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コリログ

青コリが書く雑文。ブラゲからガジェットまで

勃起最前線2016

医療 医療-男性

勃起障害

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歳をとり我々の周りで枯れ果てていく男性機能の悩みを聞く機会が増えてきた。しかし、勃起の話はバイアグラでビンビン位で歴史が止まってしまっている。バイアグラが世に出てもう10年近くあの頃まだビンビンだった僕らは知ろうとしなかった。その時を追いつくため今回バイアグラ、勃起治療は今どこまで進んでいるのか分かっているのか調べてみました。

勃起障害の疫学

日本における勃起障害(erecdledysfUnction:ED)を煩っている方は中等度EDが約870万名 、完全EDが約260万名 、あわせて約1130万名と推定されています。特に、高齢化の著しいわが国では 、今後さらにEDの有病者数は増えることが予測されています。

勃起障害の原因

EDは生活習慣病との関連が近年指摘されている 。加齢 、喫煙 、高血圧 、糖尿病 、肥満/運動不足 、うつ 、慢性腎臓病(CKD) 、睡眠時無呼吸症候群(SAS)はEDのリスクファクターと報告されています。しかし、奇遇なことに先ほど述べた疾患すべては心血管疾患のリスクファクターとして知られています。 すなわち 、EDと心血管疾患はリスクファクターを共有しており 、これらのリスクファクターのうち 、喫煙 、高血圧 、糖尿病は全身の血管を構成する血管内皮細胞を障害することで知られています 。

勃起のメカニズム

 勃起のメカニズムは陰茎海綿体の平滑筋が弛緩することにより拡張した血管に血液の流入が起こり 、陰茎海綿体が血液で充満し、陰茎海綿体白膜との間にある流出静脈を圧迫し陰茎に持続的なうっ血状態を作り出します。これが勃起です 。つまり 、勃起の発生 、維持には陰茎海綿体平滑筋の弛緩が最もは重要と考えられています 。

勃起と生活習慣

EDにおいて 、血管内皮機能障害が大きな原因の一つであることがわかっています 。すなわち正常な勃起能にはこのように血管内皮と血管平滑筋の双方が重要であり 、これらの障害が血管に起因するEDへとつながります。これら血管性EDは心血管病変と同様のメカニズムで発生しうることからライフスタイルとの相関関係が検討されており 、EDは生活習慣病の一つと考える医師も増えています。

勃起と心臓病

明らかな冠動脈疾患(心筋梗塞など)がないED患者に負荷心電図を施行すると 、8~56%で心電図の異常所見を認めると報告されています。 。これらの研究結果のうち日本人を対象にした川西らの研究では陽性率は15%であり 、他の欧米の結果と比べても低くはない 。逆にすでに冠動脈疾患がある患者のED罹患率は高く 、しかも冠動脈疾患の発現の2~3年前にEDが自覚されることが多いことから 、EDは冠動脈疾患の重要なシグナルとなりうると考えられている。

近年広く受け入れられている仮説として血管サイズ説というものがある。目標臓器によって血流を供給する動脈の内径は異なる 。そのため 、同じような動脈硬化が全身に起こっても 、虚血の影響は一様に起こることはなく 、細い血管から顕在化してくるという考え方である 。動脈硬化の軽症患者では陰茎海綿体やそれを栄養する内陰部動脈の血管内皮機能障害が起こる 。このことにより 、血管内皮由来NO合成酵素(eNOS)活性(血管を広げる働きがある酵素)の低下が起こり 、NO産生が低下することから血管の弛緩不全や動脈硬化が進み 、陰茎血流の低下から血管性ED(動脈性ED)が惹起される 。

高血圧とED

高血圧患者ではEDを合併する頻度が高い 。一般男性の完全ED罹患率が全体で9.6%であったのに対して 、高血圧患者では15%が完全EDに罹患していた。逆にED患者では 、高血圧を合併する頻度が高く 、年齢補正したED患者の41.2%が高血圧を合併していたが 、それに対して非ED男性は19.2%しか高血圧を合併してませんでした。

喫煙とED

喫煙が血管内皮障害を引き起こすことはよく知られている 。喫煙は冠動脈疾患のリスクファクターであるのと同様に 、EDの独立したリスクファクターであると考えられています。喫煙と海綿体動脈の閉塞性病変の程度に用量相関性があることが示されており 、喫煙と夜間勃起現象の低下の間にも用量相関性があるこ とが示されている 。 喫煙者では非喫煙者の2倍の中等度~完全EDが発症しているという報告もあります。禁煙の効果については 、ヘビースモーカーのED患者に1ヵ月間禁煙させると 、陰茎の膨張度と硬度がすみやかに有意に改善することを示した研究もります。  

肥満と運動不足とED

BMIが増加するにつれEDのリスクは上昇すると言われています。BMIはEDの悪化と正の相関を 、EDの改善とは負の相関を示した 。一方、日本では肥満はリスクファクターとされていない。運動に関する研究では運動を行う群はEDのリスクが低いと言われている。しかし、すべての運動が勃起機能に保護的に働くわけではなく 、自転車は注意が必要である 。自転車乗車時間とEDの間には明らかに用量相関関係(乗れば乗るほど悪化する)があり 、その原因はサドルによる血管と神経の圧迫によるとされている 。しかし 、乗車スタイルと会陰部を保護する特殊なサドルの採用でリスクは低下できるとされている。

薬物療法

PDE5阻害薬がすべてのEDに対して第一選択薬となっています。

PDE5阻害薬の全体の有効性は約70〜 80%とされていますが、根底にある病態に応じて有効性が大きく異なる。血管性EDと考えられるものは80〜90%の高い有効性を発揮するが,骨盤内手術(根治的前立腺摘 除術など)後やコントロール不良の糖尿病による末梢神経障害を原因とした神経性EDに対しては0〜30%の有効率とあまり期待できない。

シルデナフィル(バイアグラ)

シルデナフィルは約60分で有効血中濃度に達し約4時間有効とされている。食事の影響を受けやすいので空腹時に内服するのが望ましいとされています。

バルデナフィル(レビトラ)

バルデナフィルは30〜60分で有効血中濃度に達し4〜8時間有効とされています。食事の影響を受けづらいとされています。

タダラフィル(タダラフィル)

タダラフィルは2〜3時間で有効血中濃度に達し36時間有効とされています。 食事の影響を受けにくいとされています。

 

効果不十分の場合はバルデナフィルまたはタダラフィルをそれぞれ増量することができる。

 

薬価

薬価はそれぞれ自費で約1500円から2000円です。

テストステロン補充療法

バルデナフィルまたはタダラフィルの増量でも挿入可能な勃起が得られない時に採血上テストステロンが低値の場合にテストステロン補充療法を併用します。テストステロンを併用することでPDE5阻害薬の有効性が向上する可能性があるとされています。

低出力体外衝撃波

PDE5阻害薬の登場により 、EDの治療は劇的に改善した 。しかしながら 、PDE5阻害薬によっても効果が得られない患者も約20%存在します。特に陰茎海綿体の血管平滑筋が線維化を起こしている状態での勃起能回復は難しい 。体外衝撃波治療は尿路結石治療に最初に応用された医療機器で近年足底筋膜炎、閉塞性動脈硬化症などに応用されています。衝撃波治療の有効性のメカニズムは血管拡張と血管新生と考えられています。

最近 、この衝撃波治療がEDに対する新規の治療として注目を浴びている 。治験にて61%の患者で挿入可能な勃起が得られた 。

 シトルリン

バイアグラをはじめとするPDE5阻害薬は下流のcGMPの分解を抑えることで勃起を助けますが、勃起機能の中心であるNOの産生が低下している場合、PDE5阻害薬の効果が低くなることが予想されます。

しかし、そのような無効症例の場合、効率的にNO産生を増加させることができれば勃起機能の改善につながることが予想されます。

そこで食品成分のシトルリンが注目されています。シトルリンはスイカや冬瓜などの瓜科に多く含まれる遊離脂肪酸で、シトルリンを経ロ摂取した場合、腎臓でアルギニンへと変換されNO産生を促すことが報告されています。

さらにシトルニンはアルギニンと異なり腸管での代謝を受けにくいという利点も有しており、シトルリンはアルギニンよりも効率的に血中アルギニン濃度を上昇し陰茎のNO産生を増加することも報告されています。

性機能に対するシトルリンの臨床試験は過去に一報報告されていています。その論文は軽度ED患者を対象とした研究で患者に1ヵ月間プラセボを与え、その後の1ヵ月間はL一シトルリンを1.5g/dayで与えたところ、プラセボ服用1ヵ月後では24名中2名(8.3%)で勃起機能の改善が見られたのに対し、シトルリン服用後では24名中12名(50%)で勃起機能の改善が見られたと報告されている。

Cormio L,et al. Urology.2011;77:119-122.