上司として花山の挨拶が始まります。花山は取り分け話すことも無いと言いながらも、祝辞を述べた後スピーチを続けます。誰もが心温まる花山のスピーチを賞賛する中、常子は動揺しています。実は常子が考えて来たスピーチとほぼ同じ内容だったのです。そして、常子の番だと、焦る常子をよそに宗吉が急かします。挨拶に立った常子でしたが、たった今花山がした話を再びする訳にはいかず、頭が真っ白になってしまいます。常子は観念して素直な気持ちを語り始めます。自分は父親代わりとして家族を支えて来たつもりでいたが、駄目な自分の隣にしっかり者の鞠子がいつもいてくれ、支えてくれていた。そして鞠子の様な素敵な女性を嫁にして水田は必ず幸せになるのだから、どうぞ大切な妹の鞠子を幸せにしてやってくれと水田に頼みます。水田はこれに応えて、鞠子を一生を賭けて幸せにすると約束します。鞠子は常子に抱きつき、有り難うと言い、大きな拍手に包まれます。こうして鞠子は小橋家から嫁いで行きました。


第20週 第115話  「常子、商品試験を始める」

昭和30年 (1955年) 8月、敗戦直後のどん底の時代が嘘のように当時の日本は未曾有の好景気を迎えていました。巷には物が溢れ始め、洗濯機、冷蔵庫、テレビの三種の神器も登場し、高額な新商品もぞくぞくと発売され、日本は大量消費への時代に差し掛かっていました。一方、利益だけを追求した粗悪品が出回る事も多く消費者に様々な被害が及ぶ事もありました。あなたの暮し出版は創立9年を迎え、発行部数は15万部を超え、社員も20人近くに増え、ビルの2階全てを借りる程好調でした。水田と鞠子の間にはたまきという娘が生まれており、幼い頃の常子にそっくりな好奇心豊かな女の子に成長しています。花山は相変わらず新しい企画を考えており、ある日、常子に提案します。主婦が1日の大半の時間を過ごす台所に注目し、どの様な台所が使い易いのかを調査して記事にしようと言うのです。常子はそれに賛同し、早速、色んな家庭の台所を取材すると言い、この様にやりたい仕事が出来るのは全て花山のお陰だと礼を言います。花山は戦後、物の無い時代に庶民の豊かな暮しを取り戻そうと雜誌を作って来たが、物が行き渡る様になった新しい時代に「あなたの暮しが提供すべき知識は何かを見つけなければ読者に飽きられてしまうと苦言を呈します。常子はスタッフと共に新興住宅地へ台所の取材に向かいます。取材の最後にと選んだ家の前で遊んでいた兄妹に声を掛けますが、その家の表札には星野と書かれていました。


第20週 第116話  「常子、商品試験を始める」

常子はスタッフと共により快適で使い易い台所の記事を書く為に一般の家庭の台所を取材をして回っていました。常子は傘にじょうろで水を賭けて遊ぶ大樹と青葉Tという兄妹に出会い、声を掛けます。気が付くと傘の赤い染料で青葉のお気に入りの服が汚れてしまい、悲しい表情で家の中に入ってしまいます。常子達が会社に帰ると購入したばかりのミシンの試運転が行われ、そばで見ていた社員の顔を折れて飛んだ針先が傷つけます。危うく目を傷つけるところだったと花山がミシンを販売した会社に電話をしますが、話になりません。あらゆる物が行き渡った新しい時代に「あなたの暮し」が読者に提供すべき知識とは何だと言う花山の問に答える様に常子は商品試験をやりましょうと皆に提案します。常子は物が出回ってきた時代だが、その中には粗悪品も多く、自分達が実験をしてその商品の良い所と悪い所を消費者に伝えたい。幸い「あなたの暮し」は広告掲載をしておらず、自分達だからこそ公平な目で真実を伝える事が出来ると言います。花山は素晴らしいアイデアだと言い、早速企画会議を始めます。第一回の商品試験は老若男女が必要とし、毎日の暮しに欠かせない石鹸に決まり、民間の検査機関なども利用した徹底的な調査を開始します。その頃、美子はキッチン森田屋で働く南大昭と交際を始め、宗吉と照代は後は常子だけだと常子の結婚に気を揉みますが、常子にその気はなく、仕事が楽しくて仕方ありませんでした。花山の指示のもと、商品試験が遂に始まりました。


第20週 第117話  「常子、商品試験を始める」

商品試験と並行して各家庭の台所の取材を続けていた常子達は再び大樹と青葉の兄妹に出会います。今日はお父さんが家に居ると青葉に家に誘われます。父を呼びに行った兄妹と共に家から出て来たのは何と星野でした。突然の再会に常子が星野さん?星野が常子さん?とつぶやくだけで言葉が出ません。同行していた社員が台所を見せて欲しいと頼むと星野はうちで良ければと常子達を家に招き入れます。星野は妻に先立たれ、一人で子供達を育てていました。取材が終わり、見送る星野に礼を言い、語り足りない想いで二人は見つめ合いますが、社員のバスが来ると言う言葉に急かされその場を立ち去ります。その晩、美子は南とデートで帰っておらず、君子と二人だけの夕食でした。常子は君子に偶然に星野に会ったと告げ、戦争で安否を心配していたが、結婚をし、二人の子供を持つ幸せそうな星野を見て安心したと言います。一方、連日の商品試験で石鹸の臭いで鼻が効かなくなった社員に代わり、綾達がモニターとして加わります。一ヶ月後、民間の検査機関に依頼していた商品試験の結果が出ます。驚いた事に汚れ落ち、香り、肌への刺激のどれをとっても最大手の麗風堂の評価が低く、無名の初音石鹸の物が高い評価だと言う結果でした。常子達は試験結果を読者に知らせようと、メーカー名を入れた記事を掲載しようとしますが、検査機関の社員はそれに反対します。麗風堂とは長い付き合いがあり、その麗風堂の顔に泥を塗るわけには行かないと言うのです。


第20週 第118話  「常子、商品試験を始める」

民間に依頼した検査試験の結果は以外なことに、最大手の麗風堂が最下位と言う結果となりました。常子達は検査結果をメーカー名を入れて「あなたの暮し」に掲載しようとしますが、麗風堂に義理のある検査機関はメーカー名を公表するのであれば、試験結果は取り下げると言います。常子と花山は今までやって来た試験を無駄にしない為にメーカー名を公表しないと言う苦渋の決断をします。数日後、出来上がった「あなたの暮し」最新号を前に花山は悔しさを爆発させ、次号は必ずメーカー名を公表する記事を載せると言い、それには自分達で試験をする事が不可欠だと言います。常子と水田は多額の費用が掛かる事を懸念しますが、花山は商品試験には自分達が追い求めていた「あなたの暮し」の全てがあると言います。常子は花山と雜誌を作ろうとしていた頃を想い、花山に賛同します。水田も二人が自分達で商品試験をすると言い出す事を見越して、実は準備を始めていたのです。ある晩、星野が子供達を連れて常子の会社に会いに来ます。星野は傘の色が写ってしまった洋服の代りに新しい服を買うと青葉に約束するのですが、何処でどんな服を選べば良いのか解らず青葉にせがまれ常子に相談に来たのでした。常子は星野一家をキッチン森田屋へ案内し、宗吉と照代、そして大昭に会いに来ていた美子と感激の再会を果たします。星野は出征して南方にいた事、終戦から一年以上経って復員すると大阪の大学には居場所が無くなっており、今は医薬品会社に勤めている事、その会社で知り合った妻は4年前に亡くなった事などを皆に語ります。常子は変わらぬ星野の人柄に懐かしさを覚えるのでした。


第20週 第119話  「常子、商品試験を始める」

キッチン森田屋で星野親子と宗吉や照代、そして美子が15年振りの再会を果たし、懐かしい時を過ごしました。常子と星野はこれからもお互いに力になる事を約束して別れます。昭和30年11月、常子達は商品試験を行う為の実験室をビルの一階に設けました。その日は鞠子も手伝い、社員総出で設置作業が行われました。鞠子は美子から星野に再会したことや星野の近況を聞き、意味ありげに常子の様子を見ていました。作業が終わり、花山は社員達に語り始めます。何者にも邪魔されることのないこの実験室で商品試験を行い、その結果をメーカー名を入れて紙面で発表すると言います。また、商品試験は人々の暮しを守る戦いであり、それが我々の使命であると熱く語ります。花山が冷蔵庫や洗濯機を扱いたいと言う中、水田は費用の事もあるが、まずは手軽な日用品から始めて読者の反応を見るのが賢明だと訴えます。その意見に常子も花山も同意し、本格的な商品試験の第一弾として歯ブラシを取り上げる事にしました。4つのメーカーの歯ブラシで柄と毛先の形、毛の密集度を調べ、使い易さを比較したり、力の掛け方や磨く回数などを細かく決めてブラシの耐久性を調べます。常子達はおよそ3ヶ月を掛けて延べ300本の歯ブラシを使い、毛の痛み具合を比較しました。商品試験と平行して進められていた目玉企画の台所の特集も加わって、「あなたの暮し」最新号は評判となり、売り切れる書店が続出したのです。


第20週 第120話  「常子、商品試験を始める」

歯ブラシの商品試験と台所の記事を掲載した「あなたの暮し」最新号は評判となり、売り切れる書店が続出しました。常子は台所を取材させてもらったお宅に一軒々お礼をして回りました。そして星野の家にも「あなたの暮し」の最新号を届けに行きます。その日は節分で常子も加わり豆まきをしていると、取り替えたばかりの電球が切れてしまいます。水田家では鬼になった水田を娘のたまきが絵に描こうとするのですが、粗悪な鉛筆のため描けません。一方、花山の妻はパンを上手く焼くためにトースターが欲しいのですがどれを選べば良いのか解らないと言います。常子が社員達と次の商品試験で取り上げる物を議論していると花山と水田が難しい表情でやって来ました。そして、花山は今後商品試験を続けていくかどうか、もう一度話し合いたいと言います。水田が商品試験に掛かる費用を改て試算した所、想定以上の膨大な金額を必要とする事が解ったのです。今まで得た利益を全てつぎ込む事になる商品試験は、あなたの暮し出版が倒産するかも知れない大きなリスクをはらんでいたのです。決断を迫られた常子は「あなたの暮し」を買ってくれる読者の為にも価値のある企画を提供しなければならず、人々に価格に見合った安全で良い物が届く様に自分達がするべき事は商品試験だと、続行を決めます。常子の決意を聞いた花山や水田を始め、社員達が一丸となって商品試験に向かう事を誓います。


第21週 第121話  「常子、商品試験を始める」

好景気に沸き日本に物があふれ始めた昭和30年代、便利な電化製品も次々と登場し、消費者の購買欲をかりたてました。しかし安全性をおろそかにした粗悪な品も多く出回り、消費者に被害が及ぶ事も増えていました。常子と花山は消費者の視点で良い品を読者に知らせる為に商品試験を始めたのです。昭和31年(1956年)春、商品試験は対象を電化製品にも広げ、より本格的になっていました。一つの商品に長い時間をかけ、様々な項目を実際に使う消費者の立場に立って検証します。常子は花山と共にその全てを監督すると言う、今まで以上に忙しい毎日を送っていました。美子は鞠子を訪ね、娘のたまきに接する鞠子の様子を見て、つくづく母親になったのだなと感心します。鞠子は常子と星野が以前付き合っていた様だと言い、もしまだ気持ちがあるのなら常子にも好きな人と一緒にいる幸せを掴んで欲しいと言います。花山は、商品試験に対して非常に厳しく、社員の小さなミスも許しません。人様が命賭けで作った商品を真正面から批評するのだからこちらも命がけでやって初めて責任が果たせると、試験に臨む覚悟を説きます。また、公平な立場を保つために企業からの商品提供は一切受け取りませんでした。そんな時、星野から星野の会社の製品を安く提供したいと電話があります。常子は星野の申し出を断りますが申し訳なく思います。常子は美子の提案で子供達にお菓子を持って星野家を訪ねると、大樹が高熱にうなされ横たわっていました。


第21週 第122話  「常子、商品試験を始める」

星野の勤める会社の製品を格安で提供させて欲しいと言う星野の申し出を断わった常子は菓子折りを持ち星野宅を訪れます。しかし星野はまだ帰っておらず、風邪をひき高熱にうなされる大樹とそれをどうする事も出来ずに困り果てた青葉がいるだけでした。常子が大樹の看病をし、そのまま付き添っているところに星野が帰宅します。子供達を寝かせた常子は久し振りに星野と対話をします。星野は来週から二ヶ月は忙しく、特に木曜日は帰りが遅くなってしまうので子供達が心配だと言います。木曜日だけなら自分が顔を出すと言う常子に星野は遠慮しますが、常子の子供達の事を一番に考えましょうと言う言葉で常子に甘える事にします。帰り際、玄関に飾られた桔梗の花の説明をする星野を常子は昔のままの星野で嬉しいと言うと、星野もまた昔のままの常子で良かったと返します。一週間後、二ヶ月にも及ぶトースターの商品試験は最終日を迎えました。試験結果は一年分のパンを焼いて問題の無かったトースターは無く、危険性のある物がありました。この結果を基に花山は原稿を書くのですがペンが進みません。不安がる社員に対して美子は、メーカーが思いを込めて作った商品を酷評しなければならない結果に花山自信、相当な覚悟を持って向かっているはずだと言い
ます。夜も更けた頃、花山はようやくペンを取り、書き始めます。常子は花山に寄り添う様に遅くまで残っていました。


第21週 第123話  「常子、子供達の面倒をみる」

トースターの商品試験が全て終わり、後は花山が原稿を書くのみとなっていました。商品試験の結果は全てのトースターに問題があり、読者に勧められる物は一つもありませんでした。メーカーが想いを込めて作った製品を酷評をする事になった花山は覚悟を決めて原稿を書き上げます。試験結果と厳しい批評を記した花山の原稿はすぐに印刷に回されました。常子は約束通り、子供達だけで留守番をしている星野の家に向かいます。常子は人参が食べられない青葉の為に煮物をコロッケに作り変えたりして、子供達と楽しい時間を過ごしていました。星野が帰宅して夕食の片付けをしながらの会話の中に常子は亡くなった妻に対する星野の深い愛情を感じます。一方、美子は大昭との交際を順調に育んでいました。その日、美子は大昭から何か重大な事を言われた様子で、君子に話をしようとした時、常子が帰って来ます。何処に行っていたのかと美子に聞かれ、常子は星野の事情を話し、これから二ヶ月間、週に一度手伝いに行くと報告します。夜になり、美子は常子と布団を敷きながら常子の人生の目標が書かれた短冊を眺めます。そして意を決した様に常子に向かい、大昭から結婚を考えていると言われた事を告白します。それを聞いた常子は我が事の様に喜ぶのでした。


第21週 第124話  「常子、子供達の面倒をみる」

美子は大昭に結婚を考えていると言われたと常子に報告します。常子は自分の事の様に喜び祝福しますが、美子は気掛かりな事がある様です。順番から言えば常子の結婚が先なのに、君子を常子に任せて嫁に行ってしまうのは心苦しいと美子は言います。美子は常子がいつも周りに心配を掛けない様に本心を隠し自分の幸せから目をそらしている様だと言い、常子にも幸せになってほしいと真剣に訴えます。常子は鞠子や美子が好きな人と幸せになる姿を見るのが幸せだと言い、自分にとっては会社と社員が子供で、その成長を見ているのが本当に幸せだと言います。美子の常子を思う気持ちにほだされ、常子は、星野は亡き妻を愛していて、今は大樹と青葉の事が一番なのだと本音を漏らします。「あなたの暮し」最新号のトースター試験の記事は大反響を巻き起こし、売上を大幅に伸ばします。常子と花山が現在進行中の試験にアイロンの試験を加える相談をしている所へ、ちとせ製作所の田中と言う人物が”責任者を出せ!”と怒鳴り込んで来ました。田中は酷評されたトースターを作っている会社の社長でした。商品試験の記事のせいで売上がガタ落ちだと恐ろしい剣幕で記事をデタラメだと批判します。花山は発表した記事に責任を持つ覚悟があると毅然として言い、田中に自分の作った物に責任を持てと反論します。田中は怒りが収まる様子も無く、帰って行きますが、気になった常子はちとせ製作所に様子を見に行きます。そこで常子が見たのは沢山の返品に頭を抱える田中でした。


第21週 第125話  「常子、子供達の面倒をみる」

「あなたの暮し」最新号に掲載された商品試験の結果のせいで自社で作るトースターの売上がガタ落ちしたとちとせ製作所の社長、田中が怒鳴り込んで来ました。あまりの剣幕に常子はちとせ製作所の様子を見に行きますが、そこで目にしたのは多くの返品に頭を抱える田中とその妻の姿でした。常子は消費者の暮らしを守るために始めた商品試験が、生産者の暮しを奪う事になった現実に酷く心を痛めます。常子は何とか笑顔を作り、子供達に接しますが、帰宅した星野は常子の辛い気持ちを感じ、僕で良かったら話を聞くと言います。常子は商品試験のせいで路頭に迷わせた田中の話をし、商品試験を続ける意味があるのか迷っていると言います。すると星野は息子の大樹が粗悪な電気釜でやけどをした事があると言い、雜誌で酷評された会社は厳しい状況に置かれるかも知れないが、それによって良い物をつくる様になるのなら、商品試験は必要な事だと常子に語ります。昔の様に星野に励まされた常子は再びちとせ製作所を訪れ、商品試験は消費者の為だけでは無く生産者に向けた物でもあると話し始めます。二ヶ月をかけた試験でどの会社も問題の無い物は無く、努力する生産者にチャンスがあると常子は力説します。安全で良いトースターを作って欲しいと言う常子に田中は大手と競う為に安価を目指し製品に妥協していた事を認め、良いトースターが何処にも無いのならうちで作ると常子に約束します。常子は晴れ晴れとして会社に戻って行きます。


第21週 第126話  「常子、子供達の面倒をみる」

「あなたの暮し」の商品試験によって心ならずも生産者を厳しい状況に追い込む事を目の当たりにした常子はこのまま商品試験を続けて良いものなのかと迷います。商品試験の結果をより良い製品を作るために役立てて欲しいと言う常子の強い思いに、ちとせ製作所の社長、田中は常子の思いを受け、安全で良い製品を作ると約束してくれます。迷いが吹っ切れた常子は花山にその事を報告し、改て商品試験の意義を確認し合います。常子は決意を新たに仕事に打ち込んでいる中、星野の会社の繁忙期が終わり、子供達の面倒を見る最後の日がやって来ます。子供達と楽しい時間を過ごした後、星野から礼を言われ、星野の家を去ろうとします。急に寂しさが募ったように常子は振り返り、もしまた必要があれば来たいと申し出ますが、星野は常子も忙しいのだからと頑なに拒みます。美子が帰宅した常子に星野の家に行く理由が無くなり寂しいかと訪ねます。弱音を履くと約束した常子は素直に寂しいと答え、星野には大事に想う大樹と青葉がいる家庭があり、それで十分なのだと自分に言い聞かせる様に言います。そして、常子は自分の子供であるあなたの暮し出版の商品試験に真心と覚悟を持って邁進すると言います。アイロンの商品試験を始めるにあたり、どの様な項目を試験すべきかを決めようとするのですが、アイロンを使い慣れていない男性社員は役に立ちません。どうしたものかと思案する常子達の前に”私に任せな”と康恵が表れます。


第22週 第127話  「常子、星野に夢を語る」

昭和30年代、巷には多くの粗悪品が出回り、あなたの暮し出版では商品試験を始めましたが、本格化するにつけ、社員だけで全ての試験を行う事が難しくなっていました。そんな時、常子は康恵の案で一般の主婦をテスターとして雇う事にしました。康恵が集めた主婦たちは早速、働き始めました。アイロンを使う彼女たちの声により、具体的な試験項目が固まっていきました。様々な観点から試験は行われ、正確な結果を導き出すために試験は何度も繰り返し行われました。アイロンの商品試験は連日深夜まで及び、2ヶ月に渡って行われました。戦争未亡人だった康恵はカフェーの客だった男性と再婚していました。夫の子供が康恵になつき幸せそうな様子を聞く度に、常子は星野の子供達が頭に浮かびます。昭和31年(1956年) 9月、その日、常子は忙しい中、料理記事の確認の為に宗吉の店を訪ねます。するとそこには星野が子供達とご飯を食べに来ていました。青葉が常子に抱きつき、どうしてお家に来てくれないのと尋ねますが常子は答える事が出来ず、星野との間に妙な空気が流れます。店を出た常子は寂しさを募らせます。常子は仕事が終わった主婦達を見送った後、康恵と立ち話をします。再婚をしたからと言って、前夫の事を忘れた訳では無いと言う康恵の言葉が常子の心を刺します。その頃、仕事を早く終え帰宅した星野は、持ち帰った花を亡き妻に供えていました。そこへ来客があり、出てみると亡き妻の父、弓岡が立っているのでした。


第22週 第128話  「常子、星野に夢を語る」

三年ぶりに亡き妻の父・弓岡が星野の家を訪ねて来ました。弓岡は孫達の成長を喜び、酒でもてなす星野に語り始めます。子供の為にも星野自信の為にも再婚をしてはどうかと、、それが娘の願いでもあると言うのです。一方あなたの暮し出版ではアイロンの商品試験が全て完了しました。康恵達10人の主婦が試験に加わり、主婦ならでの観点から様々な意見を出し、大いに役立ちました。商品試験の結果を受け取った花山は、以前にも増して強い覚悟と共に原稿用紙に向かいます。常子は出来上がった原稿を主婦達の前で朗読し、皆の労をねぎらい、感謝の言葉を掛けます。そして、常子は主婦の知恵や観点は商品試験に欠かせないと言い、これからも役立てたいと主婦をテスターとして募集する事を決めます。こうして出来上がった「あなたの暮し」最新号はまたもや大ヒットし、主婦からテスターの応募はがきも大量に届きました。そんなある日、青葉から会社へ電話がかかり常子が出ると、また大樹の具合が悪くなり、星野が留守なので常子に来てほしいと言うのです。常子は急いで星野の家へ向かいます。その頃、「あなたの暮し」最新号に掲載されたアイロンの商品試験で酷評を受けた赤羽根電気製造では「あなたの暮し」を読んだ社長の赤羽根が怒り心頭の様子です。


第22週 第129話  「常子、星野に夢を語る」

大樹の具合が悪いと青葉から助けを求める電話があり、常子は急いで星野の家へ駆けつけます。ドアが開くのも待ちきれず中に飛び込むと、驚いた事に星野が帰宅しており、当の大樹も元気そうです。この日は青葉の誕生日で、親子三人でお祝いをしていた最中でした。自分の誕生日にどうしても常子に来て欲しかった青葉が嘘をついたのでした。大樹の無事に安心し涙ぐむ常子は嘘をついた事を謝る青葉と大樹を抱きしめます。そんな様子を星野は愛おしく見つめます。改て青葉の誕生日を4人で祝い、楽しい時を過ごします。遊び疲れた子供達を寝かせ、常子が帰ろうとすると星野が外まで追って来て、話し始めます。星野は自分だけ新しい人生を歩んではいけないと、亡き妻に後ろめたさを感じていたと言うのです。だから常子とは会わずにいようと思っていたが、子供達には星野の思いは関係なく、常子を大好きで、それは自分もだと言います。そして、もっと会いたい、もっと話したいと言う星野に常子は自分も子供達や星野ともっと一緒にいたいと思っていたが、星野が亡き妻を愛していて自分は迷惑になるだろうと、、、と言い終わらない中にに星野が常子を抱きしめます。帰りの遅い常子を心配していた君子と美子に帰宅した常子は事情を説明し、青葉がそうまでして自分に会いたがってくれて嬉しいと言います。あなたの暮し出版は次の商品試験に高価ながらも購買希望の多い電気釜を取り上げる事にしました。毎日お米を炊いている主婦の視点が必要とされ、テスター希望者10人に協力してもらい試験が始まりました。その頃、赤羽根電気製造では次なる商品試験の情報を知り、何かを企む様子です。


第22週 第130話  「常子、星野に夢を語る」

常子と星野の気持ちが通じ合い、三週間が経ちました。常子と星野はお互いに忙しい仕事の合間を縫って大樹や青葉と共にキッチン森田屋で食事をするなど、幸せな時間を過ごしていました。タイピストだった常子しか知らない星野は何故雜誌を作る事になったのかと尋ねます。常子が女の人の役に立つ雜誌を作り、暮らしの為になることを提案していきたいと答えると、星野は以前は周りの人の為を優先し、自分のやりたい事は二の次にしていた常子が今、自分自信の夢を持っている事がとても嬉しいと言います。ある雨の日、突然、赤羽根電気製造の社員だと言う男が二人、あなたの暮し出版を訪れます。赤羽根電気製造のアイロンは前回の商品試験で最悪な粗悪品と評価され、現在、試験中の電気釜もレベルの低い物でした。常子が話を聞こうとすると、男の一人が突然泣き出し、赤羽根電気製造を潰さないでくれと土下座をします。アイロンの商品試験で酷評を受けたせいで会社が窮地に立たされ、この上、電気釜も低い評価を受ければ会社が立ち行かなくなるので低い評価は付けないでくれと泣き落としにやって来たのでした。常子が二人を持て余していると、花山がやって来て、泣いている暇があれば商品開発をしろと一喝して二人を追い返します。泣き落としが効かなかったと報告を受けた赤羽根社長は次の手を考えます。常子は以前の様に仕事帰りに星野家を訪れ、子供達の世話をしていました。常子は子供達から”お帰りなさい”と迎えられ、帰って来た星野を”お帰りなさい”と迎える幸せな時間を過ごしていました。


第22週 第131話  「常子、星野に夢を語る」

常子は会社帰りに星野の家を度々訪ね子供の面倒を見ていました。ある日、大樹と青葉が常子の家へ遊びに行きたいと言い出します。常子は快く星野一家を次の日曜日に招待する事にしました。常子は家に帰り、君子や美子に報告すると、二人は大歓迎だと言い、ついでに鞠子一家と大昭も呼ぶことにしました。君子は楽しみだと言い、当日何を作ってもてなそうかと嬉しそうです。あなたの暮し出版に再び赤羽根の社員が訪れ、常子と花山の前に誠意を見せると言い、札束を積みます。話にならん!と相手にしない花山に尚も札束を積む赤羽根の社員に対し、常子が激怒します。赤羽根の製品はとても褒められた物ではないが、生産者として良い製品を作ろうと言う矜持は無いのか!粗悪品を売り、お金で評価を操作するなんて恥ずかしく無いのかと常子は言い放ちます。赤羽根の社員は拒んだ事をきっと後悔する事になると捨て台詞を残し、去って行きました。日曜日、小橋家には久し振りに大勢が集まり、星野と昔話に花が咲きます。皆が揃って和やかに食事をしていると突然、石が投げ込まれ、窓ガラスが飛び散ります。花山の家でも同じ事が起こっており、警察に通報したが、赤羽根の仕業だと言う証拠がないので取り合ってはくれなかったと言います。赤羽根の卑劣な脅しに社員達も警戒します。赤羽根は家電販売店に出向き、自社のアイロンの売上が激減していると聞き、「あなたの暮し」を手に商品を選ぶ客の姿を見て、あなたの暮し出版に憎悪を募らせるのでした。そして、それとは別にあなたの暮し出版を偵察している様子の謎の男が出没しています。


第22週 第132話  「常子、星野に夢を語る」

常子や花山の自宅に投石があり、ガラスを割られると言う嫌がらせがあり、それはさらに続き他の社員の家にまで及びました。常子は星野の家を訪ね、先日子供達に怖い思いをさせた事を詫び、危害が及ばねい様、しばらくは来れないと告げます。そんな中、あなたの暮し出版に突然、赤羽根が二人の社員を引き連れやって来ました。常子達が投石被害の話をしていたのを聞き、あれだけ他の会社の製品にケチをつけているのだから恨まれて当然だと言います。常子は無礼な態度の赤羽根にどんな卑劣な行為からも社員を守ってみせると言い、赤羽根達を追い返します。花山はジャーナリストとしての自覚とプライドを持て!ペンは剣よりも強い!と社員たちを鼓舞します。常子達は電気釜の商品試験を今まで通り進め、一ヶ月後には完了しました。電気釜も赤羽根電気の製品は最低な評価となりました。花山はメーカーや技術者がやらなければいけない事は安全で使い易く、長く使える、胸を張って売れる商品を作る事であると熱いメッセージを贈る原稿を書き上げました。常子はそれを印刷に回し、最新号の完成は間近となりました。そこへ珍しく星野から電話があり、久し振りに聞く星野の声に常子は喜びを隠せません。常子の仕事に余裕が出た頃だと思った星野は、次の日曜日に子供達と一緒に動物園に行かないかと常子を誘います。その頃、赤羽根は電気釜の商品試験が終わった事を知りますが、新たな嫌がらせを企んでいる様子です。


第23週 第133話  「常子、仕事と家庭の両立に悩む」

商品試験を始めた常子達への嫌がらせは相次ぎ、自社の製品を酷評された赤羽根電気製造の社長・赤羽根があなたの暮し出版に乗り込んで来ました。常子は毅然とした態度でどんな卑劣な行為にも屈しないと赤羽根を追い返します。大樹と青葉が常子と一緒に動物園に行くのを楽しみにしている頃、あなたの暮し出版に大変な事件が起きます。印刷所から差し替えの原稿はまだかと催促の電話があり、明日までに原稿が入稿されないと予定日の発売は無理だと言うのです。花山の代理と名乗る者から商品試験の原稿を差し替えたいので、入稿してある原稿を人目に触れない様、捨てて欲しいと指示があったと言うのです。原稿は全て廃棄されてしまい、常子は明日までに全てをやり直す様に社員達に指示を出します。明日の動物園を楽しみにしている星野家に常子から断りの電話が入ります。大樹は事情を理解してくれましたが青葉はおばちゃまの嘘つき~!と泣き出してしまいます。常子は立場上、また約束を守れずに子供達を傷つける事になってしまうだろうと今の自分には仕事と家庭の両立は不可能だと悩みます。常子と花山は会社に泊まり込み夜を徹して原稿を作り直す為の作業を続けていました。そこへ大東京新聞の国実と名乗る以前からあなたの暮し出版の様子を伺っていた男がやって来て、常子と花山の事を記事にしたいので取材をさせてくれと言うのです。日を改めて欲しいと言う花山に対し国実は常子達に懐疑的で自社だけで行う閉鎖的な試験で商品試験の公平さは有るのかと無礼な態度をとるのでした。


第23週 第134話  「常子、仕事と家庭の両立に悩む」

花山の代理と偽り、入稿済みの原稿を廃棄させるという嫌がらせが投石事件に続き起こります。常子と花山は原稿を「あなたの暮し」の発売日に間に合わせるため夜を徹して作業を続けます。花山は不眠不休で原稿を書き直し、写真も全て準備し直しました。こうして原稿は締め切りまでに何とか入稿する事が出来ました。常子が一息付いていると、星野が子供達を連れ、三人で作ったおにぎりを常子に届けにやってて来ます。青葉は常子に我儘をいってごめんなさいと謝り、星野親子が帰ろうとすると、花山が次回の企画案を常子に渡そうと部屋から出て来て、星野と挨拶を交わします。星野親子を見送った常子が花山のもとへ行くと花山はすかさず彼と交際しているのかと尋ねます。常子ははっきりと答える事ができず、雜誌を作ると決めた時に自分の人生を掛けると宣言しておきながら、今このような事にうつつを抜かしている場合では無いと後ろめたさを感じていると言います。それに対し、花山は常子は決意通りによくやり、会社も育った今、あの時の常子の誓いに縛られる事はない。仕事も大事だが自分の人生に後悔の無い様に生きれば良いと励まします。昭和32年(1957年)5月、電気釜の記事が掲載された「あなたの暮し」最新号が発売され、42万部を売り上げます。常子は久し振りに星野家でゆっくり過ごします。二人は縁側で月を眺め語らい、星野は以前プロポーズした時と今も同じ気持だと常子を抱きしめます。その頃商品試験で最下位ランクを付けられた赤羽根はどんな手を使っても商品試験をやめさせろと社員に命じていました。


第23週 第135話  「常子、仕事と家庭の両立に悩む」

常子と星野は自分の気持ちに素直になって愛を育み、周りもそれを暖かく見守っていると言う幸せな時間を過ごしていました。ある日、美子が大昭に会いにキッチン森田屋へ行くと、常子や花山を取材しようとしつこく会社の周りをうろついていた大東京新聞の国実を宗吉が怒鳴りつけ、追い出すのを目撃します。照代の話によると、常子や花山の足を引っ張る様な事ばかりを聞く国実に宗吉が激怒したのでした。水田は社員の松永の生活が最近乱れている様子に危うさを感じます。一方、星野は会社で名古屋支社への移動を命じられます。二年前に子供達の事を考え、残業が少なく実家に近い支店に移動願いを出していたのでした。星野は人の役に立つ雜誌作りが夢だと語った常子と、本屋でそれを支持する読者の姿を目の当たりにして、悩みます。そんな時、星野は大樹の為に毎朝半ズボンを用意していたにも関わらず、大樹が長ズボンをはいて学校へ行っている事に気付きます。大樹にその訳を問い正すと、隣の席の女の子から大樹の足にあるやけどの跡が気持ち悪いと言われ、長ズボンをはいていたのでした。日曜日、常子は星野から食事に誘われ、嬉しそうに森田屋へ向かいます。キッチン森田屋では子供達と楽しく食事をし、常子は食事の後に近くの公園へ遊びに行こうと誘いますが、星野は改まった顔をして、今日はお話があってお呼びしたのだと言います。


第23週 第136話  「常子、仕事と家庭の両立に悩む」

ある日曜日、常子は星野から誘われ、キッチン森田屋で子供達と一緒に楽しい時を過ごします。食事が終わり、星野は常子に大事な話があると言い、子供達を店の外にやります。そして、常子に会社から名古屋への転勤を命じられた事を告げます。それは常子と再会する以前に子供との時間を多く作る為に星野自身が希望した事だったのですが、辞令が出てからはどうしようかと随分悩んだと言います。そして、名古屋に行くと決めた理由は、大樹がクラスの女の子に足のやけどの跡を気持ち悪いと言われて悩んでいた事だと話し始めます。星野は大樹が父親の自分に何度も救いを求める合図を送ったはずであるにも関わらず、忙しさのあまりそれに気付けず、親としての責任を果たしていなかったと悔います。親子の絆は自然に出来るものではなく、作り上げていくものだと実感した星野は常子に相談もせずに名古屋へ行く決断をした事を詫びます。常子は星野が子供の事を真剣に考える人だからこそ好きになったのだと星野の決断を受け入れます。常子は君子と美子に星野の転勤を報告し、今まで以上に仕事に励むと言います。翌日、元気の無い常子の前へちとせ製作所の田中がやって来ました。田中は「あなたの暮し」で自社製品のトースターを酷評され、一時は倒産しそうになったが、お陰で安全で使い易い製品を何とか作り上げる事が出来たと今では常子達に感謝していると改良されたトースターを持って来たのです。数日後、星野達が名古屋へ発つ日、常子は一家を見送るために駆けつけ、一人ひとりに別れを告げます。皆を笑顔で送った後、常子はひとり涙を流すのでした。


第23週 第137話  「常子、仕事と家庭の両立に悩む」

常子は名古屋へ転勤が決まった星野親子を笑顔で見送ります。あなたの暮し出版では洗濯機の商品試験が始まりましたがその矢先、「あなたの暮し」の商品試験に結果偽装の疑いがあると書かれた週刊誌が発売になります。花山はいい加減な記事を書く部数も少ない週刊誌など影響力は無く、取るに足らない事だと言います。常子はテスターが結果偽装の証言をしたと書かれていた事が気になり、調べるとテスターは実在し、テスターの情報が週刊誌に漏れていた事を知ります。その頃、赤羽根は時間とお金をかけて作り上げた自慢の洗濯機の販売に力を注いでいました。そして、週刊誌の記事はやはり赤羽根の仕組んだ事でした。水田は先日から仕事に身が入らない様子の松永が気になります。そんな中、今度は週刊誌の記事に目を付けた国実がその記事を基に大東京新聞にコラムを掲載します。全国紙に取り上げられた影響力は大きく、会社には問い合わせの電話が殺到します。常子は国実から取材をしたいと呼び出され、大東京新聞を訪れます。国実は週刊誌で証言したテスターがあなたの暮し出版のテスターだった事実から結果偽装は本当だろうと言います。常子は公正な立場を保つため企業からの協力や広告を拒否している事を説明し結果偽装は事実無根だと言いますが、何を言っても追求をやめない国実に意図は何かと尋ねます。国実は今や物を買う指標となった「あなたの暮し」の影響力の重みを解っているのかと常子に尋ね、その雜誌が正しいかそうでないかは追求されて当然だと言い放ちます。


第23週 第138話  「常子、仕事と家庭の両立に悩む」

今や消費者に大きな影響を及ぼすまでに成長した「あなたの暮し」の責任を国実に指摘された常子は改て大きな責任を噛み締めます。そんな中、社員の松永がテスターの情報を週刊誌に漏らしたのは自分だと明かします。お金に困っていた松永は相手は何者か解らないが、5万円でテスターの情報を漏らし、その相手は情報を基にテスターと接触し、おそらくお金で偽証させたのだと言います。そして松永は編集者になりたくて入社したが、毎日商品試験ばかりやらされてうんざりだと言い、会社を辞めて行きました。水田は以前から松永の様子がおかしい事に気付きながらも止められなかった事を悔います。常子は自分達は戦後から日々の暮しを取り戻そうと雜誌作りを始め、試行錯誤した結果たどりつたのが商品試験だったが、社員には望まない事を押し付けて来たのではないかと悩みます。常子は全社員を集め、商品試験に対する思いを確かめます。常子の不安をよそに社員達は口々にやりがいを感じ誇りを持って仕事に携わっていると答えます。洗濯機の商品試験が半年余り続けられた頃、大東京新聞に再び「あなたの暮し」の商品試験についての記事が掲載されます。そこには一連の商品試験の偽装疑惑報道と、新たに大東京新聞があなたの暮し出版の商品試験について家電販売店約500店にアンケート調査した結果が記載されていました。その結果は商品試験のやり方に疑問があるという意見が半数近くあったのです。


第24週 第139話  「常子、小さな幸せを大事にする」

大東京新聞にあなたの暮し出版における商品試験のやり方に疑問があるというアンケートの結果が掲載されました。新聞掲載後に読者の反響が大きかった事にk気を良くした国実はある日、各メーカーの担当者を引き連れ、あなたの暮し出版に乗り込んで来ました。週刊誌に商品試験の偽装疑惑が掲載されてから大東京新聞にはその真偽を知りたいという要望が殺到していると言います。国実は疑いを払拭する為にも洗濯機の商品試験を一般公開しないかと言いますが、花山は自分達の力だけで信用を取り戻してみせると追求の手を緩める気は無いと言う国実にきっぱりと断ります。次の休日、常子と美子は洗濯機を買ったと言う鞠子を訪ねました。常子達が洗濯機を囲み話していると、「あなたの暮し」の読者だと言う近所の主婦達が集まって来て、商品試験の偽装疑惑報道に腹を立て、悔しい思いをしていると言うのです。鞠子の家を去る時、会社に行くと言う常子に美子と水田も同伴します。会社で読者からの手紙に目を通していた花山はやって来た常子達に話し始めます。今の「あなたの暮らし」には安定した発行部数と根強い愛読者がおり、新聞で叩かれても批判の声など無視しても良いと思ったが、手紙から悔しいと言う読者の声が聞こえたと言います。常子達も同じ思いで信じてくれる読者の為にも戦う姿を見せようと公開試験を受け入れる事にします。


第24週 第140話  「常子、小さな幸せを大事にする」

大東京新聞が主催するメーカー各社との洗濯機公開商品試験は6月末に行われる事に決まりました。常子は公開試験に向けて新たに綾と康恵を含む数多くのテスターを招き商品試験を進めていました。そんな中、美子はキッチン森田屋へ女性達を集め、主婦の一日の時間の使い方を調べたいとアンケート用紙を渡し、協力を求めます。便利な電気製品が出回り、家事が以前より格段に手早くこなせる様になった今、あらゆる年代の主婦達がどの様に家事の時間を使っているかを調べたいと言うのです。その頃赤羽根の社員は自社の洗濯機に不備がある事を赤羽根社長には隠していました。何年も使い続けて初めて発覚する異変など商品試験ごときでは解らないと高を括っていたのです。自社の製品に絶大な信頼を寄せている赤羽根社長は公開試験で常子達に恥をかかせる事を待望んでいました。あなたの暮し出版では何度も繰り返し商品試験の為に洗濯機を作動させていると花山が音の異変に気が付きます。その矢先、洗濯機のコンセントから音と共に煙が出ます。花山がコンセントを抜き中を調べ、何か異常を見つけます。そのコンセントは赤羽根の洗濯機の物でした。そんな中、美子が頼んでおいたアンケート用紙を照代が店の客に頼んだと言って大量に届けてくれます。数ヶ月が経ち、商品試験当日がやって来ました。緊張気味の常子に花山は気負う事は無い、これまでやって来た事をありのまま伝えるだけだと言います。メーカー5社が参加して、国実の質問に対し、それぞれの商品試験の内容を発表していきます。こうして公開試験は始まっていったのです。


第24週 第141話  「常子、小さな幸せを大事にする」

大東京新聞社の駐車場の一角でメーカー5社が自社の洗濯機を持込み、公開試験が始まりました。国実が各メーカーと常子達に色々な項目に従い、どの様に試験を行っているかを尋ねます。メーカー達の専門的な方法に対し常子の発表する普通の主婦目線の試験にメーカー関係者から失笑が起こります。しかし、各メーカーが試験用の汚染布で試験をした事によって色々な弊害が隠されていた事を常子達は指摘します。洗濯中にポケットが破れてしまったり、洗濯を終えたシャツをローラーで脱水しようとするとボタンが割れたりと、メーカーの試験では日常で起きる事を把握出来ていなかった事を発表します。あるメーカーの振動と騒音についての試験方法に感銘を受けた常子が我が社にも取り入れたい試験法だと発言します。気を良くしたメーカーが自社では脱水まで自動で行える様に開発を検討していると言うのに対抗して赤羽根は脱水だけでなく乾燥まで出来る洗濯機を開発しており、来年には商品化されると豪語するのです。耐久性の試験で常子達は排水の問題で多くの洗濯機が置かれる屋外での試験から赤羽根の製品に問題がある事を指摘します。怒った赤羽根は常子達のやっている事は単なる粗探しだと言います。そこへ国実が割って入り、あなたの暮し出版の試験に虚偽はなく公正な結果だと証明された気がすると発言します。常子は美子が集めた1000人分のアンケートを見せ、女性たちを開放する事が出来る電化製品をメーカーには志を持って作って欲しいと訴えます。


第24週 第142話  「常子、小さな幸せを大事にする」

公開試験も終わりに近づき常子は一般の主婦の代理としてメーカーの方々には志を持って製品を作って欲しいと訴えます。それまで自社の製品の問題点を指摘されていた赤羽根は安かろう悪かろうの製品も欲しい者はおり、後は買った消費者の責任だと居直り、花山にくってかかります。花山は赤羽根に確認したい事があると言い、赤羽根電気の洗濯機に使われているプラグの中のネジを取り出し、剥離剤に浸します。すると真鍮だと思われていたネジのメッキが剥げ、発火の恐れもある鉄のネジが使われていた事が発覚します。その事を聞かされていなかった赤羽根は社員の村山に詰め寄ります。村山は社長の言う予算内で収めるにはこうするしか無かったと社長の命令に従っただけだと反論します。こうして公開試験の終わりと共に「あなたの暮し」最新号は発売されました。赤羽根電気のネジの偽装と「あなたの暮し」の商品試験に偽装が無かった事が新聞で報道され、世間の信用を取り戻したあなたの暮し出版は再び売上げを伸ばします。久し振りの休日、キッチン森田屋では宗吉と照代がそろそろ自分達は大昭に店を譲って高崎に引退するつもりだと大昭に告げます。恐縮した大昭に宗吉は縁あって娘のように思っている美子と大昭が結婚する事が自分達には幸せな事だと言います。大昭は深々と頭を下げ、お礼を言います。ちょうどそこへ美子が表れます。


第24週 第1423話  「常子、小さな幸せを大事にする」

宗吉と照代はキッチン森田屋を大昭に譲ると決め、その事を大昭に告げます。大昭は戸惑いながらも宗吉と照代の申し出を有り難く受けます。店を引き継ぐ事を決意した大昭は改て美子にプロポーズをします。大昭のプロポーズを受け入れた美子と大昭はその足で小橋家を訪ね、君子と常子に二人の結婚を報告します。君子と常子は二人を祝福し、次の休日に二人の結婚を祝うささやかな宴を開きます。美子と大昭はこれからの店の経営などを考え、披露宴はやらずに貯蓄しておく事にしたと言います。テーブルに皆で作ったごちそうが並び、身内だけのお祝いが始まります。住まいはどうするのかと水田に聞かれ、美子と大昭は団地で新婚生活を始めると言います。小橋家が君子と常子の二人だけになってしまい寂しくなると察した水田が話し始めます。以前から常子の希望だった大きな家を建てた時には自分達一家も一緒に住まわせてくれ、そうすれば君子を一人にする事もなく安心だと言うのです。大昭も美子と同じ事を話していたと言い、いずれ一緒に住みたいと申し出ます。君子は夢の様だと喜び、家族で和やかな時間を過ごしていました。その時外に客があり、出てみると驚いた事に、十年以上音信不通だった鉄郎が嫁の幸子と立っていました。鉄郎は新潟で米を作っていると言い、米を土産に抱えて来ました。「あなたの暮し」が常子の雜誌だと知らずにいた鉄郎は新聞に載った常子を見てやって来たのでした。


第24週 第144話  「常子、小さな幸せを大事にする」

美子と大昭の結婚を祝おうと家族が集まりささやかな宴を開いていると、驚く事に十年以上音信不通だった鉄郎が妻の幸子と姿を見せます。鉄郎は鞠子が水田と結婚して娘のたまきを出産した事や美子が大昭と結婚をする事を聞き、祝の品がないと言い幸子を残し一人買い物に出掛けてしまいます。鉄郎との生活は苦労が多いだろうという美子の問に幸子は鉄郎には感謝の気持ちでいっぱいだと言います。幸子の兄がハタハタ漁で失敗し、大きな借金を抱えた時、鉄郎が助けてくれたお陰で借金も返すことが出来たと言うのです。鉄郎が祝いの酒を買って帰って来ました。鉄郎は竹蔵に今の三姉妹の幸せを見せてやりたかったと言い、乾杯の音頭を取ります。そして台所にいる君子に鉄郎は思いとは他に君子や三姉妹の面倒を見ることが出来なかった事の許しを乞います。君子は鉄郎がいてくれて心強かったと返します。常子は鉄郎に「スタアの装ひ」を見せ、それがあるから今があると言い、鉄郎は常子の夢が叶って良かったと言います。農家には休みが無いと言う鉄郎と幸子はその日の夕方帰って行きました。常子はその夜人生の目標として掲げた中の一つ、鞠子と美子を嫁に出すと書かれた札を感慨深く見つめます。6年が過ぎ、昭和39年(1964年)4月、東京オリンピックが目前に迫り、秋には東海道新幹線が開通すると言うニュースが流れる中、「あなたの暮し」は更に読者を増やし発行部数75万部を突破しておりました。


第25週 第145話  「常子、大きな家を建てる」

昭和33年に常子は美子を嫁に出し、人生の目標の一つを叶えました。そして6年が経ち、昭和39年(1964年)、日本中に東京オリンピックや新幹線の話題が飛び交う中、常子はもう一つの目標である”家を建てる”を実現しました。家族4人で戦争を乗り越えた借家を買い取り、そこに新たに大きな家を建てたのです。そこには常子と君子に加え、鞠子と美子の家族が一緒に暮らし、小橋家は総勢9人の大家族になっていました。賑やかで楽しい毎日を過ごせるのは常子が家を建ててくれたお陰だと君子は常子に礼を言います。美子は結婚、出産をした後も編集者として仕事を続けていました。あなたの暮し出版は女性を多く採用し、育児が一段落した綾も正社員として働いていました。そんな中、花山が常子にしか書けない物を書いてみないかと言う提案を出し、常子はテーマを探して書くと約束します。そしてしばらく姿を見せない君子を気遣う花山に、これから今まで苦労をかけた分の恩返しをするつもりだと常子は答えます。ある日、大勢の家族に囲まれ幸せな日々を送っていた君子に突然腰の痛みが襲いかかります。孫のお遊戯会の衣装を縫い上げたその日、君子は倒れ、入院します。君子の身体は癌に侵され、もう長くはないと医師から告げられた三姉妹は君子に本当の事を言えませんでした。しかし、全てを察した君子は病院で一人で居るのは寂しいから退院したいと言うのです。


第25週 第146話  「常子、大きな家を建てる」

常子が建てた大きな家に鞠子と美子の家族が同居し、賑やかな毎日を送る中、君子が倒れます。君子の身体は癌に侵されていました。三姉妹は医師から君子の病状は重く、もう長くはないと告げられます。君子は一人寂しく病院に入院するのは嫌だと退院を希望し、自宅での療養を始めます。ある日、孫のたまきが風邪で寝込んでしまいます。君子は家の事や子供達の事を一人で切り盛りする鞠子を手伝います。久し振りに小さな真弓と潤の世話をしたり、たまきの看病をするうちに幼い頃の娘達や母の滝子の事を思い出し、懐かしみます。常子は家族とのいつもと変わらぬ触れ合いに幸せを感じている君子の様子を見てホッとしながらも不安を感じます。その夜、君子は常子に「あと何回、皆でご飯を食べられるのかしら、、、?」と自分の死期を悟った様につぶやきます。その年の12月、君子の病状は悪くなる一方で、この頃になると一日の大半を床で過ごす様になっていました。常子達も仕事をしながらも自宅で寝ている母の様子が気になり沈んだ気持ちでいました。この日、鞠子は常子達のいつもより早い帰宅に驚きながら出迎えると、そこには常子と美子に伴われて花山が立っていました。花山は君子のお見舞いにやって来たのでした。


第25週 第147話  「常子、大きな家を建てる」

自宅で療養していた君子の病状は日に日に悪くなり、一日の殆どの時間を寝て過ごすようになっていました。そんな中、花山が君子の見舞いにやって来ました。君子は花山に娘達を立派に育ててもらい、感謝していると礼を言います。花山は雜誌を作るなら人生を掛けると言った常子を仕事だけに邁進させてしまったが、常子には他の人生もあったのではないかと、君子に対しても申し訳なく思っていると詫びます。君子は常子は幸せなのだと思うと言い、人に頼らず何でも一人で抱えてしまう不器用な常子が花山に出会い、叱られ、ようやく心から誰かに頼って生きる事が出来たのだと言います。これからも娘達をよろしく頼むと頭を下げ、想いを伝えられて良かったと言います。三姉妹が花山を送り礼を言うと花山は素晴らしいお母さんだと言い残し、帰って行きます。君子の部屋を訪ねた三姉妹に君子はあなた達がいてくれたから幸せだったと話し始め、三姉妹一人ひとりに言葉を掛け、あなた達は私の自慢の娘だと言います。そして、君子の宝箱だという箱を開けると君子が一つ一つが愛おしいと取って置いた娘達との思い出の品が入っていました。君子は花山や娘達に想いを告げ、晴れ晴れとした笑顔で竹蔵の遺影に向かいます。君子が亡くなったのは十日後の事でした。


第25週 第148話  「常子、大きな家を建てる」

昭和40年(1965年) 1月、君子は73年の生涯を閉じました。常子は日々の暮しの小さな事に君子を思い出します。君子が大切にしていた小さな幸せの積み重ねが家族の幸せだと改て気付かされた常子は花山に書きたい物が見つかったと報告をします。常子は君子が常子達にしてくれた様に人生に僅かでも彩りや安らぎを添えられる言葉や知恵を読者に伝えたいと言うと花山はこれに賛同します。この常子の企画は「小さなしあわせ」と題されたエッセイとなり、多くの読者の支持を集め、8年後には単行本として発売されていました。昭和48年(1973年)、未曾有の高度経済成長を成し遂げた日本は世界第2位の経済大国になりました。花山は5年前に心筋梗塞で倒れ、職場にベッドを持込み、休みながら仕事をしていました。あなたの暮し出版で働く女性は全体の7割を超え、男性と同様に女性が活躍出来る職場となっていました。この頃になると婦人雑誌には既成品の洋服や小物が多く紹介され、物の無い時
代に創刊した「あなたの暮し」とは様子が変わって来ていました。働く女性が増えて来たと言っても女性が働く理由が貧困と決め付け家事の手抜きをしていると噂されるなど、時代が移り変わっても働く女性に対する偏見は未だに強い物だと常子は感じていました。常子は働く女性の為に自分に何が出来るのかを考え始めました。昼過ぎ、大学生になったたまきが常子の忘れ物を届けにあなたの暮し出版にやって来ました。


第25週 第149話  「常子、大きな家を建てる」

ある日、鞠子の長女・たまきがあなたの暮し出版を訪れます。たまきは常子の忘れ物を鞠子に頼まれて届けに来たのでした。その時行われていたスチームアイロンの商品試験の結果に社内中が湧き立っていました。日本の製品がアメリカの製品より性能が上回わるという結果が出たのです。安かろう悪かろうだった日本製品がメーカーの努力で品質が向上した事を実感する常子達はこれまで商品試験に携わってきて良かったと心から思うのでした。そんな社員達の熱意や活気に圧倒され心を奪われたたまきは決心します。帰宅したたまきは常子にあなたの暮し出版で働きたいと告げます。多くの女性が働き、女性の夢がたくさん詰まった場所で自分の力を試したいと目を輝かせます。常子はやってみなさいとたまきを励まし、鞠子と水田も世の中の役に立つ仕事がしたいと言うたまきを応援します。たまきは順調に一次試験、2次試験と進み、いよいよ最終試験に臨みます。その試験は一風変わったもので、色々な食材が並べられた前で中華料理の料理人が作り方を説明しながら青椒肉絲を作ります。そして、机も椅子もない場所で今見た青椒肉絲の作り方の記事を書くというものでした。制限時間は20分と言われ、思い思いの場所で書き始めると花山は記者はどんな状況下でも原稿を書かねばならないと大きな音量の音楽や騒音を流します。そして、最後の課題は花山が別室で最初に挨拶をした内容を原稿用紙一枚にまとめるというものでした。


第25週 第150話  「常子、大きな家を建てる」

たまきはあなたの暮し出版の一風変わった入社試験に挑みました。二週間後、気を揉むたまきの元へ採用通知が届きます。昭和49年(1974年) 4月、花山は相変わらずの凄腕編集長として自他共に厳しく仕事をしてましたが、5年前に心筋梗塞で倒れてからは事務所にベッドを持込み仕事をこなしていました。花山はたまきを始め、今年の女性新入社員が優秀な事を喜びます。花山は女性と仕事をするようになり、女性の柔軟な考えや粘り強さに驚かされ、もっと女性が活躍出来る世の中になるべきだと言います。そんな中、古くからの社員の寿美子が家庭との両立が難しいという理由で会社をやめたいと申し出ます。常子が話を聞くと、あなたの暮し出版は他の会社より女性が働き易い会社だが、自分が無理を通させてもらう事により、他の社員に迷惑がかかるのが心苦しいと言うのです。最近では美子の様に大家族の中で子供を育てるのは珍しく、核家族が増えていました。今後同じ問題が増えていく事を見越した常子は解決策を考え続けます。翌日常子は寿美子の退職願いを花山に報告し、社内の仕組みを変えるつもりだと告げます。自分達が率先して女性がより働き易い社内環境の整備をすれば、まだまだ女性が働きにくい今の社会に一石を投じる事となり、他の会社もそれに追従すればより多くの働く女性達の力になれると常子は熱く語り、具体的な案は次の会議で発表すると言います。